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キュリナリーズのポトフ15

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妹姫は扉を開く。
凍える風が広間に吹き込んだ。

立ち込めていた煙は一気に換気され、人々は息苦しさから解放された。
しかし、くべていた大きな火が消し去られてしまい、その代償は大きかった。
次第に体温が奪われていく。
人々に逃げる場所はなかった。

妹姫はかつて家族であった国王と妃と姉姫に、憎しみにそまった眼差しを向ける。
三人は肩を寄せ合っていた。
その姿に妹姫は腸が煮えかえるような怒りと、
一夜で幸福と栄華を奪われる憐れな末路への嘲笑と、
僅かにそこに自分がいないことの寂しさが混ざり合った混濁した感情が沸いた。

妹姫は三人に告げる。

「すべてはお前たちが招いたのだ。お前たちが私を悪魔にしたのだ。私など、どうせいらない存在なのだろう? ならば三人仲良く、私のいないあの世へ落ちるがいい」

――つづく

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