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ネイティブじゃないからこそ、理論を知ってる

皆さんのおかげです

おかげさまで、
生徒さんからたくさんのお褒めの言葉や嬉しい感想をたくさんいただいています。
noteでも「あなたにしかできないことだ」というコメントをいただいたこともありますし、
日本人、ブラジル人問わず、SNSのDMでコメントをくださる方もたくさんいます。
本当に、涙が出そうなほど嬉しく思いますし
ポルトガル語の先生は私の天職だからこそ、皆さんに喜んでいただけているのだと感じています。

私の経歴

私は、日本人ネイティブであり、ポルトガル語は全く分かりません。
少なくとも、大学に入る前までは動詞の活用どころか、性数の意味も区別もつきませんでした。
現在は、「店員さんと会話はできるけど、友達はできない」レベルだと認識しています。
「自分の意見や意思を伝えるためのポルトガル語」を構成する能力が、衰えてきています。

ブラジル人の従兄弟たちは、私と会話できる程度の日本語を話せます。
おそらく日本で生活しても困ることはないでしょう。
その状況に私は焦り、自分を責め、
その苦しみを解放してあげるために「ポルトガル語学科」がある大学を
片っ端から受験しました。
当時は日本に3校しかありませんでした。
セミメイン(?)で専攻することができる学校も1校ありましたが、
それでも合計して4校のみです。

二重国籍があるのに、どうしてポルトガル語が話せないのか
これが私のジレンマで、恥で、自己否定に繋がっていました。
しかし最近は、「私の人生は、ポルトガル語が話せなかったことに意味があったんだ」と理解するようになりました。
そう思えるようになったのは、生徒さんたちのお言葉のおかげです。

「こんな解説は初めてだ」
毎回、生徒さんに必ず言われる言葉です。
「こんなこと、誰も教えてくれなかった」
先日もお言葉をいただきました。
「『パン』がポルトガル語だったなんて、知らなかった!」
驚いてくれる友人たちの姿も、私にとっての幸せです。
これらの言葉が本当に嬉しくて、心の中が満たされていく気持ちになります。
本当に嬉しいです。
全ての生徒さん、そして興味を持ってブログやYouTubeを見てくださってる皆さん、
本当にありがとうございます。

「初めて」「知らなかった」のは
こんなマニアックな解説をしている先生がいないからだろうなと個人的には思っています。笑
ですが、多くの場合、「ネイティブの先生の方が良さそう」という固定観念だけで先生を決めてしまっているから、
皆さんに十分なポルトガル語の情報が行き届いていないのではないかと感じます。

奥が深い「ネイティブと外国人」

私の母もネイティブのポルトガル語の先生ですし、
ネイティブの先生を否定するつもりは全くありません。
ですが、時と場合によっては、
私のような日本人の先生の方がいいのではないかと感じることもあるのです。

というのは、どの国もそうですが、ネイティブは意外と、自国の言葉を知りません。
例えば外国人の方が私たちに、
「私『は』と『が』、どう違うの?いつ使い分けるの?」
「どうして『おとうさん』と書いて『おとおさん』と発音するの?いつ使い分ければいいの?」
これらを文法的に解説し、成人した外国人学習者を納得させることはできますでしょうか。
おそらく、プロの日本語の先生でないと、なかなか難しいのではないかと思います。
なぜなら私たちは、日本語を勉強してきていないからです。

「『おとうさん』は『おとおさん』と発音する」ことは小学校で習っても、
それが何故かは文法的に習っていないはずです。
ネイティブとは、そういうものです。
どうしてか、いつの間にか、なんとなく言葉を習得しているのです。

サンパウロ大学に留学していたとき、
日本語を専攻していましたが(日本語を学ぶブラジル人がいるクラスにポンと入った)、
「こんな内容、知らない」「みんなこんなことを勉強するんだ」
という講義ばかりでした。
日本語学の教室内で、私は「何も知らない日本人ネイティブ」でした。

同じようなことが、ブラジル人ネイティブの先生にも起こっています。
外国人が学びたいと思っている内容は、ネイティブの先生は、知らない場合もあるのです。

私の「ネイティブ経験」

正直申し上げて私も、
ブラジル人の方に日本語文法に関する質問を受けますが、
答えられません。

先日、「日本語の自動詞と他動詞の使い方が分からない」というブラジル人の方の話を聞き、
「確かに難しそうだな」と思って、読み流し程度に調べたのですが
「そんなの気にしなくても、使う動詞が合ってれば、
適当に言ってれば通じそうだけど」
と、感じてしまいました。
「ヤバい!これがネイティブの感覚だ!笑」と
改めて身をもって体感しました。笑

