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次世代ここにあり「衣食住音 vol.12」開催!

梅雨の雲に空は覆われ、街には色とりどりの傘が肩を寄せ合う。雨がやむまではあと一息。そんな不安定な天気であったが、6月13日(月)の渋谷CRAWLには次世代の注目バンドを目当てに多くの人が押し寄せた。ドアを開けると、フロアは観客で超満員。ステージの空気が動く瞬間を、まだかまだかとみんなが待ち構えていた。

トップバッターを飾ったのは、千葉の”archall”だ。ベードラの掛け合いから『shouturge』が始まり、そのリズムに合わせて会場からは自然とクラップがなりだす。ドラム・ギター・キーボードとつながっていくソロもばっちりに決め、その独特な歌詞でarclallの世界にどんどん引きずりこんでいく。曲間でBaサクマ(Ba.)が「対バンがすごすぎてびびってます。」などと漏らしていたが、そんな緊張は微塵も感じられない。リズムチェンジが何度と繰り返される『君思う、故に世界あり!』、キーボードの伴奏が雨に揺れるような『Thank You Good Luck』を披露し、『生馬州レクイエム』を演奏するころには、真っ直ぐな瞳で歌う梓未(Vo.)の姿に会場中が惹きこまれていた。最後に演奏したのは『アオイちゃん』。この日、初めておおやけでパフォーマンスしたらしいが、堂々としたステージングは抑揚が色濃く表現されて、会場をおおいに温めた。

 

満点の笑顔と共に現れたのは、本年度VIVA LA ROCKにも出演した埼玉の”アルデヒト”だ。パワフルなドラムが冴える『アン・ライクリー』でステージはスタート。始まりから既に、彼らの顔には満面の笑みが浮かんでいた。自信に溢れたその姿は、魅力的という言葉がよく似合う。サイケデリックなギターソロのある『夜行列車』では激しいパフォーマンスをするも全く疲れをみせず、『longing』へとつないでいく。「もりあがる曲をやります!」というコールで始まっただけあり、会場からはたくさんの手があがっていた。ラストに演奏した『ウォーカー』は泣き曲で、ディレイを響かせたイントロを聴いただけで、涙腺を持っていかれそうになる。「トンネルが長かった分、抜けたらその分眩しい」そう語る彼らの思いが音に乗って、人々に届いたことは間違いない。MCでたくみ(Vo.)が「メジャーデビューするのが夢なんです!」と声高らかに宣言していたが、彼らならきっと有言実行してくれることだろう。

 

折り返し地点に登場したのは千葉の”ユレニワ”である。アンニュイで妖艶な空気感をまとった彼らは風格もあり、とても高校3年生とは思えない。ましてや、結成3か月なんて信じられない。「1,2,3,4!」の掛け声でスタートしたのは『Envy』。リズムチェンジが激しいこの曲を彼らは何の問題もなく魅せつける。続けて和な旋律が際立つ『ギヴアップ』、ギターの速弾きソロが際立つ『馬鹿』へと続いていく。シロ(Vo.)の「親しい人に限って振り回されるじゃないですか。イライラすることもあるけど、実はそれを心のどこかで気持ちいいと思っている」という紹介で始まったのは『PLAY』。リズムチェンジがたくさんあるこの曲は、振り回されて目まぐるしく変化していく心そのもののようだ。曲間も絶えずドラムはなり続け、ラストの『チョコレート』へ続く。スローテンポなナンバーを切なく歌うその姿に、会場は胸を打たれ、穏やかな空気が流れた。夜も少しずつ深まっていく。

 

続いてスポットに照らされたのは、福岡の紅一点”ポルカドットスティングレイ”だ。打ち込みと共に始まった『ハルシオン』により、魅了された会場がグッと前のめりになる。個々の技術力も高く、完成度は抜群だ。雫(Vo.Gt.)の「ところでみんな、新曲ききたい?」という掛け声で始まったのは『シロクロニシカ』。ビート感に溢れた曲で、高速スラップのベースソロも気持ちいい。彼らの勢いは更に加速し、毒々しさとキャッチ―さを兼ね備えた『夜明けのオレンジ』、カッティングがきいたダンサブルな『テレキャスター・ストライプ』と続く。『テレキャスター・ストライプ』の曲中ではコール&レスポンスもあり会場がおおいに沸いた。締めくくりに演奏した『人魚』は、彼ら激推しのアダルティーでジャジーなナンバー。メロディックなギターソロもあり、さらに彼らがファンを増やしたのは言うまでもないだろう。9月にまた彼らは東京に戻ってくる。より進化を遂げた姿を目にするのが今から楽しみだ。

 

最後にステージに立ったのは本日唯一の3ピース、横浜の”Althea”だ。ステージ上でこぶしを合わせ、ショータイムはスタート。彼らの演奏はすごくパワフルで、とても3ピースとは思えない音圧だ。『裏表』で男性が憧れるようなカッコいい一面を魅せたかと思えば、『三角形』で女性がドキッとするような表情を浮かべてみせる。勢いだけでなく実力に裏付けされた彼らの演奏はグルーヴ感があり、体にリズムがしっくりはまる。ゆーへー(Vo.Gt.)はMCで「俺はあなたたちの心に何かを届けるために本気で歌う」と、語っていた。その言葉に嘘・偽りが無い事は、彼らの演奏から感じ取れる。愛しい時間は止まることなくアップテンポな『Never Knows Best』、真っ直ぐな思いが一心に詰まった『君へ』とつながっていく。ステージから一点に遠くを見つめるその姿は、イマを生きるバンドマンそのものだった。演奏が終わりステージから彼らが去った後も、拍手は鳴りやまない。naoya(Ba.)が「アンコール頂いたの初めてです。ありがとうございます。」と語り、始まったのは『天気予報』。この曲は彼らが初めて作った曲で、その完成度から長く大切に歌っていた歴史を感じにはいられなかった。こうして、邦楽ロック最先端の夜は幕を閉じたのだ。

 ライブが終わり外に出ると、雨はあがり雲の隙間からは月が覗いていた。出演者たちの勢いが、雨雲をどこかに吹き飛ばしたのだろう。次世代の邦楽ロックの未来も明るい。

「衣食住音」はすでにvol.13が7月11日に決定している。新しい時代の幕開けを一足先に目の当たりにするなら、参戦必須間違いなしだ。


「衣食住音 vol.13」

7月11日(月)渋谷CRAWL
OP18:10/ST18:30
Althea
/パイロットフィッシュ/まぜたらうまい
APRIL MONET
/kobore/ROCK RIVER

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参照

archall twitter

アルデヒト twitter

ユレニワ twitter

ポルカドットスティングレイ twitter

Althea twitter

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