25歳OLが”社内マーケティング”を知ったら
■登場人物
ゆかり
25歳/丸の内で働くOL/企画デザイン部所属
※これは私あやが『マーケティングとは「組織革命」である。』という書籍で得た情報を知識に昇華することを目的に書いたフィクションです。
***
今日の企画もだめだった。
ゆかりの口からため息がこぼれる。
今日の企画は一ヶ月前から練りにねった企画で、自信はあった。
でも、課長に提案した結果は「もう一度考え直してほしい」だった。
(またここへ来た。前も私にヒントを与えてくれた場所)
店内に入って行く。
一冊の本が目に入った。
「”あなたの提案は、なぜ通らないのか?”今の私の悩みだ」
ゆかりは『マーケティングとは「組織革命」である。』を読んでみることにした。
***
ゆかりの所属する企画デザイン部では3つのプロダクトを扱っている。それぞれがPVの最大化を目的としている。
・オールジャンルのメディア
・女性向けメディア
・新規メディア
そのうち、ゆかりの所属する課が担当する女性向けメディアは、5年前に開設され、月間50万PVを誇るメディアだ。
しかし、開設から5年が経ち、デザインが現在の流行と合わなくなってきている。
そこで、トップページをリニューアルしたいというのが彼女の提案であった。
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目次に目をやる。
社内マーケティングのススメ
「下」から提案を通す、魔法のスキル
「社内マーケティング?マーケティングって社外に向けて商売するってことじゃないの・・?」
困惑しながら読み進める。
自分が売りたい「提案」を上に買わせるのは、社内という市場を開拓するマーケティングです。(P181)
「なるほど。これは提案に限ったことじゃないな。
私を商品とすると、私は会社で”自分”という商品を売っているんだ」
ゆかりは衝撃を受けた。
さらにそこには、社内マーケティングのフレームワークが載っていた。
社内マーケティングのフレームワーク:5ステップ
❶組織文脈の理解:まずはゲームのルールを理解する!
❷目的:勝つ確率の高い戦いを設定する!
❸WHO:ターゲットは実は2つある!
❹WHAT:便益も2つそれぞれを理解する!
❺HOW:言いたいことを相手が聴きたいように話す!
(P181)
「プロダクトを作る時は当然のようにターゲット分析するし、してない後輩がいたらアドバイスしてると思う。
でも、提案のターゲットである課長のことは全然分析してなかったなぁ。だから、私の提案は通らないんだ」
課長の立場に立って考えてみよう。ゆかりは反省した。
「課長は”女性向けメディアのPV最大化に責任を持つ”という意味では、私の目的とマッチしているはずだよね」
「じゃあ、何で考え直してほしいなんて言うんだろう」
ゆかりは違和感を覚えながら、課長の仕事をイメージした。
「まず、課長の元にはたくさんの企画が集まってくるよね。
全部やるにはリソースが足りないから、優先順位をつけて選んでるんだろう。
ということは、他の案件よりPV最大化に貢献できるって裏付けがないと選ばれにくい、か」
ただ良くなるでは課長は自分の目的にあっているか分からないし、他の企画と優劣をつけられないのである。
調べてみると、社内にはリニューアルすることで若い世代の新規獲得を実現した実績があった。
これは使えそう。しかし、果たしてそれだけでいいのだろうか。ゆかりは考えた。
***
(課長はこの企画を承認するとどうなるんだ?)
ゆかりの所属する部署では、リリースには部長の承認が必要だ。
課長は部長に承認をもらいに行くことになるから、部長が納得する提案である必要がある。
納得できるものでなければ、課長は部長に”できないやつ”という烙印を押されてしまう。
人間の本質は「自己保存」だと考えています。
自己保存とは、自分の生存確率を最優先することです。(P112)
ゆかりは納得した。
”自分に悪い評価を付けたくない”、”失敗したくない”、これが私たちが持っている自己保存の心理なのだ。
(自分の提案を軽々しく受けて結果が出ないことや、部長に見当違いな提案をしてしまうことを課長は恐れてるんだ)
「結果に対しては実績があるとして、じゃあ、部長の望んでいることって何だろう」
ゆかりは思案した。
「部長には女性向けメディアだけでなく、”3プロダクトでのPV最大化”という責務があるから、他のメディアとのバランスがいるよね。
もしかしたら、一番効果の大きいオールジャンルのメディアに力を注ぎたいのかもしれないし、これからという新規メディアに焦点を当てたいのかもしれない・・
一度聞いてみるか」
ゆかりは部長に面談を申し込んだ。
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今回、勉強させていただいた書籍
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