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チームを作る-めっちゃ会話する

「今日な、学校でな、とうもころしって言ってもてな、めっちゃ恥ずかしかってん」
いやぁ、以前は「たぬきちゃうで、たの⤴きやで!!」って逆ギレしてたのに・・・君の成長を感じてお父さん嬉しい!
そう言えば宮崎駿さんは子供を良く観察しているよなぁと改めて感心した初瀬野アヤセです。こんにちは。

さて、今日はPrincipalの項目の1つ、「チームを作る」のうち、小項目の「めっちゃ会話する」を取り上げます。

チームを作るための8つの中項目

チームを作るうえでコミュニケーションは基礎部分に当たります。
初対面で全員と意気投合して良好な関係が構築できれば良いですが、なかなか難しいですよね。最初は良くても、徐々に関係性が悪化することもありえます。

個人単位での信頼関係、及びチーム内での信頼関係の構築、維持に不可欠なのがコミュニケーション量になります。
コミュニケーション量をチームとして維持できるように積極的に働きかけて行く、平たく言えば、全員がめちゃめちゃ会話する環境を作り上げます。

とは言え単純に自分だけがしゃべり続ければ良いわけではありません。
チームの状態がどのフェーズにあるかによって、誰が誰とどんな会話をするのがより良い状態に繋がるのかが変わってきます。

チームの状態は日々変化しますのでフェーズを分けるのは難しいのですが、大枠として次の5つのフェーズに分けました。


チームの状態を5つのフェーズに分ける

①黎明期

メンバーがただ集まっている状態からチームになるまでのフェーズです。
メンバーをゼロから集める場合もこのフェーズになります。
相互信頼や協力体制が構築されておらず、メンバーは疑心暗鬼で手探りな状態です。

②草創期

曲がりなりにもチームになり、チームとして成長していくフェーズです。
チームとして活動していくことをメンバーが納得し、チームとしての活動が始まった直後です。メンバーのモチベーションは比較的高いですが、ちょっとしたことですぐに心が折れやすい状態です。

③成長期

チームとして機能しており、メンバーがチームとしての活動を楽しめ、成長を感じている状態です。
メンバーのモチベーションも高くチーム内の相乗効果も出ている状態ですが、他の組織とのギャップやチームの方向性に疑義が生まれ、不満が表面化しやすい状態でもあります。

④成熟期

様々な課題を乗り越え、チームとして完成に近い状態です。
チームの枠を超えてメンバーが他の組織に積極的に働きかけることが出来るようになります。

⑤転換期

一つの区切りによって、チームの目標やメンバーに変化があったタイミングです。
企業の置かれている環境やメンバーの事情が変わることもあるでしょうし、プロジェクトチームのように役割を終えて解散する場合もあるでしょう。

これらフェーズによらないコミュニケーションの基本的・本質的な内容については、次のnoteに纏めていますので、そちらも合わせて読んで頂ければ嬉しいです。

どれだけ言葉を尽くしても、思いを100%伝えることはできない
無料noteです。基本編として言語行動としてコミュニケーションを捉えています。
コミュニケーションの本質と3つの致命的な勘違い
有料noteです。基本編をさらに掘り下げて、言われないとなかなか気づけないコミュニケーションの本質と陥りがちな勘違いについて書いています。

各フェーズでの具体例

ここからは私がリーダーとしてチームを作っていった事例を元に書いており、強い意志と熱量をもって働きかける前提になっています。
そうでない場合はあまり参考にならないかもしれませんが、こういう事例もあるんだと思って頂ければ嬉しいです。

あなたがリーダーの場合は同じ立場からのヒントとして、あなたがメンバーの場合はリーダーが同様に行動するように促したり、他のメンバーに働きかけることで事例に近い環境を作ることが出来ると思いますので、リーダーをサポートする参考にしてもらえれば幸いです。
決まったリーダーがいない場合は、自らリーダー役を想定して行動して行けば、自然とリーダー役を周囲から求められるようになるかもしれません。

それでは各フェーズを順に見ていきましょう。

①黎明期

このフェーズでは④成熟期になった際の状態をメンバーが具体的に想像できるように、リーダーから各メンバーに情報発信していきます。

これからチームが活動して行った結果、どんな未来が訪れるのか?
それを具体的に想像してもらい、メンバー全員がそれってちょっと良いかも?と感じてもらう環境を作ります。
誰か一人だけではなく、メンバー全員が同じ印象を持ってくれるまで続けます。

チーム全体での打ち合わせだけではなく、1on1や少人数での打合せ、雑談の場も使ってひたすら情報発信します。それこそ暑苦しいと思われてしまうくらいの熱量で発信します。
チームを立ち上げる際の環境が悪ければ悪いほど、チームの目標が高ければ高いほど熱量が必要になります。

