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「絶対無理!」が口癖になっている年上部下の行動を変えてみる

「暑かったからちょうど良かったわー!」ヾ(*´∀`*)ノ
そういって夕立の中を満面の笑顔で帰ってくる息子。
いや、うん。今度からその手に持ってる傘を使ってくれるとお父さん嬉しいぞ?
自由すぎる息子を急いでお風呂に放り込んだ初瀬野アヤセです。こんにちは。

さて、今日は言うことを聞いてくれない年上部下の行動をどうやったら変えられるか?という課題に対する解決事例を取り上げます。

口を開けばできない理由や環境への批判が出てくる人、意外と多いですよね。
ましてや自分よりも年上で回りに対する影響力がある部下だったりすると大変です。
やることなすこと難癖付けられると遅々として進みませんし、一緒に活動する人たちへの悪影響も甚大で、チームが崩壊してしまう可能性も出てきます。
ではどうするか?


その部下の行動を変えてしまおう

問題行動を完全に失くす必要はありません。影響を制御できる程度に抑えます。

その方法をこれから記していきますが、その方の性格や環境によって適切な手法が異なりますので、全てのケースで適用できるわけではありません。
そこで、まず年下部下(以下Aさん)のキャラクターと環境をある程度具体的に表現しておきますので、あなたの課題に適用できそうか判断する材料にして下さい。

Aさんのキャラクター

・男性、アラフィフ、既婚、成人した子供有。
・ユーモアがあり頭の回転が速い、好き嫌いが激しい、合う合わないがはっきりしている。
・何らかのコンプレックスあり、自己評価が低い、他者評価が高い、感情の起伏が大きい。
・会社からの評価が低いと考えている、自分はもっとできることがあると考えている。
・はしごを外される、馬鹿にされる、押し付けられることを嫌う。
・体制批判、他者批判が多い、変わらない環境に対して嫌悪感をもっている。
・全てを諦めているような振る舞いをするが、チャレンジしてみたい雰囲気も匂わす。

Aさんの置かれていた環境

・歴代の上司との折り合いが非常に悪く、冷遇されてきた過去を持つ。
・ユーモアがあり何でも笑いに変えてしまうため、周りからも軽視されていた。
・固定化されて変化のない環境が変わり始めるきっかけが見え始めていた。
・新しいチャレンジを始めた場合、協力してくれるかもしれない相手(私)がいる。

以上がAさんのキャラクターと環境です。
ざっくりと仮想人格を想像できる程度にはなったのではないでしょうか。

そんなAさんの行動を変えるためにやったこと

ズバリ、「責任ある仕事のリーダーに任命し、遂行してもらう」です。

え?A さんがそんな仕事受けるの??と疑問を持つ方もいるでしょう。
見せしめリーダーだのなんだの、いくつも嫌味を言われましたが、最終的にAさんも納得して受けてもらうことが出来ました。

もう少し補足すると、「Aさんの行動原理を特定し、それに適した見返りを受け取れる行動を業務にしてしまう」ということです。
では実際に何をしてどう説得したのか、順番に説明して行きます。

①ペルソナを作り上げる

まず最初に、Aさんのキャラクターをこれまでの略歴や環境も含めてできるだけ細かく描き出します。ここでは簡単に書いていますが、実際には時間をかけてAさんと様々な会話をしながら仮説を積み上げ、推考し、解像度を上げて行きます。

そうすると、ほどなくして私の中にAさんの仮想人格(以下、ペルソナ)が描き上がります。
ペルソナはあくまでも私のフィルターを通して描き出したものであり、ご本人と異なる部分も多いので、Aさんの言動を観察し、その結果を取り入れてペルソナを仕上げて行きます。

➁ペルソナの整合性を確認する

次にペルソナとAさんの実際の言動について、整合性が取れているかを検証します。

整合性が取れていればペルソナは解像度高く描けていることになりますし、取れていなければペルソナを修正します。
ペルソナと実際の言動に大きな差異が無くなれば、ペルソナの完成です。
前述したAさんのキャラクターと環境はこのペルソナから抜粋したものです。

