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春疾風(はるはやて)

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受験に失敗して文学部に入った女の子と、本が好きだけど将来の夢がなくて仕方なく文学部に入学した男の子のお話。
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#本

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あの日から、私は毎日、画用紙とにらめっこして、鉛筆で線を加えては消して、消しては加えてを繰り返していた。大学の授業も本格的に始まり、毎日朝から桜のトンネルをくぐるようになった。
初めてトンネルをくぐった日に出会ったあのひとには、もう会えていなかった。毎日校舎に入る前に、あの桜の木の下を確認するのだけれど、誰もいない。正直、髪の毛と日陰で顔がよく見えなくて、顔がわからなかったから、探そうにも探せない

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〜♪♪
ギターとベースが効いた着信音で目が覚める。朝か。そして電話か。寝ぼけたまま目を擦り、電話の向こうが誰なのか確認しないまま、無意識に緑の着信ボタンを押す。

「もしもしー。あんた昨日どうだったー?初めての大学。やっぱり私大は綺麗なの?広いの?」

こっちは寝起きだと言うのに、電話の向こうは容赦なくハイテンションな声で質問してきた。高校の時仲が良かった友達の紗月だった。

「あー。おはよ。さつ

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