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里親制度について

【清水彩子の一般質問】


現在日本には、虐待を受け、保護する必要がある子ども、保護者との死別や保護者の長期入院などの様々な事情で、親と一緒に暮らせない子どもたちが約4万2千人います。

保護者と暮らせなくなった子どもたちは、乳児院や児童養護施設などへ入所しますが、その生活は家庭とは異なり、複数名の子どもと一緒に、規律ある生活をします。

子どもは、特定の大人との愛着関係のもとで養育されることにより、自己の存在を受け入れられているという安心感の中で、自己肯定感を育み、人との関係において不可欠な、基本的信頼感を獲得することができるとされていますが、施設の職員は、常に複数の子どもたちが安全に暮らせるよう、様々な部分に目を向けており、また、交代制で勤務しているため、朝にいた職員と、帰宅したらいる職員が違ったり、転職や退職で、突然いなくなることもあります。

施設には原則18歳までしか居られません。18歳は成人と言っても、一人で生きていくに十分な知識があるとは限らず、施設を退所後、様々な契約の手続きや学費・生活費、仕事のことで悩んだりしても、相談相手もおらず、孤立するケースも多いと伺います。

そんな中、話を聞いて欲しくて、職員を頼り施設に帰っても、お世話になっていた職員がまだ勤めているとも限りません。そうしたことからも、安心して「ただいま」と言えて「おかえり」と言ってくれる里親家庭があることは、社会で生きていくためにも必要であり、子ども一人一人に合った暮らしを送るためにも、一般的な家庭の様子を知るモデルとしても必要です。

親と暮らせない子どもたちの事を、ひとごととしてではなく考える大人が、社会にどのくらいいるのかにより、子どもたちの未来、これからの社会は変わります。

しかしながら、依然、里親についてあまり知られておらず、里親になることを難しいことと捉えてしまうためか、全国的に里親の登録件数には課題があり、武蔵村山市においても、里親の登録件数が0件である状況が続いています。

どのような形であれば、自分が里親になれる可能性があるか、武蔵村山市の皆で考え、里親を増やしていく必要があり、増やせる可能性があるため、里親制度について伺います。

【市長答弁】


里親制度は、児童福祉法に基づき、都道府県の児童相談所が要保護児童の養育を委託する制度でございます。

市といたしましては、様々な事情で家族と離れて暮らす子どもたちが、家庭や家庭と同様の養育環境において、健やかに育ち、自立できるよう、養育家庭体験発表会の開催や各種普及啓発活動、ホームページによる広報など、様々な機会を捉え里親制度の周知広報に努めてまいりますので、御理解を賜りますようお願いいたします。

  



(清水彩子)
「里親制度について」再質問いたします。都内で現在、社会的養護のもと暮らしている子どものおおよその人数と、東京都の里親への委託の状況を教えてください。

(市の答弁)
何らかの理由により、親元で暮らすことが出来ない子どもが、都内には約4,000人いるとのことです。 
令和3年度末の都内児童相談所の状況となりますが、養子縁組里親委託を含む全ての里親委託で養育されている児童数は496人でございます。
 
(清水彩子)
わかりました。武蔵村山市の里親は、現在0件ですが、過去10年の、里親登録件数と、実際子どもが委託された里親数の推移を教えてください。

(市の答弁)
過去10年の里親登録件数は1件、子どもが委託された里親数はございません。

(清水彩子)
目標の登録件数を教えてください。

(市の答弁)
「武蔵村山市第二期子ども・子育て支援事業計画」におきまして、令和6年度までに養育登録家庭1家庭を目標としております。

(清水彩子)
まずは1家庭増え、委託にも繋がればと思います。何故、施設ではなく里親の養育が大切と考えられているのか、市の認識を伺います。

(市の答弁)
子どもが成長する過程においては、特定の信頼できる大人との間での愛着形成が、とても重要であると考えておりますが、そのためには、より多くの子どもたちが家庭と同じような環境で生活することが必要であるとの認識でございます。

(清水彩子)
ありがとうございます。皆でそうした共通の認識を持っていきたいと思います。武蔵村山市の現在の啓発の方法を教えてください。

(市の答弁)
市ホームページによる里親制度、Tokyo里親ナビ(外部リンク)の広報を行っております。また、毎年度、10月、11月の「里親月間」にあわせ、養育家庭体験発表会の開催及び個別相談会を実施しております。
令和4年度は、イオンモールむさし村山において、パネル展、相談会の開催、啓発グッズの配布を行っております。

