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15話、とてつもなく大きな鶏肉(8)
「宴の時間じゃー」
(あんたは年中、宴してるじゃない)
心の中でつっこんだリリの目の前には大きな鶏肉の塊。
ガランティーヌを囲むように五人と一羽は、傍から見ると異教の宗教をしているようにも見える。
その一行は肉に齧りつき酒を煽る。
リリも久々のまともな食材にワクワクしていた。
「リリ、美味しいよ! ちょっと生なのが面白いね!」
ラーナの言葉に一抹の不安を覚えたリリももも肉に齧り付
15話、とてつもなく大きな鶏肉(7)
[2,中に詰めるタネを作る]
「パンは適当にちぎって……んんっ! 硬っ……しかも、量が多いぃー…………後回し!」
一本ちぎり終えたリリは樽の中のパンを数えるとサッと目を逸らす。
「それじゃあラーナが切っといてくれた内臓のあまりに調味料を入れよー……って、これも多いな!! ラーナが炒めてる分より多くない? あれっ? 肝臓が一番大きいんじゃ…………あー肺か! 鳥だもんねあの巨体を浮かせるんだか
15話、とてつもなく大きな鶏肉(6)
「どう? 出来た?」
「多分ね、ほらっ」
指さしたのは、水を張った樽、中の細切れのお肉の形がしっかりと見える。
「随分ときれいになったわね」
「ちゃんとやったからね!」
「血抜きも問題なさそうだし、作ろっか」
「オッケー!!」
リリを追いスカイロックを登っては降り、更にはロック鳥との戦闘までした後だというのにラーナの返事はいつもと変わらない。
(ちょっとラーナってば、ハイになり過ぎてな
15話、とてつもなく大きな鶏肉(5)
【ピクシーの生態と秘法】
リリは知る由もないが、ピクシーの秘法と多種族に呼ばれているものには、勘違いから起きたからくりがある。
力も弱く魔法に長けた体躯の小さなピクシー族は、自ら人里に下りてこない限り、まずみつかること自体が珍しい。
だからこそ、生活様式は謎に包まれているのだが、一般的に知られているのは魔法主体の生活をしており、ちょっとした力仕事ですら魔法で済ませること。
主食は木の実や
15話、とてつもなく大きな鶏肉(4)
【内臓の下処理】
「よしっ! それじゃあラーナ、わたし達も内蔵を下ごしらえしていきましょー!」
「もっと欲しかったなぁ」
「充分でしょ!?」
「まぁいっか、それでどうしたらいいの? 切るの?」
「切るというよりかは掃除をするといった方が正しいわ、筋とか脂の塊とか臭くなりそうな所や、腐りやすい所は取り除いて欲しいの」
「あぁ下処理ね」
「その後に小さく切ったら、血を洗い流して、キレイな水に漬けて、
15話、とてつもなく大きな鶏肉(3)
「妖精の言うことにわたしも賛成ですわ、せっかくロック鳥を倒して名声を得られるのですもの、変なものを食べて体調を崩したら元も子もないですわ」
「そんなに面子が重要?」
「貴族ですもの!」
「にしても気にし過ぎじゃない?」
「領民を守るためには必要なことよ!」
「お貴族様は大変なのねぇ」
「わたくしは女ですもの……」
「あーなるほどねぇ」
(クラウディアも大変なんだなぁー)
リリも会社では女性が
15話、とてつもなく大きな鶏肉(2)
「やっぱり大きいねぇ見てよこのサイズ! 美味しそー」
大きな樽に水を貯め悩むリリにむかって、内臓を両手いっぱいに抱えたラーナが頬を緩めて声をかける。
「っえ!? ラーナ、また血みどろじゃない!」
「ンフフ」
驚いて答えるリリだったが、ラーナの方は真っ赤に染まった姿で笑みを浮かべている。
「こんな大きいのはどう見ても食べ切れないって!」
「だったら、何日かに分ければいいじゃんか」
(分
15話、とてつもなく大きな鶏肉(1)
激闘を終えた一同の前でゆっくりと倒れたロック鳥。
日が傾く、間もなく夜の闇が荒野の隅からやってくるだろう。
それを見ていたラーナが当たり前のように言った。
「さぁ、食べよ? リリ!」
乗り気ではないリリを気にも止めずに両手を合わせたラーナ。
一礼をすると、そのままロングソードで解体を始めた。
「さすがに、みんな疲れてるだろうし後にしない?」
話を逸らそうとリリは軽くジャブを打っ
14話、討伐隊(8)
ピエェーーー!!
