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豊かに暮らす、とはどんなものだろう

2020年、私はCovid-19がきっかけで、スタートアップでのケニア駐在から日本に帰ってきた。


変えられない状況。
これからの自分のキャリアはどうしよう、どのように生きていきたいだろうか。もわっとした感情と向き合いながら、実家のある福岡の田舎町で7年ぶりに家族と過ごしたり、人口数千人しかいないような地方の町や人を訪れるうちに、徐々に心が豊かに満たされていくのを感じ、それに応じて素敵な偶然の巡り合わせが次々やってきた。

一体、豊かに暮らす、とはどんなものだろう。

2020年を生きる中、自分の中のピンと来るキーワードとして”well-being”や”田舎暮らし”が見つかってきた。それらに共通する『豊かな暮らし』。具体例から抽象度を上げて、身の回りでそんな環境を創って広げていくのが私のライフワークなのでは?と感じている。そのためには、もっと自分自身の中で、言語化できる体験を積みたい。

そんな想いで今回2021年3月、北海道のど真ん中に位置する、旭川市でのワーケーションに参加した。初めての冬の北海道。おいしい食べ物以上に、心とお腹がいっぱいになっている。ほんの2週間。でっかい北海道のほんの一部の地域の出来事。その中で感じた「豊かな暮らし」への気付きをつらつらと書いてみることにします。私の周りの誰かにも、何か感じてもらったり、豊かな生き方に繋がる偶然に気付いてもらえるといいなと思います。

数分間、お付き合いください。


・そもそもワーケーションとは?

「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた造語。オフィスを離れ、どこかで休暇を過ごしながら働くことだ。


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・ワーケーション滞在地、Nest co-living Asahikawa

さて、今回私が旭川で滞在したのは、Nest co-living というコミュニティスペース兼シェアハウス。ワーケーション期間は2週間。元歯科医院だった場所を街の人を巻き込んでDIYしてリノベーションされた。場所の名前のnestの由来の通り、"鳥の巣"のような『安心と挑戦』を行き来する人のための場所だ。

ここでは、移住者や起業者への相談、Nest global school (https://www.nest-coliving.com/)という英語を通したグローバルへ活躍したい人のための学校、もやもやを感じる人のための一歩踏み出すイベントスペース、、、などが開かれ、一言では言い表せないくらい、いろんな人が集まる。中学生、オペラ歌手の卵、高校の先生、ウェディングプランナー、トライアスロン起業家。今回初めて出会った人だけでも、20人以上にもなる。

そんな多様な人々に囲まれた、旭川の2週間。
九州育ちで雪国未経験の私にとって、来る前のイメージは、極寒で豪雪の未知の世界だった。

旭川は、寒い時には気温が-20度になるほど、冬の寒さが厳しい。一晩中ストーブを焚いていないと水道管がすぐ凍結するし、深く雪が積もったら、車がハマる。1年の半分以上も雪で覆われているらしい。

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実際、8年ぶりの大雪が降った滞在中のある日、初めてNestにやってきた方の車が駐車場の前で雪にハマった。大人5人で車の下の雪を掘り出したり、木の板を使いながら車体を押して、30分ほど格闘後、なんとか車を救出。名前も知らないのに、なんだかチームで1試合やり切った達成感が漂っていて、みんな笑顔になっていた。


また別のある日。旭川に来てからできた友人カップルの家に雪ハプニング。森の中の小屋にひっそりと芝犬と3人で住んでいるのだが、屋根からの雪が凄すぎて、窓が割れ、壁に亀裂が入ったとのSOSに、助けに行った。

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積雪3メートル。屋根の上から落ちた雪が解けたり凍ったりを繰り返して2-30センチくらいの氷の層になり、その上に雪が積もる。

夕方薄暗くなり始めた頃から、大人5人で3時間。壁の周りの雪を除くため、掘っては、削り、掘っては削りを繰り返す。しんどい。雪を2メートル上の雪山の向こうに放り投げるので、腰は痛いし、シャベルやツルハシを握る手の握力はだんだんなくなる。髪は凍る。雪国に住んでいなければ、絶対に体験しない一種の農作業。収穫物はないが、生きるためにやらねばならない、シゴト。
なんとか、しばらく数日は大丈夫だろうというところまで除雪した後、あったかいお家のコタツに入り、美味しいご飯と冷えたビール。

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「ほんと大変だよね〜」とかいいながら、みんな笑顔。「もう雪は飽きたよ〜」といいながら、春にキャンプ場を作る計画についてワイワイ。
そのまま疲れてウトウト。。時々芝犬に顔を舐められて目が覚める。そのまま一緒に、朝日が雪を照らすまで、寝ていた。

一見すると大変で便利からは程遠い暮らし。だけど、そこに素敵な仲間がいて、一緒に働いて、一緒にご飯を囲んで、次の挑戦について語り合う。そんな日々がとても楽しい。
豊かに生きるには、人が大事だ。

こんな働き方を、自分の会社でもできないだろうか?


