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乳がんになった私 #34「涙の実家映画鑑賞会」

3回目の抗がん剤治療 (EC療法) を終え、付き添いの母と実家へ帰った。

内田も合流し、今日は実家で映画鑑賞をすることになっていた。

乳がんにはサブタイプというものがあるのだと、自分が乳がんになって初めて知った。私はHER2陽性。HER2陽性の乳がんについてネット調べていたら、ある映画に辿り着いたのだ。

「希望のちから」

今やHER2陽性の乳がんの治療薬として欠かすことのできない存在になっている 分子標的薬 “ハーセプチン” 。その開発秘話をテーマにした映画である。
映画に登場する医師 デニス・スレイモン、企業、団体、患者、家族は実在する人物だそうだ。

一つの薬が開発され、臨床試験を行い、そしてそれが承認されるまでにはたくさんの努力と、そしてハードルがある。

ハーセプチンは米国で1998年に認可され、日本では2001年に治療薬として承認されている。

この薬が導入されてからは、HER2陽性の乳がん患者の治療成績は劇的に改善した。逆を言えば、この薬がなかった頃は、HER2陽性の乳がんはがん細胞の増殖が非常に早く、悪性度の高い予後不良の乳がんだったようだ。

良かった、ハーセプチンが出来て、本当に良かった…!!!


映画では、プライベートを犠牲にしながら開発や治療に奮闘するデニス医師の描写や、患者が臨床試験を受ける様子などもリアルに描かれていた。臨床試験の実施期間中に亡くなってしまった患者もいたし、薬が効いてがんが消えた患者もいた。

涙なしでは見られなかった。

ハーセプチンが開発されたことで、世界中でどれだけたくさんのHER2陽性乳がん患者が救われたのだろう。

本当に感謝しかない。


今受けているEC療法を終えたら、その後、いよいよハーセプチンを含めた薬の投与が始まる。

早くこの治療を受けたい。治したい。

映画を観て、強くそう思った。

(#35へ続く)
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