#2-4 チームを構成する
ステークホルダーの全体像を把握できたら、プロジェクトチームの構成に進みます。
チームを構成することは、プロジェクトの活動の一番初めに該当する「立上げプロセス」では「ステークホルダーの特定」の知識エリアで扱われます。
しかし、計画以降のプロセスでは「資源」という別カテゴリーで扱われていきます。
立上げプロセスでは、細かい定義やマネジメントは必要ないですが、
計画以降のプロセスでは、チームマネジメントが非常に需要なタスクになり、細かい決めごとも必要になってきます。
なので、
最初は大きい単元の一要素だったが、時間の経過とともに一つの単元として独立している。
みたいなイメージを持つと、理解しやすいのかもしれません。
「民法」から独立して「商法」が出来た、みたいな感じですかね。(他に良い例えが浮かばない……!)
「資源」というと堅苦しい表現になりますが、具体的にはヒトやモノのことです。
プロジェクトマネジメントで、「資源」を扱う領域で行うプロセスは、全部で7つです。
基本的に、ヒト(チーム)を対象とした内容が多いです。
「資源」という領域の中でも、PDCAサイクルが回っていきます。
プロジェクトという大きい枠組みの中で、「資源マネジメント」という小さいプロジェクトがあって、その中で小さくサイクルが回っている、という感じです。
プロジェクトチーム
「資源」の領域で行われるプロジェクトチームの構成ですが、ざっくりと以下のようなことを行い、マネジメントをします。
コンピテンシー
プロジェクトチームの構成ためには、ただ単に数を集めればよいわけではありません。
プロジェクトに適切な良い人材を集めることも、プロジェクトマネージャーの仕事の一つです。つまり、メンバーのスキルを見極める能力が必要になります。
あくまで仕事上のアウトプットに対しての見極めなので、人間性がどうとか、という話ではありません。
(メンバー通しの相性は気にしますが)
適切で良い人材か判断するためには、コンピテンシーという考え方が大事です。
コンピテンシーとは、優れた業績や高い成果につながる能力や行動特性のことを言います。
行動そのものに対してではなく、行動のもとになる価値観や思考を重視しています。
「数字を出せること」ではなく、「数字を出すためにどのような考えを持って結果どうしたか」という部分にフォーカスを当てています。
コンピテンシーは、一般的には人事の分野で活用されている考え方です。
採用面接でも、コンピテンシー面接という種類の面接があるみたいです。
また、自分自身が良い人材と評価してもらうためにも、
「自分のコンピテンシーは何なのか?」
を考えてみることも大事ですね。
プロジェクトチームの構成においては、メンバーのコンピテンシーから判断することで、先入観を排除し、現場で求められている能力を適切に分配することがしやすくなります。
ただ、このコンピテンシーによる能力や行動の特定は、既に成果を出している優秀な人材(サンプル)がいないと実行できない、というデメリットがあります。
コンピテンシーの定義は、まず、いくつかの優秀なサンプルを分析します。
その分析の結果を体系化して、必要と考えられるコンピテンシーを特定する、という流れで進みます。
そして、必要と考えられるコンピテンシーを持っていないメンバーがいたら、トレーニングなどを通じて、コンピテンシーの獲得を促します。
必要なコンピテンシーが明確であればトレーニングもしやすいのですが、
「どんな能力や行動特性がそのプロジェクトに必要なのか?
の特定が遅れると、トレーニングが空回りしてしまうリスクがあります。
そのプロジェクトやビジネスで成果を出すために必要なコンピテンシーには、一番最初の土台となる「いくつかの優秀なサンプル」が大事です。
以前の記事に書いた内容とも被りますが、成功するプロジェクトには、必ず優秀なキーパーソンがいます。逆に、失敗するプロジェクトには、キーパーソンがいません。
プロジェクトマネジメントにおいては、計画より人材が先決です。
完全に仕上げる計画より、優秀な人材を獲得する方がはるかに重要です。
計画はかなりの確率で大部分が変更されますが、大事なのは、変更された計画のなかでも、きちんとアウトプットが出せる能力があるヒトをメンバーに選んでおけば、変更は大きな問題になりません。
とはいえ。
実際の会社の現場では、会社から指定されたメンバーで構成することの方が多いと思います。(私の場合はそうです)
適材適所に配置換え(人事異動)をサポートしてくれるカルチャーがない会社であれば、最後の手段はトレーニングによる育成、というのが私の持論です。
そして、会社がトレーニングのサポートをしてくれないのであれば、あとはもう自分で学ぶしかないです。
「プロジェクトチームの構成において一番大事なのは、人選」
というのは、どんなプロジェクトにおいても変わらない共通項だと思います。
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