見出し画像

キュリナリーズのポトフ17

前回はこちら↓

第一話はこちら↓

* * *

「かあさま、かあさま! まだ!? はやくきてよ! しんでしまうよ!」

暖炉の前に少女が立っている。
扉に向かって、母を必死に呼ぶ。
彼女はその場から離れることができなかった。
少女の腕には赤子が抱かれていた。
赤子の息はか細く、体は氷のように冷たかった。

外は一面の吹雪。
白い獣がうめき声を上げて、容赦なく建物に襲い掛かる。
小さな命たちは、獣と戦っていた。

少女は暖炉の前で毛布でくるまれた赤子の体を必死にこする。
額から滲む汗が赤子の頬に垂れ落ちる。
毛布をこする摩擦で手に痛みが走ろうと、自分より小さくか弱い命を守るためにがむしゃらに、ひたすら毛布をこすり続ける。

少女は赤子の姉だった。

――つづく

↓続きはこちら

* * *

ご清覧ありがとうございます。
ただいまnoteに創作やエッセイなどを毎日更新しております。
夢の出版のためにこれからも続けていく所存です。
noteアカウントとXアカウントのフォローをしていただけますと励みになります。
引用リポストによるご感想の投稿もお待ちしております。
Xアカウント:@aykatoreika

▶その他作品


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?