やなせたかし「わたしが正義について語るなら」を読んで−③/本の話
続きです。
存外に前置きが長くなってしまったけれど、、、、
この本「わたしが正義について語るなら」を読んで、わたしが一番心に残ったのは、アンパンマンマーチの歌詞「愛と勇気だけがともだちさ」に込められた意味でした。
この歌詞、あれ?って思ったことある人多いんじゃないでしょうか。
アンパンマンって寂しくない?って。友達いないの?って。
でもここにはやなせさんの哲学があった。
人がヒーローになるのは、やむにやまれぬ状況に追い込まれた時。そいう時は人を巻き込まずに一人で戦わなきゃならない。その時一緒に戦えるともはは愛と勇気だけ。
本の帯にも書いてありますが、傷つくことなしに正義は行えない。とういうやなせ哲学が織り込まれていたんですね。
アンパンマン。子供向けの物語。そう思っていたけれど、そこに込められた哲学を知ると、なんだかアンパンマンが違って見えてきました。
その他、印象に残ったところを箇条書き。
・父の死、母の再婚により伯父の家に預けれられる
・優秀な弟との引け目を感じ、精神的に追い詰められて自殺を試みる
・第二次世界大戦で出兵し、飢えの辛さを知る
・終戦により一夜にして正義と悪がひっくりかえる体験をする
・三越の宣伝部時代にデザインした包装紙は今も使われている
・漫画家を志すも、泣かず飛ばす
・作詞、舞台演出、脚本、司会など、イラスト以外にも声をかけられるまま色々な仕事をこなす
・五十歳を過ぎるまで代表作はないまま
・アンパンマンのプロトタイプの絵本「あんぱんまん」は大人から大不評
・やなせさん自身も自信をなくすが、なぜか「あんぱんまん」の存在は心には残り続ける
・数年の時を経て「あんぱんまん」子供達に人気がある
・毎年子供は入れ替わるのに人気は続く
・純粋無垢な子供は正義の本質「傷つくことなしに正義は行えない」を感じ取っていると悟る
・アンパンマンのキャラクター設定は、「風と共に去りぬ」を参考にしている
・面白いには怖さも必要
・ とにかく何かをやりたいと思ったら、他の教養もつけないとダメ。1つだとそこから出られません。
やなせたかし、奥深い。含蓄がある。もっと知りたいなと思いました。
昨日、コテンラジオさんのやなせたかしヒストリーの3話目が更新されていました。
前記事で、コテンさんが流行りに乗ってるなんてちょっとガッカリした、、、とかなんとか書いた口で言うのもですが、リサーチ力はさすがです。やんやんさんの語り口も心地いい。参考文献リストが更新されたら、いくつかピックアップして読もうかな。
やっぱり本は面白い。
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