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離乳食は月齢ではなく発達度合いで

現在、もうすぐ8ヶ月になろうとしているたー坊。生まれてから本当に色々あったが、色々悩み、迷い、泣き、焦り、喜び、笑っているうちに時はあっという間に過ぎていった。そんな親のウロウロっぷりとは裏腹にどんな時も日々ニコニコでごきげんに過ごすたー坊。そんなたー坊に今立ちはだかるホットな問題、それは離乳食。赤ちゃんの一大イベントのうちの一つ。

通常、5-6ヶ月から開始する離乳食。開始の目安として保健所があげているのが、①首が座っていること、②自分である程度座れること、③食べ物に関心を示す、④親が食べていると注意を向ける、こと。③と④はクリアするが、とにかく①と②がいつまで経ってもクリアできない。如何せん、本日時点でも首も座っていなければ、寝返りもしないし、自分で座るなんてもってのほか。

でもセッカチな母は、早くこの離乳食という一大イベントの波に乗りたくてしょうがない(5−6ヶ月ごろから病院に行くと離乳食は・・?と必ず聞かれる)おいしいものに貪欲な父と母のムスコなので、食いしん坊でないはずがない、と信じて疑わず、5ヶ月経った頃に主治医の先生に相談するも、「慌てなくて大丈夫だから」と窘められた。療育のPTの先生に相談するも同じような回答で、一体じゃあいつから開始したら良いのか、首座りを待っていたらいつまで経っても開始できない・・と悶々とする日々。ネットで離乳食の記事を片っ端から読むも、月齢ごとの目安は分かったけれど、健常児と比べて発達が遅いたー坊にとって参考にはほぼならず。発達障害を持っている子用のスケジュール目安はないものかと探しまくったけれど、当然ない(一人一人スピードが違うからそりゃあるわけないよなぁ。。)

そして耐えかねた末に、先輩ママから教えてもらった摂食外来が有名なとある病院に行くことに。主治医の先生にお願いして紹介状を書いてもらいいざ受診。主治医の先生はきっと「またセッカチだ」と思ったに違いない。くれぐれも無理せずたー坊君のペースでね、と言われた。

こうして生後6ヶ月ごろに摂食外来にかかることに。電話予約の際に、コロナの影響で30分の予約枠なので相談したいことを事前にまとめてきてくださいと言われた。これは離乳食を開始した上で相談しないとせっかくの予約がもったいない。なので、えいや、と離乳食を開始した。とはいえ、新米ママ側も初めてのことで怖い。10倍がゆをさらにトロットロにしてあげてみることに。まるで糊みたいな感じ。初めてあげる時はこちらの手がプルプル。たー坊は目の前でプルプルする手を不思議そうに見つめていた。ちなみに、事前準備として、散々Youtubeやら専門家の文献やら報告書やらを読んで、前日は寝る前にイメトレをした上で深呼吸して就寝。こうして翌日、たー坊はついに離乳食デビューを果たした。

あげてみると案の定、45度に立てたバウンサーからどんどんズリズリと落ちてくるたー坊。顔は左右に斜めに傾き、もはやパーフェクトヒューマン状態。たー坊はさぞ居心地が悪かっただろう。自分の置かれている状況にただただ?だったに違いない。でも、おかげで摂食外来で相談したいことが明確になったので、翌週はあげている離乳食をタッパーに入れてスプーンを持って摂食外来に臨んだ。