(清水彩子)
わかりました。武蔵村山市としても、里親を増やしていく努力をしていかなくてはならないのですが、この先、どのように推進して行くのか、お考えがあれば教えてください。

(市の答弁)
東京都では、里親の広報・リクルート及びアセスメント、里親登録・委託前後における里親研修、子どもと里親家庭とのマッチング、里親委託中の養育支援、委託解除後の支援まで、一貫した支援業務を行うフォスタリング機関の設置を進めております。令和5年4月より小平児童相談所にフォスタリング機関である「特定非営利活動法人キーアセット」が設置されております。
主管課といたしましても、今後、このフォスタリング機関と連携し、これまでの里親制度の広報、体験発表会や相談会に加え、里親制度の理解推進のための出前講座やイベント等での啓発活動など、様々な機会を捉え進めていきたいと考えております。

(清水彩子)
小平児童相談所に、一貫した支援業務を行うフォスタリング機関「キーアセット」が設置されてよかったです。これまで、登録件数の多い自治体が、どのようなことをされてきたかというと、少人数参加でも、説明会・相談会を毎月開催し、里親制度をPRしたり、登録者数が増えたら、委託件数を増やす工夫として、乳幼児のみを希望する里親に、時間が経つと受入可能な年齢層が広がるケースもあるため、年に1回聞き取り調査をして、マッチングの可能性を広げたりと様々な工夫をされてきていますが、職員が状況に応じて様々な企画を立てることは難しいのではと感じていました。ノウハウがあるフォスタリング機関と連携することで、新しい取組ができると思います。

令和4年4月より、不妊治療が公的医療保険の対象となり、この動きと連動し、厚生労働省の主導のもとで、不妊治療を行う夫婦に対しても、里親・養子縁組制度に関する情報提供を強化することも決定しました。不妊治療を経て、里親を検討する方々は、特別養子縁組について考えることもあると思います。

過去に、厚労省検討会が全国の児童相談所・民間の養子あっせん団体に対して実施した調査の結果「要件が厳格」等の理由で特別養子縁組制度を利用できなかった事例 として、298件 のうち「実父母の同意」を理由とするものが 205件 、「上限年齢」を理由とするもの 46件という結果がありました。これは、里親制度は実親が親権者となるため、実親の同意がなかなか得られず、里親養育のまま、上限の6歳を越えてしまい、特別養子縁組に至らなかったということだと思いますが、令和2年に民法が改正され、6歳未満から15歳未満に対象年齢が引き上がったことで、実親の考えが無理なくゆっくりと変化して行く可能性も広がりました。 また、不適当な場合には実親の同意がなくても児童相談所が家庭裁判所に申し立てができる制度が創設されました。これにより、家庭復帰の見込みのない乳幼児を特別養子縁組につなげる機会が広がりましたので、そうしたことも、不妊治療を行う夫婦に届いて行くよう啓発していただけないでしょうか。

(市の答弁)
厚生労働省が作成した不妊治療を受けるご夫婦向けの啓発チラシ「特別養子縁組制度・里親制度」の配布や、医療機関説明用手引きの活用について、本市において、不妊治療を行っている武蔵村山病院様との調整を進めてまいります。また、今年度、武蔵村山病院職員等向けの里親制度に関する出前講座の開催に向けて、小平児童相談所のフォスタリング機関である「キーアセット」と連携し、調整を行っております。

(清水彩子)
ありがとうございます。フォスタリング機関である「キーアセット」、武蔵村山病院と共に取り組んでいくのは素晴らしいことだと思います。よろしくお願いします。


野山北公園の花

(清水彩子)
令和3年度、里親手当の改定がありました。改定の内容について教えてください。

(市の答弁)
令和3年度里親手当の改定につきましては、養育里親の場合、1人目の里親手当が令和2年度までの月額86,000円から令和3年度は月額90,000円となり、2人目以降についても、月額43,000円から月額90,000円へ増額、専門里親についても、それぞれ1人目の里親手当が月額137,000円から月額141,000円、2人目以降が月額94,000円から141,000円へ増額しております。

また、一般生活費(食費、被服費等 1人当たり月額)についても、令和2年度までの乳児の場合、月額58,570円から令和3年度60,110円、乳児以外の場合は、月額50,800円から52,130円へ増額しております。

(清水彩子)
手当や一般生活費が出るという事を知らず、お金がないから引き受けられないという方もいらっしゃると思いますので、情報として知っていただきたいと思います。
里親をサポートする市の担当課はどこになりますか。また、里親支援専門相談員についてもどのようなことをされているのか教えてください。