3つの未来予想図を共有しよう

抽象的な表現だけでは伝わらないどころか敬遠されてしまいますので、次の3つの未来予想図を一緒に見てもらいます。
1) 所属企業がどのような状態になっているか
2) チームは所属企業に対してどんな良い影響を与えているか
3) メンバーはどんな役割を果たしているか

1) 所属企業がどのような状態になっているか

自分自身の行動と企業の状態を関連付けて想像してもらうために、まず結果としての企業状態から未来予想図を共有します。

こんな状態だったら最高だよね!というビジョンをメンバーと一緒に共有します。
その状態でのワクワクする気持ちや充実感を想像してもらいます。
ビジョンなので最高の結果を想像すればOKです。
もちろん困難な課題が予め想定されることもあるでしょうけど、それらを協力して乗り越えるイメージを作ります。

例えば、「困難を乗り越えてプロジェクトが成功し、従業員全員が一致団結して積極的に仕事に取り組んでおり業績が右肩上がり、給与も上がるし生産性も上がって時間的な余裕もできてプライベートまでも充実とか、マジで最高だよね!」という感じです。
そんな夢みたいな状態ありえないよね?暑苦しいわーって言われるくらいでちょうど良いです。
言葉では否定しながらも、そうなったら最高だよなって思ってもらうのが目標です。

未来予想図を一緒に見ると同時に、必ず自分がやり遂げるという強い意志を見せます。
当たり前ですが、実際に自分自身で確信・決意していないと表面だけの言葉だと見透かされてしまいますので、この結果を実現させるというブレない姿勢で一貫して情報発信しましょう。

精神論のように感じるかもしれませんが、他者と共同で活動する場合は特に強い意志が重要になります。

2) チームは所属企業に対してどんな良い影響を与えているか

企業の次はチームの未来予想図を共有します。
前項のビジョン実現のためにチームがどのように貢献しているのかを想像してもらいます。
ここでもワクワク感や充実感が重要になります。

例えば、「困難なプロジェクトの成功に向けてチームが関係部署をまとめ上げる中心的な立場で、関係部署と喧々諤々の議論をしながら信頼関係をより強固にし、一緒に課題を解決していくとか、マジで最高だよね!」という感じです。

企業の未来予想図でそうなったら最高だよなって思ってもらいつつ、その未来予想図の中心にチームがいたらもっと最高だよなって思ってもらうのが目標です。
ここでのワクワク感が次のメンバー自身の役割に対する期待感に繋がっていきます。

3) メンバーはどんな役割を果たしているか

最後はチームでどんな活躍をしているか、メンバー自身の未来予想図を共有します。
前項のチーム状態を実現するために、メンバー自身がどのように貢献しているか、どんな役割を担っているのかを想像してもらいます。

とは言え、具体的な活動を想像してもらう必要はありません。
人によって性格は異なりますので、派手さを求める人も控えめな貢献を好む人もいるでしょう。
メンバーの性格に合わせて未来予想図を描ければ良いですが、黎明期に人物像を把握するのは難しいと思いますので、まずはどんな些細なことでも良いのでメンバー全員がチームに貢献している状態を想像してもらいます。

例えば、「いつも笑顔でみんなをリラックスさせてくれる人がいたり、私は細かい作業が好きなので裏方でデータを作って、それをメンバーが活用して関係部署にも使ってもらって感謝されたり、交渉上手な人は顧客と好条件を取り付けたり、それぞれが持ち味を生かしてチームとしての相乗効果が上がっていくとか、マジで最高だよね!」という感じです。

小さな目標が大きな目標に繋がっていく想像をしてもらい、それなら自分にもできるかも?やってみても良いかな?と思ってもらうのが目標です。

これら黎明期の3つの未来予想図は、行動の具体性よりも理想とする状態をビジョンとして示し、共感してもらうことが重要になります。

➁草創期

チームを作るうえで一番大切なフェーズになります。
ビジョンを実現するためにチームとして何をして行くのか、チーム目標と方針を明確にしてメンバーに開示し、一緒に行動していくことを宣言します。

と言ってもすぐにできる訳ではありませんので、このフェーズではメンバーが実際に行動を起こして小さな成功体験を積み重ねていき、自発的に行動できるようになることを目標にします。

このフェーズでもリーダーから各メンバーに情報発信しますが、個別ケアをより重視して1on1の比率を高めます。
特定のメンバーだけ比率を高めるのではなく、できるだけ偏りが無いように配慮しながら全員に対して1on1の比率を高めます。

