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ライターズワークショップ初体験!とても画期的でためになった話

あやなるのアドベントカレンダー 18日目の記事。
今回は、論文の発表の場で「ライターズワークショップ」を初体験してとてもためになったというお話をします。

技術知識ゼロの人事が、たくさんのエンジニアを巻き込みながら企画した技術研修について、パターンにしてまとめた本論文。この論文で、2つのカンファレンスに参加したのですが、どちらもライターズワークショップというスタイルでの開催でした。ソフトウェア系のパターンのカンファレンスではよく用いられるそうです。

9月 AsianPLoP 2020: 9th Asian Conference on Pattern Languages of Programs

12月 Agile Tour Osaka × miniPLoP 2020

通常の論文発表のイメージ

私個人のイメージが一般的なものと離れていないといいのですが、通常の発表は、論文を書いた著者がプレゼンテーションやポスターに要点をまとめて発表をすることが多いと思います。大抵その発表は質疑応答を伴うでしょう。もしくは事前に提出した論文を読んでもらい、それについての質疑応答だけ行うことも時間の都合上あるかもしれません。いずれも読み手の質問に対して著者が回答をし、著者が読み手の理解を補います。

ライターズワークショップのやり方

ライターズワークショップでは、著者は一切発言ができません。複数人の読み手が、読み手同士で解釈を話し合います。良かった点、改善できる点、参考になった点、理解しづらかった点、などを出し合い、時には解釈の違いを議論したり補い合ったりします。著者には説明をする機会は与えられず、ただひたすら自分の論文について話をされているのを、その場で聞きます。

厳密には、著者も最初に挨拶と概要、一番強調したい一文を数分で話したり、最後に感想を述べたりはしますが、それ以外の時間(30~50分)は本当にしゃべれません。コロナ過でオンライン開催だったので、カメラもマイクもオフにして、ただひたすら自分の論文について話をされているのを、その場で聞いていました。

初体験の感想

おもしろい。
普段しゃべり倒してしまうタイプの私ですが、言い訳がひとつもできない状況に立たされてひたすら聞く側にまわるというのは、単純におもしろい体験でしたw
自分の文章が人にどう伝わったかがそのままわかるので、違うように伝わってしまう部分やわかりづらい部分が良くわかりました。人によって捉え方が違ったり、伝わる人とそうじゃない人がいるのも面白かったです。
たとえば、今回私はエンジニアの集まりやIT業界で働く人を想定して書いてしまったのですが、参加者の中には、行政書士の方や教員の方もいて、誰にでもわかるような表現への配慮が足りないことに気づかされました。

ライターズワークショップは、より高い文章力が求められる素晴らしいスタイルだなと思います。そもそも論文は、知識や経験を言語化して人に伝えるために書かれているのだから、本来それにさらに解説をつけ加えるのは不要であるべき。説明を補えないということを意識するだけでも、その場にいない人にも広く理解される文章になるでしょう。特にAsianPLoPでは、ライターズワークショップのあとに完成版の提出ができ、それが公に記録として残るので、コメントを受けて論文を改善し、より多くの人に理解してもらえる形を残せたと思います。

最後に、本論文の執筆とカンファレンスの参加にあたり、共著の荻野さんと細谷さん、ご指導いただいた古川園先生には、たくさんの助言をいただきまして、無事論文を書き上げることができました。この場をかりて御礼申し上げます。



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