診察は3人がかりで問診から相談、実際にあげる様子を丁寧に見てくれて、離乳食の柔らかさ、姿勢のこと、口の周りの筋肉トレーニングのやり方などを教わることができた。何より、今が離乳食をスタートして良い時期かどうか、先生がたー坊の口に手を突っ込んでくれて吸啜反応がどうか、舌の動きや反応を見ながらチェックしてくれた。結果として、少し吸啜反応はあるものの、離乳食を開始して良いコンディションです、という太鼓判をもらった。これで晴れて堂々と離乳食のスタートだ!ちなみに、先生が口の中に手を入れてもたー坊は嫌がるどころかニコニコしている。先生の指が最初に入ったときなんて嬉しそうにチュパチュパと食いついていて、先生が思わず吹き出していた。たー坊が生後3−4ヶ月くらいの時から口の中に手を入れて(もちろん消毒済み)遊んでいた効果かもしれない。口の中に手を入れてあげていると歯磨きやスプーンを嫌がらなくて良いよと先輩ママから教わり実践していたおかげだ。

そして離乳食を開始して早1ヶ月。たかが食べること、されど食べること。当たり前だと思っていた食べるということが、これほどまでに高度なことで難しいということをたー坊が身をもって教えてくれた。そして美味しく食べることのできるありがたさも。

たー坊に食べてもらうためには、「あーん」で口を開けてもらい、開いた口の下唇にスプーンを乗せる。乗せたら、「パックン」で上唇を閉じてもらう。そしてスプーンの上の離乳食を自分でとってもらい、スプーンを抜いて「あむあむ」で口を動かして噛む。こんな一見簡単そうなことが、たー坊にとってはとてつもなく難しかったりする。最初の難関は、そもそも口が開きっぱなしで全く閉じない。そして下唇にスプーンを置くと、にょーんと舌が出てきてしまう。ダウン症の子は一般的に舌が大きくて、緊張状態が弱いので舌を口の中にしまっておくことができず、口が開いたり舌が出てきてしまうそう。確かにたー坊の写真を見返してもどれもお口がポッカーン、舌がペロン。愛嬌があってそれはそれで可愛いいのだが、離乳食の時はどうにかできないものか・・

摂食外来にて相談したら、「パックン」のタイミングで親が口を少し閉じてあげてからスプーンを抜いてみる、というアドバイスをもらって早速やってみた。そのおかげで、確かに口は閉じれるようになった・・

が、今度は最初から口が閉じてしまい、「あーん」をしても開かない。スプーンで下唇をツンツンしても、手で口を開けようとしてもなかなか開かない。確かに閉じようね、とは言ったけどさ、今じゃないぞ!と心の中でブツブツ言いながらどうにかしようとするも、頑として口を開けてくれなくなった。半ば強引に開けるとなんとか開いたが今度はパックンができず、開いたまま。そして舌がこんにちは、というエンドレス。うまくいかなーい!と何度叫んだことか。こうして途方に暮れている真っ只中、燕の会という嚥下障がい児の親の会に出会った。

その中で、ダウン症児の嚥下について記事を書かれた綾野先生の存在を知った。説明が非常にわかりやすい。なぜそうなるのかが明確なのでじゃあどうすれば良いのか、がとてもわかりやすい。毎週月曜日夜にインスタライブをされていることを偶然知って参加した。その中で、「口が閉まらない子の場合、離乳食を食べる時に一生懸命とじようとするのは難しい。日頃から閉じる訓練が必要」とおっしゃっていて確かにそうだよなぁと思った。オンライン相談もされているということで、すぐに予約をとり先生に実際に見ていただいた。

先生のアドバイスに基づいてあげてみたら、なんと「あーん、パックン、あむあむ」ができるではないか!その日は喜びに喜んだ。本人も楽しそうに食べていて、その後も毎日順調に食べることができ、今やスプーンを持ち上げて見せると口をパッカーんと開けるまでに至った。

先生からいただいたアドバイスはとてもシンプル。それは「姿勢」。姿勢を変えただけでしっかり食べることができるようになった。まず、使っていたバウンサーは、左右上下が広く体がズリズリ落ちていくので、体にぴったりなバウンサーに変更し体を固定。頭と足の後ろにはタオルを挟む。顔はパーフェクトヒューマンのように顔が曲がった状態から、まっすぐ前をむいた状態に。さらに頭にタオルを挟むことで天井ではなく、真正面をみるようにセット。綾野先生曰く、正しい姿勢にならないと、力が体の方に入ってしまい、食べるのに必要な口周りの筋肉を正しく使うことに集中できないとのこと。

