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私は一生水着を着ないという呪い

私は一生水着を着ない
という、呪いにかかってた。

ことの発端は、気になるブランドから、可愛い水着が発売されるという情報を
Instagramで見つけたこと。
そして、その水着のデザインの可愛さに感動して、自分のストーリズでシェアしたことだった。


私のイメージの中の水着は、デザイン的に、ギャルっぽいものが多い印象だ。もしくはすごくヘルシーなデザイン。

元祖青文字系ファッションをこよなく愛していた私にとって、
好きなデザインに出会えないもの。それが水着だった。
こーゆーのじゃなくて、もっと、お洋服みたいなやつがいいのに。と思って探し続けた10代〜20代の私。
結局はいつも、デザイン性の少ない黒いビキニを買って、冒険をすることはなかった。


そうこうしてるうちに、水着の旬がすぎた。
季節の話じゃない。
私の年齢的な話だ。

出産を経て、元々スリムではなかったのに、
意味不明なところにも肉がついた。
意味不明なところには肉がつくくせに、
なくなって欲しくないところの肉は貧相になった。
太ってる、とか、ポッチャリとか、
そういうことばだけじゃ言い表せない体型は
「一生水着を着ることなんてないな」
と、思うのに、充分な説得力だ。

その後ダイエットもした。したよ。
ダイエットに関しては、自慢じゃないけど、めちゃくちゃストイックにやるから、絞れるし、痩せるんだ。
痩せるけど、水着を着るには至らない。
てゆうか、水着を着るに至らないのではなくて、
頭で思うより早く、
残念に感じることさえなく、
当然のように、
「私は一生水着を着ない」
と思っていた。

もっというと
「私は一生可愛い水着は着ない」だ。

だから、インスタグラムで、
その、可愛い水着の写真が流れてきた時には、
ほんっとうに羨ましい気持ちになったし、
当時の私に教えてあげたいと思った。
令和の時代には、こんな可愛い水着が当たり前のように存在するんだよ!と。

それで、ストーリーズにシェアする時に
「あと100歳若ければ着たかったなぁ」
と書いた。自虐だ。100歳若ければって書くところに、あざとさを感じる。
15歳若ければって書くと、
“15年前のお前は着れたんか?こんな可愛い水着を?着れねーだろ!”
と、私の中の意地悪な私が顔を出して、袋叩きにするような気がした。
だから
「あと100歳若ければ」
とおどけてみせるような一言を添えたのだ。

そんな投稿に、周りの友人たちは、意外にも肯定的だった。

「え!可愛い!着ようよ!」
とか
「これ着て手稲プール行こう!」
とか。

「今世でも間に合うから着ましょう!」
と声をかけてくれた友人に対しては

「うそ、ほんと?じゃあ着るか笑」
なんて、ふんわり返信したのに

「このデザインならグレイヘアの80歳になっても着れますよ!」
と、相手は本気だ。

「あははは!じゃあいつか着ようかな」
なんて、返していて気づく。

え、待って。なんで私、そんなの無理に決まってるじゃんって思ってるんだろう。
この返信してくれてる友人は、
多分心の底から、私が水着を着ることを普通のことだと思ってる。
それは多分、私が好きなスニーカーを買って履くのと同じくらい、
可愛い水着を着ることも普通のことだと思ってるのに、
なんで私は、
「私は一生水着を着ない」
って決め付けてたんだろう!?


と、気がついて、正直にそのことを伝えてみた。

「私、自分はもう2度と水着を着ないっていう呪いをかけてたかも」

相手は、心底驚いたような返信をくれた上で
「あやかさんに似合うカワイイ水着たちが世界中で待ってますよォ〜!!!!」
と言ってくれた。

まじ素敵でしょ。私もこんなこと言える女性になりたい。

「私は一生水着を着ない」
は、ある種の呪いだ。
この言葉の根底にあるのは
『私みたいな太ったおばさんが水着着たいなんて、恥ずかしいことだ。着れるわけがない。着たいと思うことさえ許されない』だ。
言い過ぎな感じがする?いやでもそうなのよ、きっと。
そして、これを無意識に思ってる自分がいるんだよね。それが1番良くない気がした。

あの水着を買うかどうかは、わかんない。
こんなに言ってもらったのに、まだ自信は持てない。

けど、彼女とやりとりした後、私は、
いつもなら選ばない形の帽子を選んで、
いつもなら選ばない色の口紅を買った。

自分が自分にかけている呪いがたくさんあることに気がつく。

いつのまにか自分にかかっていた呪いは、
自己防衛のために自分自身がかけた呪いだ。

これからは
一つ、一つ、その呪いを解いていこう。
全部解けた時、私はどうなっているだろう?

真っ赤な口紅とリボンがたくさんついた水着を着て、
グレイヘアーで笑ってるかも。

それって、すごく、いいと思う。
すごく、いい未来じゃないか! 

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