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卒業の✧♡

 去年の3月に、仕事を卒業した。
 晴れて自由人となったが、自分のココロ模様を見ていると面白いなと思うことがあるので書いてみよう。

 一番に違うことは、仕事、という我慢することが消えたことだ。
 自分の人生において、いつもやっかいな出来事を運んでくるのは大概シゴトだった。私は教師だったので、自分が未熟なための学級崩壊、単身赴任、通勤場所が遠いということ、2つの学校の兼務など、なんだこれは!?というようなことがたまに、5年に一度ぐらい起きていた。
 給料は我慢料だからという美輪明宏の言葉に出会った時から、その度に、そうか、そうなんだ、と納得しない心を無理やり納得させた。
 その言葉で、仕事が運んでくる理不尽を受け入れたと言っていい。

 仕事という修業は、私というひよっこをタフにした。

「いいことは悪い姿でやっている」という言葉を仕事でゲットしたことは確かだ。とんでもない事件が起きた時、そのことにボロボロになりながら、そのことを見つめた。
 すると、原因はどうやら見つめたくない自分自身にあるようだと気が付く。怪物の正体がわかってしまうと、対策をたてるしかない。
 ちょっとずつ努力を始めると、物事はいい方に行く。

 数年たってみると、あの出来事は自分を成長させるためにあったと気が付く。それを繰り返すうちに、仕事で、イラっとする出来事が起きた時に、「待て待て、これは何か学ぶべきことがやってきた!」と色んなことを受け止めることができた。

 そして、面白いなと思ったことは、神様は、そういうイラっとする出来事を受け止めて、プラスに変えないと、勘弁してくれないこと。
 
 こちらが、面白くないとか、不平不満たらたらだと、いつまでたっても繰り返しその状況が続く。

 特に自分がきつかったのは単身赴任だが、カラダに病気を作って、家に半年間いるというボーナスを頂いた。その時に、なんて、カラダってやつは優秀なんだろうと思った。病気は悲しい事だったのに、おかげで、私は家族と半年間、家で療養しながら、楽しく過ごしたのだ。
 身体は、スピリチュアルな友人だと思う。
 自分の脳みそより、よほど優秀だ。

 その後、9月に復帰した職場では、ほぼ、戦力外( ´艸`)
 ただ、大好きな教科の美術を教えればいいだけ。
 職場の20代の若い女の子と、楽しいチームを組み(SNC→脂肪燃焼クラブ)、楽しい飲み会をたくさん開いた。半年休んだ後に復帰した単身赴任地での生活はとても楽しかった。
 自分の中に、家族と暮らせない悲しい気持ちがあるだけで、この状況を楽しめなかっただけなのだ。
 何事も、心の受け止め方で、変わるのだと知った。

 もう一つ、イラっとしていたことは、美術教師という授業時数の少ない教科には、兼務校と言うシゴトがあること。授業時数が少なすぎて、その学校に美術教師を置くわけにはいかない、そんな学校に、週に一度、教えに行くのである。この仕事も、初めは手当てが厚かったので、嫌だなと思いつつ受け入れていたのだが、そのうち、タダで行かされることになった。

 なんだかな~。我慢料がせめてもの慰めだったのに。

 その頃、進路指導部に居て、生徒のいろいろな体験の仕事を告知したり、その締め切りを担うという仕事をしていたので、自分の所属校に1日いないという事は、とてもやっかいなことだった。普通の教師が5日間でやる仕事を、私は4日間でやらなければならない。
 しかも、その仕事をしているのは、美術教師の私だけ。
 誰もこの仕事のめんどくささは知らないのである。

 苦しみは伝わらない、と思った。

 しかし、苦しい、つまんないとぼやいているうちは、神様は卒業させてくれないのが世の中の常だ。
 私はそのことに気付くぐらい大人になっていた。
 まずは、この状況を受け入れて、楽しもう。

 受け入れてみると、この兼務校の生徒は、美術を教えるには、超おもしろい子供たちだ。エネルギーがあって、勉強にやられてなくて、最高にいい。
 そして、所属校の上司も寛容で、兼務校に行く日は、帰ってこなくていいと私に言う。そこで、戻って仕事をするなんて野暮なことはやめて、ずっと残って、掲示物を貼ったり、美術室の掃除をしていることもあったし、さささっと家に帰ったこともある。その日は部活も無い日と考えたのである。

 そう思うと、なぜか、所属校に居なくていい日は、とても気分が伸び伸びする。そして、所属校では忙しくて後回しになっている美術の仕事が、兼務校ではできて、なんだかな~と思った。

 そう、神様は、時々試練をよこし、それを受け入れて楽しむまでは卒業をさせてくれない。それが私が仕事から学んだことだ。

 さて、そんな仕事を去年の3月に卒業した時に、私は真っ先に髪を染めた。勇気がなくて、半分だけ、金髪にした( ´艸`)
 数か月後、全部、金髪にしたが、その発想、高校を卒業したばかりの高校生と変わらないな、と思う。
 3月1日に卒業した生徒が、3月26日の離任式に、やってくると、お調子者の生徒が、すでに髪を染めていたりするのだが、自分も全く、そいつらと変わらない発想だったかと、笑えて来る。

 だって、教師だから、生徒にダメって言っていることは、やりたくてもやれなかった。これからは、誰にも信用されなくていい。シゴトの付き合いは無い。気の合った友達とだけ会ってればいい。

 私の金髪を何とも思わない人々とだけ会えばいいのだ✧♡

 卒業の、金髪✧♡






 

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