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ヨコシマな憧れ、見透かされる

我が家のアイドルたー坊さんは、とにもかくにも食欲が半端ない。生まれた時から、は言い過ぎだけれど物心がつくかつかない頃からメキメキと食に対する要求だか欲求だか膨らんできた。

生まれてすぐ緊急搬送された彼は当初全くミルクが飲めず、NICUの保育器で24時間体制の保護下で育った。・・なんていまの彼からは想像もつかない。思い返せば、ミルクを5ミリ、15ミリと少しずつ増やし、それでも途中で疲れてすぐ寝てしまっていた。ようやく体重が少し人並みになり、1ヶ月半後に病院を退院したのだけれど、それでもその時点で90ミリ飲めるか飲めないかの瀬戸際だった。

母乳をあげるのかミルクにするのか、すったもんだを経て今に至るわけだけれど、とにかくその面影のおの字もない。(すったもんだの過去はこちら)

離乳食を開始した生後半年くらいから食べることに対する欲がメキメキとこんにちは。とにかく食べる。何でも食べる。ほうれん草大好き、きのこ大好き、野菜好き。牛乳も卵もレバーすら笑顔で食べる。食べなければ食べないで心配だし、食べれば食べるで心配。とにかく心配が尽きない。これだけ好きであれこれ食べているのに体重がめっきり増えないのだ。どういうことよ。

1歳6ヶ月になったたー坊先生は定期的に病院に通院し、成長記録を記されるのだが、ここにきてほぼこの1年、本当に体重がまーったく増えない。あまりに心配なので血液検査もしてもらったが、全ての値がど真ん中の平均値。さすがにずっと彼を見ている先生も、何ででしょうねえ、と首を傾げる。先日は我が息子に、「たー坊くん、なぜですか?」と聞いていた。私も知りたい。

こんな状況なので、通院先の病院で栄養士さんから栄養指導も受け始め、今月で二回目のカウンセリング。ご飯を100グラム、野菜を50グラム、タンパク質1品を50グラムで調整してみることで合意した。食欲の秋を経て、食欲の冬が終わり、食欲の春が再来。最近も本当によく食べる。

今朝も、パン1枚(耳まですみずみしっかり完食)、野菜(人参・里芋・ほうれん草・玉ねぎ・白菜のくたくた煮)、牛乳少々を飲んでそれでも足りないとキーキーいうので、バナナ3分の1本とあえてすっぱめのヨーグルトあげたところ、こちらの真意もよそに喜んでパクパク食べていた。ちなみに彼の最近のブームは里芋。里芋にくびったけの彼は、里芋を見るや、くれくれと体をくねくねさせて主張してこられやがられる。

身長76センチ、体重8.2キロ。

保育園の0歳児クラスでは堂々のおちびちゃんだけれど、ダウンちゃんたちの間では特段小さいわけでもすごく大きいわけでもない。

そんなたー坊先生は生後半年くらいから、せっせと摂食外来にも通院していてる。彼は結構優等生で、毎回指導を受けにいってはすこぶる褒められて帰ってくる。特に我々親も毎回満たされて帰宅する。褒められるからだ。何歳になっても褒められるのは嬉しい。

摂食指導は毎回食事を持参して食べている様子を見てもらう。前回は、1センチ角の野菜を飲み込まずにちゃんと移動させてかみつぶして食べることが課題で、余裕のよっちゃんでクリア。調子にのった母は今回2センチ角をトレーニングさせて持参。親子どや顔でご披露差し上げた。

「お母さんの気持ちはわかりますが、2センチ角だと大きすぎるので1センチ角で大丈夫です」

といわれて、ほげー。調子に乗ってしまった・・と我に返ったのでした。

そして、先生とは毎回レッスンの宿題や宿題をやってみてどうだったかの気づきを交換日記のようにつけていまして、そこに「そろそろストロー飲みをさせてたいです」と母がポソリと書いた一言を先生が目ざとく見つけて、

「お母さん、なぜたー坊君にストロー飲みをさせてたいんですか?」と激ツメにあったのでした。

理由は一つ。みんなやっててかっこいいから。マグカップを自分でもってストローでスイ―。超かっこいいですよね!なのでそろそろやらせたいです・・と恐る恐る先生に問いかけるも、

「今やるのはもったいないです。もう少し後にしましょう」

と一掃されたのでした。ずこー。

たー坊さん、少しずつ哺乳瓶を卒業し、食事のときの水分はコップで少しずつとれるようになってきた。でもコップといっても普通のコップじゃなくて、「ぺったんコップ」。普通じゃ絶対知らないやつ。透明で鼻に当たる部分が半月型にくりぬかれているので摂食問題を持っている我々には優しいやつ。

「みんなやっている」という憧れ。ふと沸いた出来心は、プロの先生にはしーっかり見透かされて、諭されて。まだまだぺったんコップとの長いお付き合いが続きそうなのでした。

ちなみに、たー坊先生は岡部洋食器さんの離乳食スプーンにも大層お世話になった。岡部洋食器さんってダウン症のことに明るいのでしょうか。おすすめです。

【ごはん中のにょろにょろのような姿】

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【満足の舞】

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