世界の終わり✧♡
「いつから、それは・・・」
と賢治が驚いた。
「知りません、すみません」
と治が答えた。
「自然をそういう風にする権利ってどこにあるの?」
と晶子が艶やかな黒髪を振り、声を荒げる。
「道を説く者でもないくせに」
「くそくらえだ!全くくそくらえ!」
と、乱暴者が叫ぶ。
「トンネルを抜けるとそこは雪国だったけど」
と康成が言った。
「その時はまだ会員制になっていなかった」
と龍之介が答える。
「ぼくから小説が溢れ出したって話は知ってたかい?」
と夏目が割って入る。
「それは知らないね。僕は色んな人に聞いた。でも、誰の話もてんでばらばらで、真実は、藪の中って感じ」
と龍之介はしたり顔で答える。
「終わってるんだよ、誰も彼も」
とひろむは歌うように答えた。
「自然のものだろ?粉雪は。」
「それが会員制って・・・世界が終わったってことじゃないのか」
誰もが黙った。
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お題「会員制の粉雪」