生きるぼくら
読れぽvol.3
『生きるぼくら』
著:原田マハ
いじめから、ひきこもりとなった二十四歳の麻生人生。頼りだった母が突然いなくなった。残されていたのは、年賀状の束。マーサばあちゃんから?人生は四年ぶりに外へ。祖母のいる蓼科へ向かうと、予想を覆す状況が待っていた_____。人の温もりにふれ、米作りから、大きく人生が変わっていく。
🧸💭
久しぶりにこういう本に出会った気がします。
ちゃんと生きなきゃと思わせてくれる一冊でした。
テレビか何かで取り上げられていたんでしょうね。
スマホの検索履歴に入っていたんです。
『生きるぼくら』
って。
これがなんなのかも覚えてなくて検索すると
この一冊にたどり着きました。
それで、なんとなく書店に立ち寄って
たまたまあったから買いました。
読んでいく中で素敵だなと思ったのが
蓼科の風景描写。
あれ、私の故郷なんだっけ?と思うほど
読んでいて懐かしくなりました。
見たこともない蓼科の風景がはっきり見えました。
私がいつも言っていることだけれど
人間ってやっぱり弱くて
やっぱり強いんだと思いました。
人生くんの惨すぎる学生時代。
読んでいて苦しかった。
あっという間に人生くんがいわゆる〝負け組〟
に振り分けられてしまって母と二人暮らしなのに
孤独なひきこもり。
お母さんもしんどかったんだろうなぁ。
読み進めると色々な局面で困難があって
自分が登場人物になった気になるんです。
彼らのしんどさが手にとるようにわかった。
けれど喜びも同じようにわかった。
応援しちゃうんです。
それで、一緒に泣けて一緒に喜べる。
読み始めてから本を閉じるまであり得ないくらい
集中して一瞬で読んでしまいました。
やっぱり幸せに生きられるんだと思います私達は。
でもその可能性を知らず知らずに潰してしまって
いるのも私達なのかもしれません。
どうせ、そんな言葉が飛び交うこの社会で
昔から変わらない大切なものって
なんだと思いますか。
それは、人との繋がりなんだと思います。
対人関係ってやっぱりどうしても
うまくいかない時はうまく行きません。
忙しいから
苦手だから
よく知らないから
知らず知らずのうちにそんな言葉を使って
逃げてしまっていませんか。
そんなことをふと考えさせてくれる一冊です。
寄り添ってくれるようなあたたかい一冊です。
お米づくりから人生が変わるなんて
人生くんも思いはしなかったでしょう。
でも意外なところから転機は訪れるものです。
優しい人と綺麗な風景に囲まれて
傷ついた心がどんなふうに動いたのかな。
胸を張って幸せだと言える人生を掴めたのかな
そうだといいな。
あなたの目で確かめてください。
本の中の彼らだけれど
どうか彼らには幸せでいてほしい。
なんだか一緒に生きてきた気がするんだもの。
あなたの人生はどんな景色ですか。