また、月齢に対してたー坊は吸啜反応が残っていて、顎を引く力が弱い(首座りも手を持って引っ張っても頭がついてこない)ので、飲み込む力が弱いだろうとのこと。だからしばらくは離乳食初期のペースト食で首回りの発達に合わせていくことにした。離乳食は月齢で語られることが多いけれど、たー坊のように一般的とされる月齢と発達スピードが一致しない場合、月齢で考えるのではなく、体の発達度合いで離乳食を考えていくことが必要だと痛感した。

離乳食を開始して早1ヶ月。育児本によれば、ここから離乳食中期に移行していく時期だけれど、たー坊の体の発達はまだまーだのんびり。なので、引き続きペースト食で様子を見ていくことに。ありがたいことに食べる意欲はあるので、今こそ食材を変えて色々な素材の味を堪能いただき、グルメなムスコに成長してもらいたいものだ。

ちなみに、今離乳食の際に猛烈に活用しているのが、以下の3点。どれもたー坊の食事に欠かせない三種の神器。ありがたや。

①リッチェル わけわけフリージングブロックトレイ

これは離乳食をキューブに冷凍してストックするために愛用中。離乳食、作るのにめちゃくちゃ手間がかかる。。しかも作ろうとすると、「お腹すいたー!ギャー!」となり、なかなかなストレス。なのでまとめて作って製氷皿に注ぎ冷凍庫にストックしているのだが、百均の製氷皿だととにかく取り出すのに力が必要。プラスチック容器があまりにも固くて本当になかなか外れない。対するリッチェルの容器は適度な硬さでしなやかさも備えた優れもの。入れる時はしっかり注げて安定。かつ取り出す時はしなやかに曲がるので楽に取り出せる。台所の机にガンガン打ち付ける必要がなくなった。

②レコルト ソイ&スープブレンダー

これ、ペースト食を作るために購入したのだが、そもそもこの機械自体は離乳食用ではなく、スープやジュースを作るブレンダー。元々、私の母のチコさんが愛用しているのを教えてもらって購入したのだが、何が良いかって食材を切って水もしくは牛乳を入れるとあっという間にスープができてしまう点。例えば、かぼちゃと水を入れてボタンを押すだけでカボチャのペーストが完成。これを冷凍してたー坊の離乳食のストックに。そして同時に我々大人用のスープの素にもなる。冷凍してもよし、冷蔵してもよし。作ったペーストを牛乳で伸ばせばカボチャのスープに。時短重視でマグカップにペーストを入れて牛乳を入れて電子レンジでチンすればあっという間にスープの出来上がり。朝はゆっくりご飯が食べれないことの方が多いので、最近はもっぱらこのマグカップスープを片手にパンをパクリ。カボチャ以外にも玉ねぎや小松菜、人参、じゃがいも、かぶなどを使って離乳食&大人用のスープを同時に作ることができている。強いて欠点を言えば、洗うのにちょっと気を使う。

③岡部洋食器さんの離乳食スプーン

スプーンを色々試してみたが、これが一番たー坊にフィットした。シリコンで柔らかく、柄の長さもちょうど良い。スプーンのすくう部分の婉曲度合いも口にフィットしている。シリコンに色がつきやすいので、カボチャ・りんご系とそれ以外で使い分けている。

これまでは食べることって、誰でもが簡単にできることだと思っていた。安全に美味しく食べられることが、どれほど私たちにとって幸せなことか。日々の喧騒の中で当たり前だと思っていたことに感謝しつつ、早く自分で食べれるようになってくれないかなー、早く離乳食完了しないかなー、とつい親の私利私欲が出てしまうのだった。

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