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おくりもの

「新しい住所をもし良かったら教えて^^贈り物をしたいな。」

今年の春、大学卒業の報告をFacebookに綴ると、お世話になっている方がそう連絡を下さった。

それも私に合っているものを贈りたいと、何ヶ月も悩んでくださっていた。そしてつい先日、半年ぶりにお話させて頂いた時。

「ジブリ好きなの?」

と聴かれて答えると、

「だったら、ジブリの『熱風』っていう小冊子をプレゼントしてもいいかな??」

という有難い提案を頂いたのだ。

その小冊子が数日前、私の手元に届いた。なんだか懐かしい気持ちを思い起こすような、その冊子の姿にすっかり見惚れながら手に取って開く。

煌びやかな今どきのおしゃれさとは違うけれど、スタジオ・ジブリの大切な根幹に触れているような、そんな気持ちになる紙の質感と匂い、そして綴られる言葉に息を呑んだ。

早速嬉しい気持ちを写真と共に、その方に送る。

そうすると、届いたことの嬉しさと時間がかかった理由を説明して下さっている中に、さりげなく「毎月、届くよ」の文字が並んでいる。

!?!?毎月届く!?

ゆっくりその文章を視線でなぞっていると、この小冊子は年間購読のものらしく、毎月1冊ずつ届くプレゼントなんだと言うことを理解した。

なんて粋なんだ。

お祝いの言葉だけでも嬉しく、贈り物を頂けるだけでもスキップしちゃうのに。毎月届くプレゼントなんて、言葉に代え難いほど嬉しい。

あまりの幸福感に、私も1回きりじゃなく、ひとつの期間に少しずつ届くプレゼントを贈ってみたくなった。

そしてそのスタジオ・ジブリの小冊子『熱風』が、まさに今日の私に熱い息吹をかけてくれた。

明日、私の専門分野や得意な分野とは少し外れているけれど、やってみたい!面白そう!と感じていることが新たに加わる打ち合わせが待っていた。

やってみたい!面白そう!そう感じるものの、その分野で私は駆け出しを名乗るのもおこがましい程、技術レベルは足りていない。

昨日の晩からそれが悩みの種だった。

あらゆる媒体で調べて、「私以外にも適任があるんじゃないか」と悩んだり、それでも周りのレベルに急速に追いつかなきゃいけないのではないかと焦りも生まれていた。

そんな中『熱風』を開いて、触っていると、やっぱり懐かしい気持ちになる。なんでこんなに懐かしいんだろうと不思議がっていると、ここには過度な着飾りがないことに気づく。

開いて文字に目を通せば通すほど、むしろ目次を眺めるだけでも伝わってくる。

この小冊子は、ジブリやアニメーション、創作を愛してやまない、いやもう溺愛している方々の愛する心で出来ている。

そんな愛の詰め合わせのような冊子には、「映え」を狙ったような装丁も装飾も必要ない。華やかさの演出なんて必要ないのだ。だって既にジブリの持つメッセージ性も、詰められた愛もとっても豊かだから。

着飾りや過度の適応と迎合よりも、何よりも温かい「等身大の豊かさ」を、この小冊子から感じた。

読み終わるのが勿体無いと思いつつ、ちまちまと読み進めていると、さっきまで焦っていた心は凪のように落ち着く。

今回繋がったご縁の先の方は、私を技術だけで頼って頂いたわけではないのだと思う。多分「私だから」「出会うべくして出会ったから」そんな意味合いの方が強いんじゃないかと、メッセージのやり取りの中で感じた。

その感覚を大切に、明日は見せかけの着飾りじゃなく、「等身大の豊かさ」で向き合おうと、『熱風』に背中を押してもらった。

これからの1年間の月に1度の贈り物は、私を包み込むような風になる予感。

かみつれ日記 2022.11.17

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