➂行動原理を特定する

次にAさんの問題行動が発生した前後で、本人にどのような変化が表れたかを観察し、行動原理を特定していきます。

子供のしつけと同じですね。
問題行動を起こした結果、何を手に入れているのか?そのきっかけは何だったのか?
複数の事例を観察して特定して行きます。

Aさんの場合ですと、次のような事例が多く見られました。

ご自身が不当だと感じる扱いを受ける。(※Aさんの主観です)
→不平不満を言う。
→何だかんだ愚痴を聞いてもらえ、溜飲が下がる。

「手に入れたもの=愚痴を聞いてもらえる」だけに注目すれば、一見注意引き行動=自己顕示欲の表れだと考えられますが、きっかけである「ご自身が不当だと感じる扱い」の具体的内容が、ご自身の努力に誰も触れない、認めてもらえないという内容に集中していましたので、承認欲求がより強い行動原理になっていると想定しました。

とは言え、自己顕示欲が前面に出すぎているので、健全な内容に置き換えながらある程度抑制する必要があります。
承認欲求とは異なり、自己顕示欲を単純に受け入れてしまうと抑えが利かなくなり、どんどん拡大していって他者に対して悪影響を及ぼす可能性がある為です。

そこで不平不満の内容に注目し、何を承認して欲しいのかを探りました。
その結果、内容が他者の仕事批判と、それに対する自分なりの改善案とセットであることが多いことが分かりましたので、ご自身の力を試してみたいという欲求の表れと想定し、Aさんにご自身の改善案を実行してもらう事にしました。

④行動を変えるための3つの条件 (Aさんの場合)

これでAさんを取り巻く環境は、下記2つの条件が成立した状態となります。
・改善案の実行、及びその報告=自己顕示欲を満たす。
・活動、報告内容に対する細かなフィードバック=承認欲求を満たす。

ただ、これだけだと身内のみの狭い範囲で活動しているだけ、つまりAさん個人に対する救済措置として受け止められる可能性があるので、活動範囲までしっかりと設定します。

要はAさんと私の個人的約束ではなく、チーム全体の改善を活動範囲とし、他部署に対して役割を明言することにより、Aさんと会社の約束事にしたのです。

これにより、Aさんを環境は合計3つの条件が成立した状態となりました。
・改善案の実行、及びその報告=自己顕示欲を満たす。
・活動、報告内容に対する細かなフィードバック=承認欲求を満たす。
・範囲の明確化、会社に対する宣言=公正な評価への期待感を醸成し、後に引けなくする。

3つ目の条件は、Aさんに対する私自身の態度を明確にする意味もあります。
ここまでさせておいて、はしごを外すことはしないという意思表示ですね。

このように役割と行動を定義して、Aさんにお願いしました。
ご本人の行動原理に基づいていること、元々ご自身が発言していた内容に沿った提案であること、及び私が一番近いパートナーとなって一緒に行動する意志表示を明確にしたことにより、Aさんが受けざるを得ないと感じる環境を作り上げています。
結果として渋々ながらも了承してくれました。

Aさんはどう変わったか?

おかげさまで私の意見に対して真っ先に反対し、無理だと言っていたAさんが、今では私の強力なパートナーとして、すぐ横で一緒に活動してくれる戦友になってくれています。

当然ながら最初からすべてうまく行くわけではなく、チーム内や他部署とのぶつかり合いなど、色んな課題に直面し、その度に一緒に乗り越えるという経験をしてきました。
ご本人もしんどい思いをされたと感じています。

当時の話をするたび、今でも嫌味を言われますが、Aさんには本当に感謝しています。
いつもありがとうございます。

今回は具体的な事例を紹介しましたが、詳細は個別事案ごとに仮説を立ててアクションを決めて行く必要があります。
とは言え、誰かの行動を変えたい場合のセオリーは1つです。
最後に振り返っておきましょう。

「行動原理を特定し、それを満たす有益な行動に置き換える」

本日は以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございます。
自分の人生を、自分で生きて行きましょう!

初瀬野アヤセ

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