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おっとりドラマーに届け!セッション実践講座に行ってみた話

趣味でドラムを叩くおっとりドラマーさん、こんにちは。
先日、京都で「セッション実践講座」というものに行き、それがとても楽しく&オススメしたい内容でしたので、レポートしてみます。

特に、次のような方にオススメです!
●レベルアップしたいがどんな方法が効くか考え中
●レッスンを短期体験してみたい
●コツコツ個人練習するのに飽きた

~もくじ~

その1:普通のレッスンではなく、なぜ「セッション実践講座」に?

その2:セッション実践講座の中身

その3:講座を通して学んだこと



■その1:普通のレッスンではなく、なぜ「セッション実践講座」に?

わたしは高校時代にドラムを始め、30歳を越えた今も、会社の同好会でぼちぼちと叩いています。個人練習するのがめちゃめちゃ嫌いという性分もあって、思えば10年以上もドラムをやってるのに、未だド下手の領域を出ません。

上手くなるための手段として、ドラム教室に興味はありました。
でも一人でレッスンだけ受けても自分で練習なんか絶対しないからなー。レッスンに掛ける費用に対して効果薄いよなー。
等々思いながら「ドラム」「音楽教室」「レッスン」など検索する日々……。

そんな中、見かけたWEBサイトで一気に興味が湧いたのが、セッション実践講座なるフレーズでした。

レッスンで「勉強になる」のはとても有難いことだけれど、「自分がオモロイ」こと第一主義のわたし。どうせ行くならその日を楽しめるような体験がしたかったのです。

そんなわたしにとって、セッション体験が付いてくることほど魅力的なことはありませんでした。
音楽には色んな楽しみ方があると思うけれど、自分はやっぱり「人と合わせて」演奏するのが一番楽しいと思っているし、ドラムをやる上で一番の目的はそこにあります。

セッション実践講座という名前が付いていることからして、この講座が目指す目的地と、自分の目的地にはきっとブレがなさそうだな。と思いました。

1日だけ参加ができるのも、気軽さがあって、良かったポイントのひとつでした。

■その2:セッション実践講座の中身

そういうわけでイソイソと申し込みし、8月12日(日)、会場である京都 スタジオラグ西院店へ。

なお、事前に課題曲を教えてくれるのですが、今回はStevie WonderのOverjoyed。
原曲はメロディや展開の美しさを際立たせるためか、目立つドラムはゼロ。
「おお……。これをセッションか……」と頭を悩ませます。セッションするには、自分なりの引き出しや曲の解釈が求められる課題だと感じました。


当日の流れは以下のような感じです。

●講師陣のセッション実演
●生徒が講師陣に混じってのセッション【Before】
●各パートに分かれてのレクチャー
●生徒が講師陣に混じってのセッション【After】


スタジオ一室に講師・生徒ともに集まって、講師陣一人一人のご挨拶もそこそこに、まずはお手本 ●講師陣のセッション実演 を見学します。

講師のみなさんの演奏はというと…
ちょっと「不思議」なニュアンスのあるイントロから、ゆったりと隣の"you"に話しかけるような雰囲気で始まるボーカル。曲が展開していくにつれて、音量は維持しながらも華やかさが出てくる。二番は少し明るさが増して、座っていた人が歩きだすイメージ。終盤に向けて盛り上がり、どんどん視界が開ける……。

と、まぁこれはわたしの勝手な感想ですが、おだやかながらも熱量があり、一曲の中で表情の移り変わりを感じます。演奏が素晴らしいのは言うまでもなく、いやぁ~いい曲だなあ。としみじみ感じ入るばかり。


さて感動の余韻に浸る間もなく、ここからは、生徒一人が講師陣に混じる形で ●生徒が講師陣に混じってのセッション【Before】を行っていきます。

この日は、ボーカルが5名、ギターが2名、ドラムが1名(わたしだけ)でした。生徒さん方は個性豊かで、皆さんの演奏を聴くのもおもしろいものです。

最後に順番が回ってきたわたしは、「自分の引き出しが試される……」とか何とか言ってたものの、全くの無策・NO練習で挑みました。
まず16ビートっぽいハイハット刻み・バスドラのタイミングが全く合っていない……。
なんか音色も、同じドラムセットなんだけれど、さっき先生方が叩いていたのとは全く違って汚い……。
やっとこさ一曲を叩き終えて、とりあえず、人前で演奏する緊張から解き放たれました…。