風が弱まったからなのか、何度も切りつけていたからなのか、金切り声を上げたロック鳥の脚が片方落ちる。
しかしロック鳥は逃げるように飛び上がり、天高くまで飛ぼうとする。
しかし何故かあまり高くまで飛べない、そのまま魔法石にブーストされたクリスタの跳躍により追撃を右翼に食らった。
「間に合いましたわね」
クリスタの攻撃が当たったと同時に、クラウディアとアンがロック鳥の前
14話、討伐隊(7)
クラウディアは訝し気な顔を直ぐに戻すと、真剣に答える。
「魔力もそこそこ戻りましたし、風の精霊を呼びますわ」
「遠くない?」
「精霊魔術は距離が自由なのよ」
「ふーん、そんなもんなんだ」
「それに、あちらもそろそろ援護が必要でしょう」
「それはそうね」
リリはクラウディアの言葉を聞き、改めてロック鳥の方を見る。
上手く飛べていないロック鳥だが、ラーナに対しては掴みかかるような動作はしてい
14話、討伐隊(6)
「ダメだ、来る! リリは日記もって待ってて」
そう言うと、ラーナは日記をリリに投げ渡し、懐から小瓶を取り出しグイッと飲み干す。
そして傍から見たら怪我をしてしまいそうなほどの、物凄い勢いで崖を降りていった。
「ラーナ、待って!」
「リリ様、戦闘は避けられない、そうラーナは判断したのでしょう」
「行きなさいクリスタ、依頼者に死なれては困るわ」
「クラウディア様の御心のままに」
軽い会釈を
14話、討伐隊(5)
(ラーナの鞄を持ち上げるのは無理、でも日記の一つぐらいなら)
ズルズルと日記を鞄から引っ張り出すと、飛んでいるときに邪魔にならないように、リリは日記と自分とを紐で結んだ。
本は立てた状態にして、自分には肩と腰の2箇所を通すように。
一度飛び上がり、一度持ち上げてみる。
「っん!」
(イタタタタッ紐が食い込んで痛ったーい、でも我慢すればなんとか持ち上がりそう)
持ち上がることを確認し
14話、討伐隊(4)
キュイ、キュイと鳴くロック鳥に紛れてリリの耳には会話が聞こえる。
「キキュイ、オカアサン」
「キュイ、エサヲモッテキタ、キキュイ」
鞄の中で身を震わせ丸まるリリのもとに、聞き慣れない声が聞こえてくる。
(聞き取りづらいけど、もしかして誰かが助けに来てくれたの? こんなとこまで?)
「エモノ、オオキイ、タイヘン?」
「バシャ、オーク、マモッテタ」
「オーク?」
「タタカウヒト、オーククル
14話、討伐隊(3)”料理パート”
【オニオンスープとバケット】
「っえ、バケットなんてあるの? そんな高いパン、ボク初めて食べるよ!」
思わずラーナがテンション高めに反応をした。
そして屈託のない満面の笑みで、お礼をする。
「ありがとう、クリスタ!!」
(初めて食べるバケット! テンションあーがるー)
「お礼は私に言うべきではなくて? 私の所有物ですのよ?」
ラーナのテンションに水を差すように、クラウディアがそう