(市の答弁)
本市で、里親をサポートする機関は、子ども家庭部子ども子育て支援課・子ども家庭支援センターでございます。
また、里親支援専門相談員は、児童養護施設と乳児院に配置されており、社会福祉士、精神保健福祉士、児童福祉司となる資格のある者又は施設において児童の養育に5年以上従事したものとされております。

その役割につきましては、所属施設の入所児童の里親委託の推進、退所児童等のアフターケアとしての里親支援、所属施設からの退所児童以外を含めた地域支援としての里親支援で、主な業務につきましては、里親の新規開拓里親候補者との調整里親への研修里親委託の推進里親家庭への訪問及び電話相談レスパイト・ケアの調整里親サロンの運営里親会活動への参加奨励及び活動支援アフターケアとしての相談となっております。

(清水彩子)
わかりました。里親支援専門相談員がいることを心強く感じます。里親に実子がいる場合もありますが、実子にとって里子がストレスになった場合、実子が相談できる機関はあるのでしょうか。

(市の答弁)
子ども家庭支援センターや児童相談所、フォスタリング機関への電話相談や訪問支援時など、随時、相談を受付けております。また、里子の自助団体での相談等支援も行われております。また、他の里親との相互交流の中で、実子による交流も行われており、共通の悩みなどを相談しているとのことです。

(清水彩子)
わかりました。ストレスを感じている事を言い出せなかったり、子ども同士の関係も色々あると思うので、実子のケアも必要な場合もあると思います。相談できる場がありよかったです。
里親は里子との生活を望んでいて、里子自身はこれまでいた施設の生活に戻りたいという場合、どちらの意思が尊重されるのでしょうか。

(市の答弁)
里親、里子双方から、生活状況や養育状況、意思などについて、丁寧に聞き取りを行うなど、慎重に対応しますが、最終的には里子の意思が尊重されます。

(清水彩子)
家族というのは、長年一緒に暮らす中で、傷つけあったり、家にいることが嫌になったり、それを乗り越えたら仲良くなったり、色々あるものなので判断は難しいと思いますが、どうしてもその家にいる事が辛い場合もあるかと思い質問しました。里子の意思が尊重されるとのことでわかりました。

親族里親について伺います。手続きの仕方、要件について教えてください。

(市の答弁)
親族里親として子どもの委託を受けるためには、児童相談所の決定を経る必要がありますので、まず、児童相談所への相談、里親の説明を受けた後、委託に向けた協議を進め、親族里親の認定を受けることとなります。

また、認定要件につきましては、基本的な要件として、要保護児童の養育についての理解及び熱意並びに児童に対する豊かな愛情を有していること。里親本人又はその同居人が次の欠格事由に該当していないことが4点ございます。1点目は成年比被後見人又は被保佐人(同居人にあっては除く。)、2点目は、禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者、3点目は、児童福祉法等、福祉関係法律の規定により罰金の刑に処され、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者、4点目は、児童虐待又は被措置児童等虐待を行った者その他児童の福祉に関し著しく不適当な行為をした者、要保護児童の扶養義務者及びその配偶者である親族であること。要保護児童の両親等が死亡、行方不明、拘禁、疾病による入院等の状態となったことにより、これらの者による養育が期待できない要保護児童の養育を希望する者であること。が要件となります。なお、親族里親には、他の養育里親等にある経済的に困窮していないこと、里親登録に係る研修の修了は認定要件となっておりません。

(清水彩子)
研修は要件にないとのことですが、更新についてはどのようになっていますか。
 
(市の答弁)
養育里親、専門里親、養子縁組里親につきましては、登録に係る研修がございますが、親族里親については、研修はなく、ヒアリングや家庭訪問・調査が行われます。
また、養育里親、養子縁組里親の更新につきましては、5年毎の更新研修、専門里親は2年毎に更新研修を受講する必要がありますが、親族里親には更新研修はございません。

(清水彩子)
わかりました。祖父母は、扶養義務があり親族里親。きょうだいも、扶養義務があり親族里親。おじおばその他の親族は、扶養義務がなく、養育里親ですが、扶養義務のある祖父母きょうだいなどは親族里親として、児童の一般生活費等は支給されますが、里親手当は支給されず、扶養義務のないおじおば等については里親手当が支給されますが、おじおばが育てている場合、月額手当はどのくらいになりますか。また、祖父母が育てている場合、手当の周知はどのようにしているのか、おじおばが育てている場合「養育里親」として、里親手当がいただけたり、相談に乗っていただけますが、該当している市民にはどのように里親制度の周知をしていますか。

