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大公開!障害者雇用で「お祈り」された理由5選!表情が固いと採用されないって本当?


私は過去に2回障害者枠で転職活動をしたことがあります。はじめの1回はまだ精神障害者の雇用が義務付けられていない時期だったため、採用担当者の対応も悪く、自分が障害者枠で転職を目指すのは無理だと諦めてしまいました。
その後、体調が安定したこともあってクローズ就労(職場に障害があることを公開せずに勤務すること)で働くようになりましたが、その際に上司から陰湿なモラハラを受けたことをきっかけに、やはり合理的配慮が受けられる障害者雇用を目指した方がいいのではないかと考えるようになりました。

↓クローズ就労でモラハラ上司からひどい目に遭わされた経験談はこちら

しかしながら正直なところ、障害者枠でオープン就労(職場に障害があることを公開して働くこと)をする方が、クローズ就労で仕事を探すよりはるかに難しいというのが実感です。
そういったわけで、今回は私が障害者枠で「え、こんな理由で落とすの?」と理不尽に感じた理由を公開していきたいと思います。これから障害者雇用で転職活動を予定している人はぜひ参考にしてくださいね。


理由1「あと2年くらいしたら子供を産みそうだから」

これは私が中部地方の地方都市に住んでいたころに、その都市で開催された障害者雇用の合同企業説明会で言われたことです。冒頭で述べたようにこの頃は精神障害者の雇用義務が無かったため、どの企業も精神障害と聞いただけでお断りの雰囲気を出していました。

その中でも際立ってひどいお祈りワードが、「あと2年くらいしたら結婚して子供を産みそうだから」でした。

その言葉を放った人事担当者は高齢の男性で、また地方都市の企業ということで考え方もかなり古かったのかもしれません。私は結婚の予定も今のところないし、強い薬を飲んでいるので子供は難しいと何度も説明しました。
しかしながらその人事担当者はひたすら「でも2年くらいしたら結婚して子供を産むでしょ?」と繰り返し、私を面談ブースから追い出してしまいました。

これは障害者差別であると同時に女性差別の問題だと思います。まさか21世紀にもなって、子供を産んだら退職、が前提になっている企業があるとは思いませんでした。

この時の出来事が原因で、私は障害者雇用で就職するのは無理だと強く思うようになり、クローズ就労を中心に勤務するようになりました。

理由2「直近で体調を崩しているから」

2回目の障害者雇用の転職活動では、障害者雇用に特化したエージェントさんを使うことにしました。事前に綿密な打ち合わせを重ねて面接対策を行い選考に臨みました。

ところがある企業の選考を受けた後にエージェントさんから「直近で体調を崩している、という理由で不採用の通知が来ました。事前の打ち合わせではそういった話は無かったと思うのですが、何かの間違いでしょうか?」と連絡を受けました。
私も驚きました。直近で体調を崩した事実などなく、そういったエピソードは一切話していませんでした。そう伝えるとエージェントさんは「もしかして他の選考者と勘違いしているかもしれない」と、選考先企業に交渉を行ってくださることになりました。

しかしながら、エージェントさんの奮闘もむなしく不採用は覆りませんでした。私が転職活動を始める1年以上前に、その時の職場が慢性的な人手不足に陥っていてワンオペ勤務を強要され、その結果オーバーワークになってしまった…と話した内容が、「直近で体調を崩している」と判断されてしまったということでした。

1年以上前の出来事を直近と考えるセンスにも驚きますが、ワンオペ勤務という不健全な労働形態で不調になったことを、職場の責任ではなく労働者たる障害者の責任にするというセンスにも呆れました。

私のワンオペ勤務の体験談は冒頭にリンクを貼った「オツベルと俺」の記事からご確認ください。

理由3「スピード感が無さそうだから」

この理由でお祈りをしてきた企業は、私がすでに他社から内定を受けた後に「面接だけでもいいから受けてください!」と直々にオファーを入れてきました。私もなじみのある企業だったので面接を受けたのですが、「スピード感がある業務に適性が無さそう」という理由で不採用になりました。