話は変わるが、私は今、アフリカのエアコン屋さんで働いている。Baridi Baridi(バリディバリディ)という会社。日本の省エネエアコンを通して、心地よい風を多くの人に届けるため、使いたい分だけ支払うサブスク課金システムで、巨大なアフリカ市場に挑むスタートアップだ。最初の展開国として、年中常夏30℃のタンザニアという国で事業を進めている。

そんな会社で、旭川でのワーケーション中、
「5年後、自分はどんな会社として見られたいだろうか」
を考える全社ミーティングがあった。

「ブランディングとかイメージ、って大事かなあ。ぶっちゃけエアコンって、涼しければなんでもいい。別に会社名とか関係ない」
そんなフィードバックを知り合いにもらうこともある。

本当にそうだろうか?
確かに、私も今まで自分の家のエアコンのメーカーを気にしてもいなかったし、未だに実家のエアコンのメーカーすら知らない。

でも、雪国旭川で見つけたあったかい空間が、私の豊かな暮らしを助けてくれたように、
タンザニアの暑くてジトッとした国で、心地よい風がおいしい食卓と仲間の笑顔を引き出すキッカケになってくれないだろうか。

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汗ダラダラの中疲れて家に帰ってくると、家族がひやっと涼しい室内にしておいてくれて、一緒においしい夕食を囲む。今日もがんばった甲斐があったな〜と心でニッコリ。

エアコンが壊れて困った時には、サービススタッフがすぐにやってきて、丁寧に直してくれて、そんでもってエネルギーを持て余した子供達の相手をしてくれて「あのエアコンのお兄ちゃん面白かったね〜」って子供がケラケラ。

店のエアコンのメンテ中にお客さんが来て、なぜか一緒に「いらっしゃいませー」なんて言っちゃて「なに、新しいスタッフかい?いや、エアコンの清掃のニイちゃんだよ。なんだすごい明るいんで元気がでたよ。今日仕事が忙しくて大変だったからさ、、元気が出たんで、同僚用にもう一本コーラ買ってくよ」なんて会話が生まれたり。

快適な空気は目には見えないけど、人の笑顔を支えるのは、心の余裕だったり、居心地の良い環境だと思う。


改めて、「5年後、どんな会社として見られたいだろうか」。

幸せに余裕をもって暮らすには、雪国でストーブやヒーターが必須なように、暑いアフリカの国でも、涼しい環境を生み出すエアコンは、必要だと思う。

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その時、『どうせエアコンを選ぶなら、、Baridi Baridiが安心で、クールで、素敵だよね』
と、ユーザーに選ばれ続ける会社になっていきたいし、

一方で、会社のメンバーには、がんばって働いた後、ホカホカで出来立てのおいしいウガリランチと、笑顔いっぱいのチームで食べるご飯の雰囲気が最高だよね、と従業員に思われる会社であればいいなあ。


・結局、豊さとは人ですよね

やっぱりここまで書いてみて、豊かな暮らしとは自分1人で達成出るものではないんじゃないかなぁ(少なくとも私の場合)。だからこそ、会社や今住んでいる環境に囚われず、自分が生きていて楽しい!と感じる瞬間やそう思わせてくれる人が少しでも多い方を直感的に選べるよう、余裕を持ち続けたい。

近々、豊かな暮らしを1からつくれるお気に入りの地域を、見つけて拠点をつくりたい。暮らすところと働くところがなめらかに繋がる場所。

そんなグラデーション豊かな暮らしの妄想をしながら、お土産でもらった旭川のクラフトビールをもう一本、開けようと思います。

私のtwitterでも、「はたらくと暮らすを豊かにつなげる」自由研究について、日々発信してるので、よかったらぜひ覗いてみてください。

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