#2-5 プロジェクトマネージャーのコンピテンシー
前回(昨日)の記事で、チーム構築における重要なキーワードとしてコンピテンシーについての話をしました。
コンピテンシーとは、優れた業績や高い成果につながる能力や行動特性のことを言います。
前回の記事は、チーム構築におけるコンピテンシーの話でしたが、今回の記事では、チーム構築をするプロジェクトマネージャー(PM)のコンピテンシーとは何か、という点をまとめていこうと思います。
まず、大前提として、PMは「プロジェクトの目的を達成する責任を持つ、母体組織(主に会社)が任命した人物」です。
そして、『PM BOK』というプロジェクトマネジメントの教科書的な本では、PMIタレントトライアングル™として、以下の3つの領域が提示されています。
テクニカル・プロジェクトマネジメント
リーダーシップ
戦略的およびビジネスのマネジメント
PMはこの3つの領域におけるコンピテンシーを持っていましょうね、という感じです。
テクニカル・プロジェクトマネジメント
プロジェクトマネジメントの知識を効果的に適用するスキルです。
セオリーを体系的に学ぶだけでなく、それを現場に活かせるテクニックのことです。
プロジェクトで望ましい成果を得るためのスキル。
リーダーシップ
リーダーシップは、普通に使われる言葉の通りです。
メンバーにモチベーションを与えるなど、チームを統率するうえで必要な知識や振る舞いのことです。
組織の事業目的を達成するためのスキルです。
戦略的およびビジネスのマネジメント
戦略的連携や技術革新など、パフォーマンスを高める業界・組織の知識と専門技術のことです。
ビジネス成果をもたらすためのスキルです。
どんな人がPM適正があるのか
私は根っからの”PM気質”
私は、社会人なりたての頃は、別の職種志望でキャリアを積んでいこうと考えていたのですが、初めての上司(本当にお世話になった上司)に、
「君はPM向きだから、PMとしてキャリアを積め」
と言われてジョブチェンジしました。
(チェンジといえるほど、元の職種で成果があったわけではないですが)
元々志望していた職種は、花形で目につきやすいから目指していた部分もあったのと、実際に成果があまり出せていませんでした。
その中でも、”PMっぽい作業”を任されることが多かったです。
自分では分からなかったのですが、「他人から得意と言ってもらえることを仕事にするのが良いのかな」、と、あるタイミング(プロジェクト)から正式にPMを担当することにしました。
それまでも、スケジュールマネジメントなどPMっぽい働きはしていたのですが、役職としてきちんとPMとして役割と責任を持つようになったのは、社会人になって少し経ってからです。
ジョブチェンジしてから、会社は変わりましたが、ずっとPM職で、かれこれPMのキャリアも10年程です。
そんなPMのキャリアの中で、
私は、「根っからのPM気質」「PMに向いてますね」「PMってあなたの天職ですね」などを色んな場所で、何度も何度も色んな方から言われてきました。
一般的にPMと言えば、エンジニアやプログラマーなど、理系の専門職のキャリアの一つとして捉えられことが多いですが、
文系(法学部卒)で、コードが書けない私がPMとして仕事をしているのは、専門スキルはなくても、コンピテンシーがマッチしていたのかな、と思います。
プロジェクトマネジメントのセオリーなど、後天的に学んだことが沢山ある一方、生来の性格がPM向きなのかもしれません。
例えば、プライベートで友達と旅行やお出かけをすると
「さすが、あや!」
と、良く言われるのですが、先回りして色々考えたり、状況に変化に合わせた提案したり、リスクに備えた準備をしたり……
自分的にはコストをかけてないというか、好きでしていることを、かなり褒められます。
私の「気質」は、少しユニークなのかも?と思う機会は、プライベートでも何度もありました。
が。
私自身は、自分が職業のPMに向いているかは、自分でも、よく分からないのです。ただ、向いてなくはないだろう、レベルです。
プレゼンなど、仕事をしながら苦手だと感じること、いつまで経っても次々と出てくるので、常に自分への課題を抱えてます。
周りに言われるから、客観的にみてPMっぽいと思わせる何かの性質があるのかも?とは認識していますが、苦手な分野が沢山あることを自覚しているから、少しでも良い成果を出せるように日々勉強しています。
向き・不向き
コミュニケーション能力、情報整理力、忍耐力……など、PMに必要なスキルは色々挙げられているのですが、
向き・不向きの判断ポイントに関する個人な意見としては、それらを持っていることより、実際に現場で、関わる方々に、人として信頼してもらえるか・してもらえないか、な気がします。
頭が良いとか、顔が広いとか、そういうところは本質的にはあまり関係ない。
昔、同僚のPMが言っていました。
「私たちの仕事は、インフラと一緒。あって当たり前と思われていて、問題が起きて進行が止まったら、とにかく責められる」
なるほどなぁ、と思いました。
まだまだPMとして未熟だけど、曲がりなりにもPMとして仕事をしている私の持論ですが、職業としてのPMは不向きが比較的色濃く出る職種だと思います。
同僚のPMを見たり、アシスタントさんを持ったり、育成をした経験から感じました。
「PMに向いてないから、別の適職を見つけた方が良い」というのは、客観的にとても分かりやすいです。本人が、PMの仕事が好き、という場合は例外ですが。
なぜ、別の適職をオススメするか、というと。
業界や会社にもよるとは思いますが、典型的な縁の下の力持ち系のお仕事なので、あまり報われない立場です。
また、一度身につけた経験や知識で、次も同じようなルーティーンワークができるような仕事ではないので、一生、何かしらについての勉強が必要です。
どんな仕事でも、報われることの方が少ないのかもしれません。ただ、言葉の響きからは想像しづらいのですが、PMは献身的な職種です。
例えば、リスクを未然に防ぐのもメインの業務ですが、リスクの段階で解決するから、結果的に表からは何もなかったように見えたりするんですよね。
なので、したくてPMをする、PMの仕事が楽しい場合以外は、無理にPM職を続けるのではなく、他の職種にチャレンジできるうちはトライした方が良いと、個人的には思っています。
それでも、「会社の命令でPM職に従事しないといけない……」という場合は、セオリーを勉強して、理解して、現場でトライ&エラーをして、自分なりの経験則をためていくしかないかな、と思います。
結局、一生勉強ですね。
けど、そのトライ&エラーが出来ることは、PMに向いている素質だと思います。なので、PMに関する知識欲がある方は、PMに向いている、と言えると思います。
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