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creativecoding×ライブ=よい

はじめに

この記事は「Processing Advent Calendar 2022」の21日目の記事です。


こんにちは。文目卓弥(あやめたくや)と申します。
私事ではございますが、2022年12月でdailycodingを始めて1年が経ちました。この1年間でいろいろな作品を作ってきましたが、とりわけ印象深いのはライブでcreativecodingを行なった際に生まれたモノたちです。
今回は、コーディング×ライブの面白さや気付いたことなどを記してみたいと思います。

ライブに向けて練習しているもよう

なにをやってるの?

農事センターというユニットにお声かけいただき、今年1年で計3回ライブに出演させて頂きました。

2022.8.20「ツキイチカウサスペシャル」出演時のもよう
2022.10.15「エンゲルミサ(ライブのこと)」出演時のもよう

基本的には、揖斐亮太さんの演奏&出演者(宮村耳々さん、やわらあささん、宇都宮せいやさん)のパフォーマンスに合わせてコードを書き、アニメーションを作成しています。
ある程度、どんなアニメーションを作るかは決めていますが、その場に合わせて即興で作っているところが大きいです。
この即興感こそがライブの醍醐味だと思いますので、直近のライブを振り返りながら、その辺りを言語化してみようという試みです。

2022.12.17「工藤祐次郎 農事センター  2マンライブ」(工藤さんの演奏最高でした)
フライヤーはおおがまめおさん作

どうやってるの?

まずは、どうやってcreativecoding×ライブを行なっているのかご紹介します。

演者の出演スペース

作品はスクリーンに投影することで、お客様に提示します。
余談ですが、このスクリーンの裏にはめちゃくちゃ漫画が置いてあります。日頃は本棚として使われているんですね。会場のengelさんはホビーがたくさんある素敵なカフェです。

この時期のプロジェクターは温かくて良い

投影するためのプロジェクターです。お店にあるものを使わせて頂きました。いずれは自分のプロジェクターが欲しいですね。

投影したもよう

先ほどのプロジェクターにPCを繋ぎ投影します。VScodeでコードを書いており、ライブラリはp5.jsを使用しています。

ライブのよさ

前置きはそこそこに、本題であるライブのよさについて書いていこうと思います。
上記のように、ライブのよさは即興性にあると考えています。具体的には、即興によって生まれるある程度偏ったランダム性が、作品のエッセンスになっているということです。
creativecodingを行う際、random関数やnoise関数を使用される方も多いと存じます。コーディングしない方に向けて簡単に説明すると、これらの関数を実行することでランダムな数値を生成することができます。この数値を用いて様々な図形や色を決めることがあり、自分の意図しない表現の表出を楽しむことができる訳です。これはPC内部での話ですが、コードを書く人間にも起こりうることだと思っています。
例えば、明るい音が鳴っている環境でコードを書くと、意識/無意識に影響を受け、コードに対し「明るい音が鳴っている」というバイアスを持ったまま取り組むことになります。これを受けて創作するモノは、明るい色調になるかもしれませんし、逆に暗い色調になるかもしれません。
要は、起きている環境の変化により自身にrandom関数やnoise関数を設定するみたいなことです。

出演の方々

ライブでは、目の前で演奏&パフォーマンスが行われます。テキストを読んだり、歌ったり、存在したりが繰り広げられる…
自己からは決して生まれない表現が既にあり、それを受け取った上でコードも変質します。

「あ」

これは「あ」です。このように投影した作品に干渉してくれます。
これを体験した私は「あ が在るなら い も在っていいかも」だったり、「あ って淡い暖色っぽいな。それにぶつけるなら何色がいいかな」とかを考える訳です。

影響を受けまくった作品。日頃の作品はこんな雰囲気にならない

これら体験の積み重ねによって辿り着いたのが上記の作品です。これを見ると、日頃自分が制作する作品とは全然違うなーと思う訳です。
同時に、様々な作品をその場で作って提示していますので、演者の方々にも影響を与え(ていると思いたい)、そのパフォーマンスが変容します。これにより、さっきまでとは違う音が鳴ったり、違う感情で台詞が読まれたりなどし、それをまた受け取りコードに出力する…
これらの反復により、互いに影響しあいながら生まれる作品にはパワーがあるように思います。
みんなでたどり着いた先に何を見るのか、ということが楽しくてライブしているのだなぁ。

コードで見てみよう

観念的な話が続きましたので、実際にコードと作品を見ていただこうと思います。まずは、先日のライブで生み出されたモノをご覧ください。

ライブで作ったコード

このコードはx, yの値をそれぞれ計算し、vertexに渡して図形を生成しています。このx,yの値で形が決まるので、ここが作品のキモと言っていいかもしれません。
それぞれ「radius * ○○」という形で値を決めているのですが、家でのんびりコードを書いている時は、この○○をこんなに複雑にしないのです。tanなんて制御が難しくて使わないもの…

ノイズみたいな作品になった

上記コードの実行結果です。この時ちょうどギターソロでかっこよかったんです!ぶわーっと広がった後、単音に収束する感じの音だったので、そのような形・色になりました。お客様の集中を高めていけるよう、余白を残しつつエッジの効いた形にしてみました(というかそうなった)。

日頃の作品(2022.12.6制作)

一方、こちらは日頃の制作で生まれた作品です。動いているもようは下記リンクからどうぞ。
https://neort.io/art/ce7iubkn70rvfbj844cg?index=13&origin=my_profile

上記作品のコード

この作品は、先程と同様にnewX,newYの値で形を決定しています。複数回計算を挟んでいますが、基本的にはsin波、cos波しか使っていません。書き方もこちらの方が計画的な感じです。

ライブで作ったコード2

ここで再び、ライブ時に作成したコードをご覧ください。x, yの衝動感というか、実験感というかが分かっていただけると思います。

このコードを本番で書いている時、台詞の内容や音の雰囲気から「社会に対するどうしようもなさ」みたいなことを感じ取りました。
なので、画面が「動き*(つらさ/枠組み)+時間」みたいな感じになるように、x,yの値を設定しました(非常に観念的ですね)。
結果は以下のとおりです。

農事センター「やり残したこと」

手前味噌ですが、理性の外で生まれたものを内包した作品になったと思います。

さいごに

あらゆる表現は最高。人類でやっていきましょう

以上、ライブでしか生まれない表現、いいぜって話でした。

でも、実はライブだけではなく、日々の生活でも何らか受け取りながら、我々は生きているはずです。これら受け取ったものの積み重ねや反復が作品の根源だとすれば、どのような表現であってもその人自身にしか作れず、尊いものなのだと思います。

本番前のもよう

本番前の楽しい時間から、実は作品は始まっていたのかもしれません。
今後も体験に基づく作品を制作していこうと思います。
ライブもまたやると思いますので、よろしければ目撃してください。

おでん

おでんもありました。よかったね。

おわり。

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