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おばあちゃんの鮭おにぎりが食べたい

どうも最近ずっと体調が優れない。しんどいなぁと、お布団で横になっている時に、いつも決まって食べたくなるものがある。

それは、おばあちゃんの鮭おにぎり。

おばあちゃんのおにぎりは、お母さんが作るものよりも少し大きくて、少しご飯が柔らかくて、そしてぴりっと塩気が効いている。中身は決まって鮭フレークで、一口ほおばるだけで中身にたどり着いちゃうくらい、それはそれはたっぷり入っている。

最後にあのおにぎりを食べたのは、もう20年近くも前だというのに、わたしはあの味がどうしても忘れられない。

小学校低学年、わたしがおたふく風邪になった時。ぱんぱんにはれた頬が痛くて痛くて、何も食べる気になれなかった。でも、食べて力をつけないと元気になんてなれない。
だから、お母さんが優しく聞いてくれた。「何やったら食べられそう?何が今一番食べたい?」
それに対するわたしの返事は「おばあちゃんの鮭おにぎり」だった。

徒歩10分の距離に住むおばあちゃんに連絡し、わざわざおにぎりを作って、持ってきてもらった。痛くてしんどいおたふく風邪のはずだったのに、あのおにぎりだけはなぜかおいしく食べられた。

「あやめちゃんが"おばあちゃんのおにぎりが食べたい"って言うてくれたん、嬉しかったわぁ」と、顔をほころばせて言っていたおばあちゃん。それを聞いて、わたしもとっても嬉しい気持ちになったことを覚えている。

そんなおばあちゃんは、もう随分と前に脳梗塞で倒れてしまった。右半身不随になり、利き手が使えず、言語障害も残ってしまった。今は施設に入居しているけれど、コロナ渦のせいで、もう1年以上も会えていない。左手だけでおにぎりを握るのは困難だから、今のおばあちゃんに「おにぎりが食べたい」なんて、もう言えない。

だけど、あの時作ってくれたおにぎりの味が、やっぱりわたしは忘れられない。あのおばあちゃんの鮭おにぎりを食べたら、なんだか元気になれそうな気がする、と、大人になった今でも思う。

きっと、これから先も恋焦がれる、わたしにとって忘れられない大切な味。


また食べたいな、おばあちゃんの鮭おにぎり。





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