リーダーはかなりの時間を拘束されるため挫折しそうになるかもしれませんが、しっかりと時間を取って向き合おうとしているとメンバーに感じてもらうためにも、なんとか時間を捻出して下さい。
チームの人数にもよりますが、今日は一日ほとんどしゃべってるだけだったな?と思ってしまうくらいでちょうど良いです。

ここで躓いたらチームとして機能するまで相当な時間を費やすことになりますので、丁寧に働きかけていきます。
この過程でメンバーのペルソナをある程度特定して行けば、その後のコミュニケーションもスムーズに進むようになります。

ペルソナについては下記noteでも取り上げているので、参考にして下さい。
「絶対無理!」が口癖になっている年上部下の行動を変えてみる
無料noteです。年上部下の行動を変えた話です。
人の話を聞かない(らしい)新入社員の行動を変えてみる
無料noteです。新人社員の行動を変えた話です。

行動目標を作ろう

では何を話すのか?ですが、具体的な行動目標をメンバーと一緒に作ります。
朝礼で元気よく挨拶してみよう!とか、ちょっとした感謝を伝えよう!とか、チームとして信頼関係構築に繋がることであれば、本当に簡単な事から始めればOKです。

メンバーが行動してくれたらしっかりとリアクションするようにします。
私の場合は純粋に私自身も嬉しくなるので、大げさに喜んで褒めることが多いです。

簡単な行動目標を設定して行動することにに慣れてきたら、チーム目標に繋がる行動目標をメンバーと一緒に作ります。

チーム目標が【○○技術を使って新たなビジネスを受注するする】としたら、既存顧客のうちの1社に需要動向をヒアリングしてみよう!とか、過去に類似ビジネスを検討していないか調べてみよう!とか、メンバーのこれまでの経験と親和性が高く、行動することに対する心理的抵抗が少ない行動目標を具体的に設定します。

あとはこれを繰り返しながらメンバーの積極性をサポートします。
メンバーが自発的に報告する動機になりますので、メンバーの行動に対して必ずリアクションするようにします。
リーダーのリアクションがないと自発的な報告が無くなり、気が付けば誰が何をやっているか分からない状態にもなりかねませんので注意が必要です。
誰も報告してくれない…と感じたのであれば、ぜひ自分の行動を振り返ってみて下さい。

➂成長期

メンバーが自発的に行動してくれるため、これまでのように細かなサポートではなくチーム目標と方針からメンバーの行動が逸れないように、全体感をハンドリングしていくフェーズになります。

情報発信の主体をリーダーからメンバーに切り換え、メンバー同士で意見交換が活発になるように誘導します。
情報発信の場も1on1や少人数での打合せからチーム全体での打合せに主軸を移して、公平性を意識して情報発信するように心掛けます。
チーム目標と方針に対して疑義が出た場合は、全員で議論しながらリーダーが方向付けします。

他の組織と意見の衝突が起こった場合は優先順位を上げて対応します。
このフェーズでは他の組織に働きかけるのはリーダーの役割です。
他の組織からのヒアリングはリーダーが行います。

衝突した当事者のメンバーに対してですが、あくまでもチームの問題として捉えてチーム目標と方針に沿うにはどうすれば良いかを議論し、目標達成のために何をするか?を軸にして対応します。
メンバーの感情に寄り添うのではなく、行動にフォーカスして次はどうするか?をメンバーに考えてもらいます。
感情に寄り添いすぎると自立した行動が出来なくなっていきますので注意しましょう。
チームで対応が決まれば、それを他の組織にリーダーが伝えます。

責任と権限を明確にしよう

メンバーの自主性を尊重しながらもチームとしての判断は必ずリーダーが行い、責任と権限が曖昧にならないようにします。

判断をメンバーに任せてうまく行った場合、一見良い事のように思えますが、このフェーズではメンバーがリーダーに聞かずに自分で判断しても良いと勘違いしてしまう可能性があります。

うまく行かなかった場合、責任の所在が曖昧なため他のメンバーも含めて処遇に対する不透明感を感じ、疑心暗鬼に陥る可能性があります。

いずれにせよメンバーがバラバラの動きをし始めると、チームが成熟期を迎える前に瓦解するリスクがありますので、リーダーに相談なく判断していないか、メンバーの行動を見ながら状況を把握することに努めましょう。

メンバーから相談された際に、どこまでがメンバーの責任範囲でどこからがリーダーの責任範囲になるかを明示します。
その上で判断基準を明確にしてリーダーが判断することを繰り返していけば、メンバーが自分で判断しても良い範囲を理解できるようになり、次のフェーズに繋がっていきます。

