#2-6 PM的リーダーシップ論
前回(昨日)の記事で、プロジェクトマネージャー(PM)に求められるコンピテンシー(優れた業績や高い成果につながる能力や行動特性のこと)についての話をしました。
3つ挙げられているPMコンピテンシーの一つに、リーダーシップというスキルがあります。
リーダーシップにも色々なタイプがありますが、PMは、時と場合によって指示型と支援型を使い分けるスタイルが有効なことが多いと思います。
一般的なリーダーシップ論
リーダーシップ論の話を少し広げます。
「リーダーシップ論」は様々な研究がされて、様々な理論が提唱されています。
今は、「リーダーシップ条件適応理論」というのがポピュラーなようです。
リーダーシップの研究が始まった当初は、リーダーシップは先天性の才能のようなモノ、と考えられていました。
しかし、リーダーシップを研究しても、成功者にリーダーシップに共通する特徴が見つからなかったため、「リーダーシップ条件適応理論」が提唱されました。
「リーダーシップ条件適応理論」とは、普遍的なリーダーシップは存在せず、状況に応じて適切なリーダーシップが異なる、という考え方です。
条件に適応することが一つのリーダーシップ、ともいえるかもしれません。
PMのリーダーシップのタイプの話に戻りまして、指示型と支援型をTPOに応じて使い分けるのは、「リーダーシップ条件適応理論」にも沿っています。
リーダーシップのタイプ
支援型
メンバーが主体となって動くように、意見や考えを尊重しながら、メンバーが結論を出すのをサポートするスタイル。
ザックリいうと、メンバー一人一人に自分の頭で考えてもらって、結論を出してもらうように導くスタイルです。
指示型
率先して意思決定を行い、メンバーが決定事項に従うように促します。
極端な言い方をすると、メンバーに対して、思考停止していいので、指示した内容をとにかく即実行してほしいという時に取るスタイルです。
緊急時の対応などに有効です。
例えば、発売した製品に重篤な不具合、それこそ爆発するなどの甚大な被害が発生するリスク高いミスが見つかって、迅速な回収や周知が必要な時。
プロジェクトのメンバーには、早急に回収や周知という行動をとってもらいたいので、指示通りに動いてもらうように指示をします。
また、相手(プロジェクトのメンバー)のスキルとモチベーションの度合いによって、指示型・支援型のどちらが有効なのかを表したマトリクス図があります。ここでいうモチベーションとは、やる気、ではなく、自発的に行動できるスキルのことです。
一番理想の相手の状態は、スキルも、モチベーションも高いことです。(左下)
指示型でも支援型でもこちらからの関与は少なく、相手は自立している状態です。
一方で、相手のスキルもモチベーションの低い相手(右下)、具体的には新人さんを相手にする場合、基本的には指示型強めのスタイルの方が適しているケースが多いです。
新人さんのスキルとモチベーションが両方同時に高くなることはあまりないので、段階的に左下のスキルもモチベーションも高い状態になっていくことを目指します。
比較的モチベーションの方が高ければ指揮型を強め、スキルの方が高ければ支援型を強めのスタイルでリードしていきます。
支援型+指示型は、PM的リーダーシップの例(アイディア)で、必ずこのようなスタイルでいなければならない、というワケではありません。
しかし、研究の分野でも「コレといった普遍的なリーダーシップ論はない」という見解が出ている通り、リーダーシップを身に付けることは、なかなか難しいことです。
最終的には、自分で答え(スタイル)を決める必要があります。
基本的には支援型+緊急時は指示型というように、TPOに応じた型(カタ)で訓練を積み、慣れてきたら自分自身のスタイルを確立していくことが大事です。
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