#1-13 プロマネマインド三大柱 その1「目的を明確に定める(後編)」
独断と偏見による「新・プロジェクトマネジメントマインドの三大柱」。今回は、前回(昨日)に続き、三大柱の一つ「目的を明確に定める」についての後編です。
↓前編
「目的を明確に定める」なんて当たり前、と思われるかもしれませんが、実際にプロジェクトでの活動や仕事の現場では、プロジェクト目的が曖昧になることはよく起こります。
手段が目的になっているケースが多い印象です。
目の前のことに一生懸命になってしまって、「目的」が「目標や手段」にズレてしまうことは、ある程度は避けられないことなのかな、と思います。
そして、目的が明確になっていない、というのは、たいてい上手くいってない時です。
「卵が先か鶏が先か」の話かもしれませんが、上手く活動が進んでいるというのが、目的達成が明確にみえている、ということでもあるからです。
逆に、目的がわからないのに、上手くいきようがないし、何ももってして上手くいっているか、という判断も出来ません。
ただ、目的が明確に定まっていないというのは珍しいことではなく、大事なのは、目的が明確に定まってないと気付けるチカラなのかな、と思います。
そこで、今回は、目的を明確にするために身に付いておきたい心構えをご紹介します。
目的を明確に定めるための心構え
「何のために」を明確に
目的を考えるとき、「何のために」という視点で考えることがとても大事です。
有名なトヨタ生産方式でも、『「なぜ」を5回繰り返すこと』で問題の根源が見えてくる、という話があります。
根本的に、多くのプロジェクトの活動は、現状と達成したい目的の差異(ギャップ)を埋めるために行います。
ルーティンワークで過不足ないなら、新たにそれまでになかったモノやサービスや所産(=ユニークなモノ)を創造する必要はないです。
「それまでになかったユニークなモノを作ろう」としている、ということはユニークなモノでしか解決できない何かがある、ということです。
その「何か」を認識するために、「何のために」と自問自答することが大事です。
三つの軸を意識する
目的に立てる際に、軸を何かするか、で内容が変わってきます。
一般的に取り入れられる軸は「数字」が多い気がしますが、軸の考え方は色々あります。
その中でも、ビジョン・ロジカル・パッションの3軸を意識してみると、目的がブレづらくなります。
ビジョン
プロジェクトマネジメントにおいては、「ビジョン」は望ましい最終状態のことと定義されています。後々振り返った際に、達成していたかレビューすることが出来るように、設定します。
ロジカル
数値での設定ができること。「3年以内に売上1000万円を達成する」や「利用者1000万人以上を超える」といった具体的に数字が定められていること。ビジョンと同じく、後々振り返った際に、達成していたかレビューすることが出来るように設定します。
パッション
「挑戦することで道は開ける!」
のように、行動の動機となるポジティブな気持ちと、その意思表明のことです。
意思表明までがセットなので、実質的には宣言のようなモノです。
ビジョンやロジカルと違い、行動していれば目的を達成したといえるので、後々振り返った際に達成していたかレビューすることにあまり意味はないです。
イメージとしては、「(文言を)物理的に掲げるための目的」です。
例として、パッと浮かんだのは『ONE PIECE』の主人公ルフィの有名なセリフ
「海賊王に おれはなる!!!!」
だったのですが……。(上手く説明出来るかな……)
「海賊王」って具体的にどういう基準で達成するモノなのか、そこまで明示されてないですよね。
「海賊王」という言葉には、色んな人のが様々な思いで定義されているので、ルフィとそれ以外の人にとって意味が違う概念かもしれません。
作中ではゴールド・ロジャーの通称、「海賊の中の海賊」といった定義がされていたり、ルフィ自身は海賊王のことを「この海で一番自由な奴」と定義しています。
『ひとつなぎの大秘宝』を手に入れたら海賊王になる、という説明もありますが、『ひとつなぎの大秘宝』がどんなモノか具体的には不明なまま、ルフィたちは冒険をしています。
しかし、「海賊王に おれはなる!!!!」という宣言で、ルフィは村を出て仲間を集めて、冒険をしながら村や国を助けたり色んな活躍をします。
ルフィ海賊団のメンバーも「海賊王に おれはなる!!!!」と宣言するルフィの行動で、船長(ルフィ)の気持ちや人となりを理解して、この人についていこう、というと決めます。
漫画を隅々までは確認していないのですが、仲間になるルフィ海賊団のメンバーは、仲間になる前に、全員ルフィの「俺は海賊王になる」という自己紹介を聞いていると思います。(少なくとも初期の20巻あたりまではそう)
一つの目的に対して、上記の3軸(面)で語れると目的がブレにくくなります。
「パッションを持ち合わせたロジカルなビジョン」ですね。
例えば、高校の文化際の出し物だと
「みんなの高校時代の思い出になる、
学校内売上1位の、
可愛いお化け屋敷を作るぞ」
みたいな感じです。
「可愛い」という定義もしっかりする必要がありますが、
「パッションを持ち合わせた
ロジカルな
ビジョン」
を意識した意思決定をすることが、上手なプロジェクトマネジメントに繋がります。
と言いつつ、
実際のプロジェクトマネジメントにおいて、この3軸(ビジョン・ロジカル・パッション)が常に固定している、という状況はそんなにありません。
それくらい、目的を定めるというのは難しいことです。
どこかの1軸が欠けていたり、ある時期は3軸そろっていても、時間の経過や活動の結果に応じて変化するものです。
ただ、一軸しかない場合、変化があると、それだけでポキッと折れてしまうリスクがあります。
そして、そのまま「手段」が「目的」にスライドしてしまっても、気付かれないことがあります。
目的が何だったのかがわからないままプロジェクトの活動が無為に進んでしまうと、それが火種となり、炎上プロジェクトとなってしまうかもしれません。
一番の理想は、3軸をうまく組み合わせて定義して、状況に応じてビジョン・ロジカル・パッションの面で使い分けることです。
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