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異世界キャンプ チートはなくても美味しいものがあれば充分です

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「モンスターしか食べるものがないんだけど!」  ピクシーのリリは叫ぶ! 川雲百合、リリが人だった頃の名前だ。 ある日の仕事終わり、急に目の前がフッと真っ暗になると、魔道士に目的…
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2022年4月の記事一覧

15話、とてつもなく大きな鶏肉(4)

【内臓の下処理】

「よしっ! それじゃあラーナ、わたし達も内蔵を下ごしらえしていきましょー!」
「もっと欲しかったなぁ」
「充分でしょ!?」
「まぁいっか、それでどうしたらいいの? 切るの?」
「切るというよりかは掃除をするといった方が正しいわ、筋とか脂の塊とか臭くなりそうな所や、腐りやすい所は取り除いて欲しいの」
「あぁ下処理ね」
「その後に小さく切ったら、血を洗い流して、キレイな水に漬けて、

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15話、とてつもなく大きな鶏肉(3)

「妖精の言うことにわたしも賛成ですわ、せっかくロック鳥を倒して名声を得られるのですもの、変なものを食べて体調を崩したら元も子もないですわ」
「そんなに面子が重要?」
「貴族ですもの!」
「にしても気にし過ぎじゃない?」
「領民を守るためには必要なことよ!」
「お貴族様は大変なのねぇ」
「わたくしは女ですもの……」
「あーなるほどねぇ」

(クラウディアも大変なんだなぁー)

 リリも会社では女性が

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15話、とてつもなく大きな鶏肉(2)

「やっぱり大きいねぇ見てよこのサイズ! 美味しそー」

 大きな樽に水を貯め悩むリリにむかって、内臓を両手いっぱいに抱えたラーナが頬を緩めて声をかける。

「っえ!? ラーナ、また血みどろじゃない!」
「ンフフ」

 驚いて答えるリリだったが、ラーナの方は真っ赤に染まった姿で笑みを浮かべている。

「こんな大きいのはどう見ても食べ切れないって!」
「だったら、何日かに分ければいいじゃんか」

(分

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15話、とてつもなく大きな鶏肉(1)

 激闘を終えた一同の前でゆっくりと倒れたロック鳥。
 日が傾く、間もなく夜の闇が荒野の隅からやってくるだろう。
 それを見ていたラーナが当たり前のように言った。

「さぁ、食べよ? リリ!」

 乗り気ではないリリを気にも止めずに両手を合わせたラーナ。
 一礼をすると、そのままロングソードで解体を始めた。

「さすがに、みんな疲れてるだろうし後にしない?」

 話を逸らそうとリリは軽くジャブを打っ

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