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フランスから、食関連ニュース 2021.03.31

今週のひとこと

今週に入ってから午後には20度を超える陽気で、夏時間が日曜日の深夜から始まった季節感と呼応しています。コロナ禍の厳戒態勢下にあっても、自宅から10キロメートル圏内の散歩は許されていることもあって、街中のひだまりにはたくさんの人が出ていました。セーヌ川沿い、サン・マルタン運河沿いは格好の集合場所となっていて、仕事帰りにたまたま寄ったサン・ルイ島、シテ島近辺では、ミュージシャンも出ていました。シテ島名物のアイスクリーム店の老舗ベルティヨンを売るカフェの前には行列ができていました。目抜き通りサン・ルイ・アン・リル通りには、アラン・ペグレシェフオーナーの1つ星レストラン「セルジャン・ルクルトゥール」があります。中をのぞいてシェフの姿を探しましたがおらず、しかし、テイクアウト用の紙袋がたくさん並んでいましたから、テイクアウトをしっかり稼働させているのでしょう。と同時に、通りに面した窓を開けることができるようにしており、アイスクリーム販売の什器を取り付けていましたから、季節がより良くなっていくころ、戸外で食べられるアイスクリームの販売にも、これまで以上に果敢に取り組んでいくでしょう。アラン・デュカスもチョコレート、コーヒーに続き、この春・夏から新規事業としてアイスクリームに取り組むというニュースが入ってきました。

夏時間を設けることに関して、昔から賛否両論で意見が分かれます。ある仏人の友人とその議論になったとき、この切り替えこそ、日本の桜前線のように、季節の変わり目のサインだと思うから反対ではないとの意見。一理あると思いました。四季が徐々に移ろう日本と違って、劇的で激しい変化とともにあるこのヨーロッパ、フランスでは、自然に寄り添うというよりも、人が決定した枠組みが必要なのでしょう。また人は、生きる術としてのリズムとして、こうした変化のサインというものも必要なのだと。正月やクリスマスがあるように。

いずれにせよ、夏時間の歴史は、夏の到来とともに1時間時計の針を進めることで、長い日中の時間を有意義に過ごすことになり、ろうそくの消費の節約になるというアイディアから生まれています。初めて提唱したのは、18世紀後半、アメリカのベンジャミン・フランクリン。この案は、第一次世界大戦の参戦国により、倹約のため導入されることになり、広まりました。この考えが、今の時代に通用するか否かは別として、災禍はつねに、流れを加速させる傾向があります。夏時間導入や、リモートワークなどもそう。こちらは目に見える変化。しかし、目に見えることだけでなく、目に見えない劇的な変化もある。それぞれの心の変化も含めて。後者にも目を向けて、外圧からだけでなく、内側から大切に育てていく努力が必要だと感じています。

今週のトピックスは今週のひとことのあとに掲載しています。【A】フレンチの殿堂「タイユヴァン」の新シェフ決定。【B】当たりくじ付き「イースターボックス」【C】国際宇宙ステーションで14ヶ月過ごしたワインとブドウの木、地球に帰還。【D】アラン・デュカス、アイスクリームのブティックオープン予定。【E】トゥール・ダルジャンワインセラー、オンライン販売。

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