休憩を挟み、続いてパート毎に分かれてスタジオに入り、●各パートに分かれてのレクチャー を受けます。
この日、ドラムの生徒はわたしだけでしたが、先生はなんと二人いらっしゃいました!
なんと贅沢な!費用対効果がスゴイ。


ここからレクチャー内容を書きますが、これはわたしに合わせて頂いたもので、色々とその時いらっしゃる生徒さんに合わせて変更されることを前置きしておきます。

①ウォーミングアップ

まずは、右手・左手・右足を使った軽い運動をします。

右手でフロアタムを4分音符4発、左手でスネアを4分音符4発、次は8発を右左交互に。
これを4分音符のクリックに合わせて叩きつつ、8分音符裏拍で右足のバスドラを入れる。

さらに、表・裏を、右足と右手・左手とでひっくり返し。頭の4つ打ちをバスドラで踏む形に。
慣れている人には何てことないが、なかなか不安定になってドッタドッタと跳ねたように聞こえてくる。

ここで大事なのは、「クリックは4分音符だが、自分の中で8分音符をしっかり感じること!」

②課題曲の基本的なパターンを叩いてみる

基本的に16ビートの曲なので、当然のことながら自分の中で16分音符を感じることが大事。
ここで先生からご指摘があったのは、わたしがあまりにも「人に合わせようとしがち」だということ。

もちろんアンサンブルの中で、ベースとのコンビネーションだったり、ボーカルやギターのカッティングを気にかけたりするのは大切。
でも、ドラムはブレずに、自分の中で感じる16ビートを守ろう!

個人練習として、実際に以下のように唱えて叩いてみる。
「1 e and a 2 e and a 3 e and a 4 e and a」
自分が叩くハイハットやバスドラのタイミングが、この唱える拍子のどこに乗るのか?明確にすることで、出す音の輪郭もハッキリする。

そしてフィルインになったときも、「頭を切り替えてしまう」ことなく、同じ16ビートを感じ続けること!

また、クリックに合わせてパターンを練習するときに、クリックを頭(1・3拍目)で鳴らすときと裏(2・4拍目)で鳴らすときとで、自分の中で感じる16ビートを変化させないよう注意。
これは、アンサンブルになったとき、他のパートの人がどんなリズムで演奏してもぐらつかないために。

他にも、音色について改善ポイントがたくさん。

リムショットのとき、スティックとリムの当たる位置を変えてみたり。
短いストロークのまま「素早く振る」ことを意識したり。
↑かなり音色が変わります!

クラッシュシンバルを叩くときにスティックのショルダーを当てるようにしたり。
↑チップが当たってしまったときよりも、まろやかに響く、Overjoyedに合う音色になりました!

タムを、自分が思っているよりも強く叩いて「鳴らす」ことを意識したり。
実際の打点よりも少し奥を叩くイメージで。
↑自分が叩きながら聞いている音より、外側には「響いていない」ことを自覚しました!

③ベースと合わせてみる

ここで、今回はベースの生徒さんがいなかったこともあり、ベースの先生と合わせてみる練習を入れて頂きました!
↑メチャメチャ贅沢!

Overjoyedの構成通りに合わせる前に、なんと打ち合わせなしの純粋なセッションを!
↑メチャメチャ贅沢!

「ずーっと同じテンションで繰り返しではなく、一応、曲が始まって終わっていく流れでやってみよう!」

と、いうことで、ベースの盛り上がりを気にしながら少しずつパターンを変えて、「静かに始まって盛り上がってまた静かなところに戻る」ってことかな?とか考えながら探り探り合わせました。

終わってから、ベースの先生からもフィードバックを頂きます。

まず、ドラムを叩くときの脇が空いているから、ストロークがブレて、ヒットするタイミングがブレブレ。(特に筋力がない左手でのスネア)

また、フィルインを入れたり、小節の頭にクラッシュを入れたりするのは、「決まりごと」ではない。
曲の流れを「こういう風に持っていきたい」から入れるんだよね。と。
何か決まったもの、相手に合わせるだけでなく、自分が流れを相手に伝えていくことを意識しよう!
とのお言葉を頂きました!