面接ではちょっとした書類整理などの業務体験も行いました。その際に特に大きなミスをしたわけではなく、何を見て「スピード感がある業務に適性が無さそう」と判断されたのかよくわかりません。念を入れてダブルチェックを行っていたのがまずかったのでしょうか?全体的にしっくりこない理由で不採用とされてしまいました。

理由4「表情が固かったから」

この企業の業務内容は私が過去に専門で扱っていた分野で、即戦力として働ける自信がありました。面接の際は具体的な業務内容や使用ソフトのことに話が及び、全て私が経験済みの内容だったのでスムーズに話が進みました。
答えにくい質問が出ることもなく、一次面接突破は間違いないだろうと十分な手ごたえを感じていました。

しかしながら、一次面接から1週間が経っても何の連絡もありませんでした。心配になってエージェントさんに相談すると、障害者雇用の採用実績がまだ少ない企業で、選考をかなり慎重に行う傾向があるので連絡が遅くなりがちと教えていただきました。

そして、ようやく連絡が届いたかと思いきや、それは「不採用」の連絡でした。エージェントさん曰く、不採用の理由は「面接の最中、終始表情が固かったから」だそうです。

採用に慎重になるのはわかりますが、その決め手が「表情」だなんてあまりにもばかげていないでしょうか?ましてや業務経験ありの人間を表情を理由に不採用にするなんて、慎重さの使いどころが明らかに間違っていると思います。

付け加えていうと、私はこの面接のときにマスクを着けていたんですよね。マスク越しにどんな表情がわかったというのでしょうか?

理由5「不明(問答無用で書類選考落ち)」

エージェントさんから聞いた話によれば、障害者雇用の書類選考突破率は7~10%程度しかないそうです。そのため作戦としては、業務内容や勤務地などの希望が少しでも合えばかたっぱしに応募するのが正解だそうです。
つまり、障害者雇用の場合、求人票をじっくり見て自分のやりたい仕事を探すという方法は取れないんですよね。運よく拾ってもらった企業に入れてもらうという作戦しか取れません。

ご多分に漏れず、私も理由がわからないまま書類選考落ちを繰り返しました。私は一応、国立の4年制大学を出ていて、職歴もなんとか積んできました。そして行政書士試験という、合格率10%前後の試験にも合格しています。これらを履歴書にまとめるとまあまあ立派な経歴になるのですが、それでも簡単に書類選考を落ちてしまいます。

私は障害者の割には、生まれ持った才能や周囲の環境に恵まれてきた方だと思います。その私でさえ問答無用で書類選考を落とされてしまうのだから、病気のせいで学校をやめてしまった人や、ほとんど家から出られずに過ごした時期が長い人は、いったいどうすればいいのだろうと暗澹たる気持ちになります。

企業は「病名がついているだけの健常者」を望んでいる

障害者雇用で就職活動をしていて実感したのが、企業は障害者そのものを採用させる気はなく、病名がついているだけの健常者を望んでいるのだろう、ということです。

病名がついているだけの障害者とは、通院と服薬だけしていれば健常者と全く変わりなく生活できる障害者のことです。いや、それ以上かもしれません。
なぜなら障害者雇用では、健常者以上に厳しく勤怠を管理されるからです。例えば就労移行支援施設に通っていた身内によれば、3か月のうちに2日間就労移行支援施設を休んだ話を採用面接でしたところ、不採用になったということです。休みが多いと判断されたそうです。

障害があるのだから急に体調が悪くなるのも当然だし、休みが人より多くなるのも当然です。そういうことが理解できずに障害者に皆勤賞を求める企業は、障害者雇用を行う資格がないと考えています。

健常者並みの勤怠を求め、健常者と同じフルタイム勤務を要求するにも関わらず、賃金は健常者より一回り以上安い。障害者雇用というシステムがそもそも障害者を差別する構造になっているのが現実です。

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