④成熟期

このフェーズになるとメンバーからの情報発信が主体になります。

メンバーの行動がチーム目標と方針に沿ったものになっていますし、成長期で判断基準を理解していればメンバーからの報告が「どうしたら良いですか?」から、「○○という理由で□□と判断しましたがOKですか?」「△△は私では判断できないのでリーダーお願いします」という内容に変わってきます。

リーダーはしっかり聞こう

リーダーは聞く姿勢がより重要になります。
チーム全体での打合せでは、これまで以上にメンバーに向き合ってコミュニケーションを取るように心掛けます。

1on1の比率を少し上げることでメンバーとの信頼関係を強化できますので、報告を待つのではなく自分から積極的に話しかけて、何か困っていることがあるか質問するようにしましょう。

チーム内の判断はメンバーの意見を取り入れながら一緒に考える割合を増やします。
他の組織との交渉もメンバーに任せても良いでしょう。
但し、最終的な結果に直結する判断や他の組織との取り決めはリーダーが行うようにします。

チームの中から次のリーダーを目指すメンバーが出てくるかもしれませんし、リーダーになって欲しいメンバーが見つかるかもしれません。
その場合はリーダーとしての判断が必要な際に、メンバーならどう考えるかを考えて答えを出してもらい、リーダーの意見と比較しながら一緒に判断していく割合を徐々に増やしていきましょう。

自分のチームから次世代の新しいリーダーが誕生したら、最高ですよね。

⑤転換期

チームに変化点が発生した場合、内容に応じて対応が変わってきます。
代表的な事例を取り上げていますが、ここに書かれていない事例であっても変化があった場合はアクションが必要です。
このフェーズでは必ずリーダーから情報発信し、チームとしての方向性がブレないように注力しましょう。

1) メンバーが増えた場合

新規メンバーには、まず参入してもらった背景や期待値をしっかりと説明します。ここを明確にしておかないと、メンバーが迷ってしまう可能性があります。
その後、前述のフェーズに応じた対応を最初から順番に行います。
既存メンバーに早く追いつくことを目標として働きかけるのではなく、むしろ時間を掛けても良いので、1つずつ成功体験積むことを重視して下さい。

既存メンバーには、新規メンバーが参入することになった背景と上位組織からの期待値、それによってチームの目標と方針にどのような影響があるかを説明します。
時間を掛けて既存メンバーと同様のステップを踏んでもらうこと、しばらくの間はリーダーとして新規メンバーのサポートに注力することを伝えておきます。
その上で既存メンバーからも自然に声掛けしてもらうように依頼しておきましょう。

2) メンバーが減った場合

基本的には増えた場合と同様の対応になります。
異動するメンバーには、異動となった背景や異動先での期待値を説明し、今までチームの一員として一緒に働いてくれたお礼を言葉にして伝えましょう。

残ったメンバーには、メンバーが異動することになった背景と上位組織からの期待値、それによってチームの目標と方針にどのような影響があるかを説明します。
メンバーのモチベーションに大きな影響が出ないように注力しましょう。

自己都合退社などメンバーの個人的な理由による場合は、退社するメンバーにお礼を言い、残ったメンバーには淡々と事実だけを伝えましょう。

3) チームの目標と方針が変更になった場合

変更することになった背景と上位組織からの期待値を説明し、新しいチーム目標と方針をメンバーに共有します。

方向性がガラッと変わる場合、これまでやってきたことを否定されたと感じることもありますので、時間をかけて丁寧に説明します。
その上で改めてメンバーの行動目標を設定します。
成熟期であればメンバーに考えて設定してもらい、それ以前のフェーズであれば一緒に作りましょう。

4) チームを解散する場合

理由の良し悪しに関わらず一つの活動の区切りとなりますので、メンバー全員にお礼を言葉にして伝えましょう。

時間が許せばチーム目標の結果を全員で共有し、それぞれの活動を振り返りましょう。
振り返ることにより全員が成長を実感して、「また同じチームで働きたいね!」なんて言い合えれば最高ですね。

コミュニケーションの重要性を理解していても、実際にどうすれば良いか分からないことも少なくないですよね。
コミュニケーションについて改めて学ぶ機会もほとんどないと思います。
実際私もそうでしたし、私も何回も失敗しながら試行錯誤してきました。

状況に応じてコミュニケーションをリードする役割と内容を変えることで、今回の記事のように劇的に改善するかもしれません。
もしあなたがチーム運営に悩まれていればぜひ試してみて下さい。

本日は以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございます。
自分の人生を、自分で生きて行きましょう!

初瀬野アヤセ

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