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キュリナリーズのポトフ19

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「もう大丈夫よ」

娘たちに駆け寄った母は、すぐに匙で器の中身をすくう。
そして、赤子の唇にそっと匙をあてて、ゆっくりと流し入れるように食べ与えた。
母が与えているのは、ポトフだった。

姉は今にも顔は泣き出しそうな顔で、妹がポトフを嚥下するのを見守る。
冷え切った小さな体を強く抱きしめ、命をつなぎとめる。
母も一杯、また一杯と与えるポトフに望みを託した。
廊下で待つ従者たちはただただ祈る。

誰もが、小さな命の生きる力を信じていた。

数十分の後、赤子が長い眠りから目覚めるかのように、瞼をゆっくり開く。
頬の赤らみが少しずつ戻り、それは白雪に咲く薔薇のように美しかった。
全身の温もりが徐々に感じられ、姉は堰を切ったかのように涙をこぼした。
その様子に母が優しく寄り添う。

「怖かったわよね。でも、妹を守り切ったあなたは立派な姉よ」

そして、白雪の薔薇にそっと触れながら、愛おしい眼差しと共に囁く。

「がんばったわね。偉いですよ、キュリナリーズ。本当によかった…」

妹姫キュリナリーズは、愛する者たちによって命を救われた。

――つづく

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