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JOHNDOEに寄せて

 noteに投稿している「花木」を改編し、こちらの脚本に劇中詩として引用していただいています。  22/6/26に上演されたものです。映像はないみたいですが本は読めます。よろしければご覧ください。  3人の考え抜いた表現の中で、風が吹いて脱力するような、一助になれば良いなというのを念頭に書きまして。  強いものと表現の相性を思いつつ、ふりかえれば世界の広がりのことしか考えていません。遠くを眺めていたいし、遠くから眺めていたい。  素晴らしい声とその読み上げ方とで、自分の詩

    • 花木

      あたり一面 深い緑 喉の渇きを つよく感じる 横を通り過ぎる 暴力的な何か 見慣れない影 追って森の奥へ いつしか発芽して 光を浴びる 細胞分裂している僕らを 森が嗤う ゆめをみて とおのく いしき 深くふかく眠る (21/6)雑誌投稿用

      • うつくしい花

        よい生垣になりたい つよくこどく 靄がかかる あめ、用水路 流れていく たゆたうばかり ゆめのまにまに しばらく 野 になる どこでもない どこか 水 溜まり 道に迷う 傷口から 浸出液が 掬うきみの 指先よ 緑に染まる うつくしい花 (21/6)雑誌投稿用

        • tempest

          「今日はとても良い天気だ」  教会の側、十字を切りながら通り過ぎる。性別も宗教も知れない私を、誰も救いはしない。嵐が近い。 (駅改札前には喫煙し舌打ちをする人あり。待ち構えていて、隙あらば唾を吐きかけようとしてくるので注意されたし。土の香り。)  市井の人の言葉、国勢調査で知れたことか。ここは治安がわるい。魂削り出した台詞を数えきれぬほど書き留めては履き捨てられる。  やまない雨、病まない夢は無い幻想。取り憑かれても良い。ぜんぶ扁桃体が見せる悪夢。言い聞かせる。風を切

        JOHNDOEに寄せて

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        • 9本

        記事

          「open your eyes」

           車を運転していたらイヌが飛び出してきた。気を取られていた。後方でイルカがマンホールくぐりをしているのに気がつかなかった。でも大事なのはイヌ。イヌが無事なことが第一、僕には。  犬種はわからない。ミックスだろうか?パピヨンみたいな耳、ダックスフントみたいな脚、キョンみたいな鳴き声。  対向車も後続車もない、一通かというぐらい狭い細道。家屋が立ち並ぶ、郊外のしずかな昼下がり。急だった。ブレーキとアクセルを踏み間違えなかったことを褒めてほしい。  僕はどこからどこへ向かって

          「open your eyes」

          アンドゥ・トロワに寄せて

          アンドゥー・トロワ氏は おどるよう白線を超える 縦列駐車は苦手だけれど クランクがわりとうまい 道路標識は見逃しがちで 見逃した事によく気づく 物語の強さと現実の弱さ どちらが身に刺さるか? 胃はタオルになりうねる 舗装された道が引かれる 生花か造花か当てる遊び 無駄と思われる装飾や鏡 うそが並ぶ関係性はなぞ アンドゥー・トロワ氏も またその内の1人として 仕事に行く前のストーブ 形容される逃避や日常が いい加減にしろとばかり セメントの塗り壁になる 詮索はあまりし

          アンドゥ・トロワに寄せて

          ME

          し すれば なに でもなれる はず で とびこ む 春 沸く 晴 はる めく る る 目が 立つ 猿 すべり はやく 逸 る なつ 吐く 懐 では ない か 芝 らく し 飽くる あ  き ふ 湯 雪 まみれて られて されて とれて なく 凪ぐ 無 骨なのね  す  よ  たよう たよう  たゆたう たいよう 担う  に なる (21/5) 雑誌投稿用

          (zoe・trope)

          もっとかんたん もっとかなしい どちらもあるということ おどりくるう ( みんなすこやかでいてください ) めぶき もえぎ こうよう らくよう くりかえしてゆく うまがはしる えが まわる ぼくはこれになります めをとじて ゆっくりと ひらく まえとあとでかわらぬ世界 すこし ぱられる している ふあんになる きぼうになる どちらでもないということ (21/2/13)

          (zoe・trope)

          「しからば尸」

          (2020角川短歌に出して恐らく掠りもしなかった50首) こんにちはやたらしずかな病室のリネンはしろくしわが一筋 食堂はしずか拡がり絵が掛かる うごかぬからだ幽体離脱 闇向こうみたこともない明滅が私を捉えて離さないので 窓硝子曇らす吐息拭っては消える赤い白い線に点に 陽があたる眩しい壁に気圧されて血圧下がる君がぼやける 手首には抗菌仕様バーコード名前性別生年月日 防護服身も心も隠したら私は無敵無菌になるか 悔しかなあなたのいないところでは世界が終わる命がもえる カーテンの燃

          「しからば尸」

          タイムマシンを忘れない

          五次元から声がしている 嘗て覚えていたことを忘れ 忘れられないあの人を忘れる おぼつかない海馬をかきむしる 耳をかたむけるがおもい出せない 忘れ去られたことをふいに思い出し 忘れることを忘れ、戦争も平和も忘れ 鳴り響いている第九だけが妙に懐かしい 重ね合わせ交差しても蘇らない記憶があり 忘れないでいてということを忘れないでいて とどめておくこと、とどめておかないこと ただ流れすぎていく音、停滞している音 ドアを開けると机の向こうにあった影 あなたに教わったことすらも片隅で く

          タイムマシンを忘れない

          のぞむとかなわない

          望まなければ叶うかというとそういう訳でも無い 切なさを孕むことが当たり前のようになった生活 女子高生がエモいと言って横を通り過ぎるヨワい 強く望みすぎると壊れてしまう何かを持っている ときどきどこへ向かえば良いのかわからなくなる 気持ちの行き場を失ってわたしが行方不明になる 行方不明のまま踊る踊りながら誰かを探している もどかしさでどうにかなりそうな僕らを包むのは 熱風どこからともなく涙も乾く程に頬撫でつける 明日大地の近く遠くで時間の逆再生を待っている 落ちていく言葉を拾い

          のぞむとかなわない