……もっともっと色々お話し頂きましたが、とりあえずここまでがパート別のレクチャーでした。


あとは ●生徒が講師陣に混じってのセッション【After】です。
「ボーカルやギターの生徒さんたちが入れ替わるので何回もやるけど、基本的にフクダさんに全て叩いてもらいます!勿論疲れたら代わるけどね!」
とのこと……!

めちゃ叩かせてもらえて、費用対効果がスゴイ……!
レクチャー頂いたことを念頭に置きながら、実際に曲で叩いてみます。

レクチャーを経た【After】のセッション。色々と実践しているのは自分だけでなく、他のパートの皆さんも同じこと。
皆さん明らかに、【Before】よりも美しく演奏しているように思います。
(とはいえ、わたしは自分のことでいっぱいいっぱいで、あまり余裕を持って皆さんに耳を傾けることができず……!せっかくのセッションなのに……!)

何回か曲を繰り返す合間にも、他のパートの先生方を含め、色々なフィードバックを頂きました。
音色のこと、盛り上がりでテンポが速くなりがちなこと、等々。

その中でもおもしろかったのが、「曲の解釈」に関するところ。
一部、自分の中で迷いがあり「ちょっと落ち着く」演奏をしていたところがあったのですが、「そこで盛り下がる曲ではないよ!」とのご指摘があり。
「この曲は、ここで盛り上がったらその後もテンションをキープしよう!そういう意識で演奏してね!」
と声をかけて頂きました。

このフィードバックって、「ただ技術的なことを教えられている」わけじゃなくて、ちょっと曲のことを把握しきれてないわたしに対して、意思統一をして頂いたんだなぁ~と感じました。
この場だけでなく、バンドで曲を演奏するうえではこういう擦り合わせをして、解釈を共有するのって大事だなあと。

そんなこんなで、【After】のセッションではOverjoyedを10回以上演奏させて頂きました。
人生で、こんなにOverjoyedを演奏する日が来ようとは思っていませんでした……!

■その3:講座を通して学んだこと

レクチャー内容や一つ一つのフィードバックは、これまでに書いた通りで全てが学びになりました。
しかし何より印象的だったのが……

先生方のレクチャーって、かなり「言語化する」ことを意識されている!
ということです。
ミュージシャンって寡黙なイメージですが、先生方は話上手な方が多い!!

普段バンドで練習するときは、他のパートのメンバーから遠慮もあり……、あまり指摘を受けたりしません。
でも、自分では「なんとなくここがうまくいっていない」「でも何を意識したらいいかピンとこない」という思いを持っています。

先生方は、それを順序立てて言葉にしてくださる感覚で、どんどん問題点が明確になってきます。
頭の中でごちゃごちゃ絡まっていた問題の群れを、ビートの感じかた、音色、曲の解釈、といったように切り分けていく感じです。

その上で、今抱えているこの問題点に対してはこう対処しよう、この練習はこの問題点に対して効く、と一つ一つ納得しながら、今日の最終目的(セッション)に向かっていきます。

何事もそうですが、言語化して洗い出すことを通して、モヤモヤが整理されていくものですね。
講師業ってどんなジャンルでも、言葉を使って、相手の問題点を整理していくお仕事なのかもしれません。




…と、いうわけで長くなりましたが、京都 RAG音楽義塾のサマーセミナー「セッション実践講座」について、レポートさせて頂きました。

セッションの純粋な楽しさ、レクチャー内容のおもしろさ、どこをとっても有意義だと思います!

次回、同様のセッション実践講座は冬に開催予定とのこと。
ぜひ、興味のある方はRAG音楽義塾のWebサイトなどをチェックされてはと思います!
(まわしものではありません!)

お付き合いありがとうございました!

読んでいただき、ありがとうございます!