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#1-12 プロマネマインド三大柱 その1「目的を明確に定める(前編)」

しばらく専門的な用語解説のような記事が続いてしまったので、今回の記事からは、しばらくプロジェクトマネジメント以外の領域でも参考になりそうな内容にしたいと思います。

そこで、独断と偏見による「新・プロジェクトマネジメントマインドの三大柱」をお届けします。

プロジェクトマネジメントにおいて大事な柱(はしら)は山ほどあるのですが、「基本的にどういう気持ちを持っていたら良いか」という切り口の話です。

プロジェクトマネジメントに限らず、仕事でもプライベートでも、何かの目的に向けて活動する場合に参考になる話かな、と思います。

今回は、三大柱の一つ「目的を明確に定める」についての前編です。

目的を明確にする

ビジネスにおけるプロジェクトでも、プライベートなプロジェクト活動でも「目的を明確に定めること」は、活動の基盤になるくらい非常に大切なことです。
そして「目的」と「手段」をごっちゃにしない、という視点も大切です。

プロジェクトは「それまでに存在しなかった独自のモノやサービス」を創造する活動なので、不確実性が伴います。
わかりきった何かを作る活動ではないので、予測不可能なことは起こります。

予測不可能なことが起こり、それを対応することに意識が向くのは自然なことです。
しかし、時に目の前のことに集中するあまり、「目標」や「手段」がズレて「目的」になり、そのままプロジェクトの進行してしまうことがあります。

目的と目標の違い

まず、目的と目標の違いについて。

目的は、「(的)マト」という漢字が入っているとおり、最終的に到達したい具体的なポイントです。

目標は、「標(しるし)」という漢字が入っているとおり、目印です。
最終的なゴールに向かうために途中で大幅に道を間違えないように置くモノです。

目的地と目標地、のように最後に「地」を付けると、違いがイメージしやすいかもしれません。

旅行に例えてみます。
「金沢旅行」という計画を立てた時に、目的地は金沢です。

北陸新幹線で向かう場合、東京駅や長野駅が途中の目標になります。
飛行機で向かう場合、羽田空港駅と小松空港が途中の目標になります。

どちらの目標も正解です。

ビジネスにおいては一番生産性の高い(コストの少ない)選択肢を取ることがベターですが、最終的に金沢に到着していれば、結果的に乗り物(手段)や経由地は何でもOKです。

土地は物理的に明確なのでわかりやすいですが、”行動”と”その結果”は抽象的で曖昧なことが多いので、目標が目的になってしまうことは起こりがちです。
「目的」が「目標」にズレてるレベルであれば、そこまで大きな差にはなりませんが、その流れで「手段」が「目的」に代わっていってしまうこともあります。

手段が目的にならないように注意する

「手段」を「目的」にしてしまうと、「本来の目的」からズレていても気付けずにそのまま進んでしまうことも起こります。
そして、そのズレは高くつくことが多いです。

少し極端な「東京から新幹線で、京都の親戚に会いに行く旅行」で例えてみます。

何かのきっかけで「新幹線」という手段が目的にズレしまったとします。

新幹線にしか意識を向けないでいると、本来の目的に関係する京都で、下車しそびれる可能性もあります。
乗り過ごして大阪に行ってしまっていても、目的は「新幹線に乗ること」にズレているので、誤った状態で進行していることに気づかないかもしれません。

終点の博多駅に到着して、手段(新幹線)がなくなったとき、改めて目的を振り返り、「博多に親戚はいない!親戚は京都にいる!」と気付くかもしれません。

これは飛躍した例えですし、土地のように物理的で明瞭な目的だとズレが明確なのですが、実際のプロジェクトの活動を可視化することはかなり難しいことです。

一人一人が行う”タスク”は物理的にキレイな形があるわけではなく、行動の集合体の一つの結果です。
プロジェクトの活動は、何人もの人のタスクの集合体なので、より輪郭が曖昧になります。

個人的な経験での考えですが、目的が明確に定義されていないという根本的な部分に問題があるケースを除いて、目的のズレが起こる原因は、チームが共同作業でタスクをこなしているからだと考えています。

チームのメンバーが、きちんと「何のためにその目的が設定されたか」まで理解したうえで行動するタイプか、そうでないタイプかで、タスクに対するアウトプットの質に微妙な差異が発生します。

先述の極端な旅行の例でいうと、「京都に住む親戚に会うため」という目的を認識しているかいないかで、あらゆるケースにおいて、行動が変わってきます。

例えば、東京~京都間の東海道新幹線が止まってしまって、数日は運転再開見込みがない場合。

目的を認識している人であれば、「新幹線」という手段にこだわらず、飛行機で伊丹空港に向かってから在来線や止まっていないエリアの東海道新幹線で京都を目指すかもしれません。
また、長距離バスや車という選択肢もあります。

一方「新幹線に乗ること」を目的にしている場合、運転再開を待つという選択肢が上位に上がってきます。

目的を認識しているかで、初手が代わります。
そして、意思統一が出来ないままの各行動の積み重ねで、結果的に、チームとしての成果がまとまらない、という事態が起こってしまうのです。



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