明日誰かに話したくなる 王家の話
■ 感想
「明日誰かに話したくなる 王家の話」弥嶋よつば(KADOKAWA)P256
来年は世界史を勉強しようと思っているので、楽しみが増えるかなと手に取ってみた本書。
家系図から紐解いていく王家という視点の面白さが新鮮で、小説をキャラ読みするような親しみやすさ。歴史の本の中では出来事がどうしても中心となるため記憶に残りにくい沢山の人物たちの個性が濃すぎる程に抽出されているので、ああ、あの出来事はこの家系のこの人だったのねと別の角度から捉え直すことが出来て、今まで繋がっていなかったことが1本の線で繋がる感動が嬉しい。
まずは超有名家系の代表格・ハプスブルク家のあの特徴的な容姿から見えてくる独特な婚姻の歴史を辿り、血縁の断絶までを追っていく。ヘンリー8世、メアリー1世は興味深く、数多くの小説のモチーフとしても読んできたが、史実としての角度から改めて読んでいきたい。
宮廷画家ベラスケスと、愛らしいハプスブルク家のアイドル・マルガリータに少し触れられているのもテンションが上がる。ちょうどもうすぐ刊行されるマルガリータとベラスケスに焦点を当てた書籍を読むのがより愉しみになった。
第二章はエジプト・ツタンカーメン家。エジプト展などに何度も足を運んだわりに全然頭に入らなかったややこしすぎる家系図。その難解に入り組んだ関係図が整理されていて分かり易く、実録・ギリシャ神話的な婚姻関係に呆然。ツタンカーメン王墓の発見以来の大発見で注目されている、失われた都市であるアメンホテプ三世の時代の遺構から歯槽膿漏以上の赤裸々な発見があるのか、申し訳ないけれどそんな角度の発見も楽しみ。
第三章は、大好きボルジア家!ボルジア家の色濃い面々は勿論、ローマ教皇、美術とわくわく要素が詰まりまくるイタリア王家。波乱万丈な人生を情熱的に生きたルクレツィアにもかなりのページを割いてくれていることも嬉しい。チェーザレ、ダヴィンチ、マキャベリとアベンジャーズ的顔ぶれのめくるめく一大絵巻への興味がより深まった。
最終章である4章では他にも沢山存在する面白王家から少しずつ掻い摘んだエピソードが。その一つにヴィッテルスバッハ家!ルートヴィヒ二世、狂王を筆頭にキャラ強家系。これまでルートヴィヒとエリザベートを中心に読んできたけれど、女性好きを極めたルートヴィヒ一世も最高に面白そう。美しい女性の肖像画も愛し集めていたという現代の二次元推しの先人でもあったその人物像が興味深い。
YouTubeの動画から始まったとは知らず、チャンネル登録をしてこれから少しずつ「よつばch」も楽しんでいきたい。
■ 漂流図書
■マルガリータ王女の肖像|柳澤一博
日の沈まない国と言われたスペイン・ハプスブルク家の栄光の中で輝いた宮廷画家ベラスケス。
マルガリータ王女の肖像画を通してベラスケスの作品と人生、ハプスブルク家の落日が書かれた新刊なので楽しみ!
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