(市の答弁)
おじ・おばなど扶養義務のない親族が里親となった場合につきましては、養育里親の里親手当月額90,000円と一般生活費月額50,000円~60,000円が適用されることとなりますので、基本手当額として月額140,000円~150,000円に加え、幼稚園費、教育費、特別育成費(高校生)、就職支度費などが支給されます。

また、里親制度の周知につきましては、市ホームページによる里親制度、Tokyo里親ナビ(外部リンク)の広報を行っております。また、毎年度、10月、11月の「里 親月間」にあわせ、養育家庭体験発表会の開催及び個別相談会を実施しております。
また、子ども家庭支援センターで把握している要保護児童につきましては、親族里親に該当する場合には里親制度のご案内しております。

(清水彩子)
祖父母やおじおばが育てることになるケースがあると思うのですが、自分が手当などをもらえる対象だと気づいていない場合があると思います。この里親も増やせると思うんです。高齢福祉のほうで孫を育て始めた話、悩み事相談で、妹の子どもを育てている話、友人にそういう方がいるなど、そんな話をきいた時、聞いた人が「里親の登録はしているだろうか」と、里親制度が頭によぎり、支援に繋げられるようになっていくといいなと思います。広く周知・啓発をよろしくお願いします。

最後の質問になります。例えばひとり親家庭で、子どもが7歳で、親が1、2ヶ月入院が必要となった場合、周りに預けられる人がいなければ、子どもは一時保護が必要となり、家から離れた場所に泊まることになります。その場合、学校に行くことが難しくなります。もし、ファミリーサポートのように、同じ学区内に何人も里親登録されている方がいれば、その子は自分が通っている学校に、里親の家から通うことができます。市として、困っている親子がいる時に、子どもを温かく家に迎える社会を目指すべきだと思うのですが、このケースのように、一時保護のための里親でもいいという啓発をし、里親の登録を増やせないでしょうか。

(市の答弁)
児童の一時保護につきましては、児童相談所運営方針では、「一時保護所に一時保護し、又は警察署、福祉事務所、児童福祉施設、里親その他児童福祉に深い理解と経験を有する適当な者(機関、法人、私人)に一時保護を委託することができる」とあり、里親でも保護することが可能ですが、通常の養育里親と同じ手続きを経て、登録後、短期里親委託として児童を受け入れることとなります。委託期間は、原則として2か月以内とされております。

里親制度の周知・啓発につきましては、市ホームページによる里親制度の広報、養育家庭体験発表会の開催や個別相談会、フォスタリング機関による出前講座など、様々な機会を捉え、実施し、里親の登録数の増加につなげたいと考えております。
 
(清水彩子)  
是非、里親制度の中でも、始めやすいものをクローズアップする機会も持っていただきたいと思います。

養育家庭が珍しいと、養育家庭が目立ってしまいますが、里親制度を皆が知っていて、養育家庭があることが当たり前の武蔵村山市にしていきたいです。
                                    虐待されている子どもがいれば、周りの方は早く保護されることを願います。両親を亡くして身寄りがないこどもを知れば、かわいそうにと同情します。
しかし、それだけでいいのでしょうか。

虐待を受けた過去がある子ども、事故で両親を亡くした子ども、親の突然の蒸発、親の病気など、子どもたちは耐え難い過去と不安を抱え、たった一人で頑張っています。

急に里親になる事を考えるのではなくても、「我が家にもし、施設から子どもが来たなら、週末公園に連れて行ってあげよう」「誕生日には、ケーキでお祝いしよう」「眠りにつくまで絵本を読んであげよう」「夕飯を一緒に食べて「美味しいね。」と話をしよう」「「大好きだよ。」と伝えていこう」、そういう想像をしてみていただくだけでも、社会は変わっていくと思います。

現在、子どもを産まない選択をする方も多くいらっしゃいます。長い人生の中で、子どもを育ててみようかなと思った時に、里親制度が頭によぎるよう、様々な人に広く里親制度を知っていただきたいと思います。

たった一人でも心から信頼でき、味方になってくれる人がいれば、人は頑張っていけます。

子どもたちに、信頼できる大人が見つかり、自分らしい人生を送れるよう、里親が増える取り組みを推進していただきたいと心から願います。以上で質問を終わります。


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