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6話、デザートフィッシュ(8)“ご飯パート2”
「ところでリリ? これ煙がすごくてよく見えないけど大丈夫?」
「感覚でやってるから、分かんないわ」
手を降ろすと魔法が解けてしまう直感があるので、煙のボールに手を向けながら、リリは答えた。
(折角だし名前をつけなきゃ、ドライオーブン! ドライウィンド! ……しっくりこないわね)
「っあ! アシュットウィンド! これは良い」
「どういう意味?」
「っ……えぇーっとぉ……ナイショ!」
リリ
6話、デザートフィッシュ(7)“ご飯パート1”
「準備できたよー」
ラーナがそれぞれの器に移し、声をかけた。
リリの器は相変わらずのスプーンである。
(わたし用の食器が欲しいわね……)
「それじゃあ食べてみましょ」
「うん!」
二人は手を合わせ、声を上げる
「「いただきます!」」
「わたしはスープから飲むわ」
「じゃあ、ボクは出がらしから」
ゴクゴクッとリリは勢いよく飲み干し、ラーナは大きな口で肉の塊を口に入れる、二人の姿
6話、デザートフィッシュ(6)“料理パート2”
”デザートフィッシュのコンソメスープ“
「ラーナ、待ってる間に次を作るわよ」
「んっ! お腹すいたー」
「この粉々の方で作るわよ!」
「はーい!」
(今回は美味しくなるかなー、なればいいなー)
①粉々になったデザートフィッシュをミンチ状にする
「これミンチにしたいんだけどできる?」
「ミンチ? どうやって?」
「そこは考えてない!」
堂々と答えるリリにラーナは困りながらも、意外な答えを
6話、デザートフィッシュ(5)“料理パート”
【料理レシピ】『デザートフィッシュ』
[デザートフィッシュの下処理]
①頭を外し、鱗を剥がす。
「頭と鱗は捨てちゃいましょ」
「どうやって?」
「頭はエラごと落として、鱗は逆らう様にナイフで剝がしちゃって」
「なるほどね、こんな感じ?」
ラーナはリリの持っていたナイフを持ち上げると、すっと頭を落とし、鱗も剥ぎ取る
(わぁお、わたしとは大違いね)
「リリ、これはそのまま捨てちゃうの?」
6話、デザートフィッシュ(4)
やっとの思いで多くの鱗を半身分剥がしたリリは、身を切ろうとするがあることに気づいた。
「一つ一つの筋繊維のに隙間が空いてる……空気孔? これもエラ?」
(んー、とりあえずは頭を落とすしかないかなぁ)
「内臓、は……流石にやめとこっ、未知のモンスター、内臓なんて怖すぎる!」
ガリッ! っという音と共に刃の勢いが直ぐに止まる。
(あっ! 骨!)
「これは……無理だ、関節にすら刃が通らな
6話、デザートフィッシュ(3)
「ラーナがマントを脱いだの始めてみたわ、思ってたよりスラっとしてるわね」
(すこしダボっとしてるのは民族衣装かしら? ちょっと中華っぽいわ)
独り言を言うリリの遥か前で、両手をガッツリと握り込んだラーナは空に向けて吠える
「ヴォオオォォォォー!!」
地面の砂が震えるほどの大声!
(ッッ!! これは人が出せる声なの?)
そう思うリリ、まさに野獣!
まるで虎と恐竜を足した様な咆哮、
6話、デザートフィッシュ(2)
「お、は、よう、ござい、まぁーす、ムニャムニャ………んふぁ〜〜」
リリは大きく手を上げ、身体をグゥーっと伸ばし上半身を起こす。
「リリ起きた? リリは寝ぼすけさんだったんだね!」
ラーナはそう言いケタケタと笑う。
寝ぼすけさんと言われたリリは目をこすり、おもむろに空を見ると、太陽はてっぺんに陣取っていた。
(うわっ、やっちゃった! 本格的に寝坊じゃん)
焦ってキョロキョロと辺りを
6話、デザートフィッシュ(1)
「おっはよーー!!」
ラーナが眠るリリの頬をつんつんとつつく、しかしうーんと唸るのみで、目覚める気配はない。
「リリ? まだ寝てるの? あーさーだーよー!」
朝から元気な挨拶をしている可愛らしい鬼っ子。
ハイ・オークでありながら、らしくない小さなサイズ感、天涯孤独になってしまった悲運の少女、この子がこのお話のメインヒロイン!
「うーん……あと、ちょっとー、あと5分……」
真逆に怠惰
5話、二人の旅立ち(3)
「リリ?」
「っあ、えっと……大丈夫よ! それより、わたしラーナさんを手伝うことにしたわ」
「急にどうしたの?」
「どうせわたしは急いで行くところも無いんだし、わたしも日記にある美味しい物やキレイな景色を巡ってみたいもの!」
「本気で言ってるの? 結構、危険だよ?」
「だいじょーぶよ!」
理由もなく自信満々に明るく答えるリリに、ラーナは怪訝そうに聞く。
「本当に? ボクもさっきまで死にかけて
5話、二人の旅立ち(2)
「小さいときはそんなに強くなかったんでしょ?」
「そりゃそうだよ、最初は特に大変だった」
「食べ物とか大丈夫だったの?」
「残飯を漁ったり、畑から盗んだりしてた」
「っえ?」
(そりゃそうよね……わたしには、ダメだなんて言えないわ)
思わず反応はしたが、掛ける言葉など見つかるはずもない。
リリは、ただただラーナの話しを聞くしかなかった。
「でもママの日記に『レンジャーだった、ゴブリンのこ
5話、二人の旅立ち(1)
「っ……これ……って」
若干、潤んだ瞳で鼻をすすり聞くリリに対して、ラーナはとても優しく、微笑ましく、朗らかに答えた。
「そう、日記、パパとママからボクへの手紙」
「もう戻れなかったって……」
(ラーナさんは両親を……てっきり故郷にいるものかと)
「うん、100年戦争の時にね」
「戦争の時ってことは、結構、前、よね?」
「16年前かな?」
「っえ! ラーナは何歳だったの?」
「4歳かな?