言い回しが全く違う

しかし私は、「ポルトガル語と向き合っている外国人(非ブラジル人)」として、
語学を学ぶ外国人の気持ちが分かります。
「伝わらなかったらどうしよう」
「どう変換すればいいのかな」
このようなことを考えていて、緊張して、頭の中は軽度のパニックになっているので
「それどころじゃない」んですよね。

例えば
「私に任せて」は「あなたは私に置く( Deixa comigo. )」
「今は夏です」は「私たちは夏にいます( Estamos em verão. )」
「それにします(それを買います)」は「それと一緒にいます( Vou ficar com isso. )」
というような言い回しをします。
このように、日本語と欧米語は、主語を逆転したり、受動態や能動態を入れ替えたりなど、様々な変換が必要なのです。
Eu peço um beijo a você. 「あなたに一つのキスを乞う」
と言われたことがあるのですが♡笑、
「なんてオシャレな言い回しなんだ!」とメロメロになってしまった経験があります。笑

話を戻します。
ネイティブはこのような「言い回しの技術」を生まれながらに習得し、慣れているので、
不安も恐れもないんです。
私たちも、日本語を話すときは
不安も恐れもありません。
なので、不安や恐れを感じている
日本語学習中のブラジル人の皆さんに
その疑問や不安を解決してあげたいと思いました。
(そのためには、「外国人向けの日本語」の勉強をしないといけないのですが。)

今はインターネットで調べればすぐに答えが出ますし、
言語学に関する知識も多少持ち合わせているのでなんとか説明できています。
ですが、日本語教師の資格でも取ろうと思って教科書を見ますが、難しすぎて3秒で諦めます。笑
それを毎回、本屋さんで、何十回と繰り返しています。

外国人の疑問点を、ネイティブがピンポイントで解説できるのか

もしブラジル人ネイティブの先生が、
ブラジルまたは日本の大学などで国語や日本語を専門的に研究してきたのであれば可能性はありますが、多くの先生はそうではないと思います。
もしそうだとしても、私たちが求めている答えを解説してくれるかは分かりません。

というのも、ポルトガル語の文法書を読んでいても
「ブラジル人には有益な情報かもしれないけど、私(日本人)が知りたいことはそうじゃないんだよなぁ」
「これを日本人にそのまま伝えたら勘違いしてしまいそうだ」
という内容も見受けられます。

「ポルトガル語を母国語レベルで理解している人が更に研究を進めた結果」が書いてあるわけで、「母国語レベルの人が使うポルトガル語を文法的に解釈したい」という私の要求とは異なるのです。

以前、「文法書の項目の順番が違う」とブログでお話ししましたが、
脳の構造が異なるため、疑問に思う視点も違うのではないかと考えています。
そういった日本人と欧米人の違いもあると思いますが、
ネイティブと外国人では、同じ言語を勉強するとしても、
アプローチの方法が全く違うのです。

自分に合った先生探し

とは言っても、ネイティブの先生でももちろん、
ポルトガル語文法の基礎はきちんと知っていますし、教えてくださいます。
会話の練習や、初心者学習者で手軽に始めたい方にはピッタリだと思います。

しかし、私の生徒さんの多くもそうですが、ある程度ポルトガル語に触れてきた方は、
これまで有耶無耶にしてきたことが気になり始め、物足りなくなってきます。
その時に私が日本人向けのガチガチの理論を日本語で解説すると「なるほど!」と納得してくださるのです。

ポルトガル語を教えていく私の人生

話がそれました。
「私の人生は、ポルトガル語が話せなかったことに意味があったんだ」
こう思えた理由をお話しする前置きが長くなりました。

ポルトガル語をネイティブレベルで習得できていなかったからこそ、必死に勉強し、
たくさん調べ物をして、今の私に至ります。
もし私がポルトガル語をネイティブレベルで話せたら、
わざわざポルトガル語の勉強はしませんし、
領事館勤務や通訳として働いていたと思います。
今でも憧れてしまいます。
だけど、ポルトガル語を話せなかったからこそ、
日本人向けの先生としての仕事を選択することができました。

そして、俳優の仕事で得てきた音声学のノウハウも活かすことができています。
「自分が喋ってる動画を自分で撮影して投稿する」ということにも抵抗がなかったのも、私が俳優だからでしょう。
これまでの私の人生の全てが今の私とひとつに統合されていく感覚があります。
(領事館勤務や通訳になったら俳優の道には進めなかったかもしれません。)

自分が「どうして私ってこんな人間なんだろう」と悩んで落ち込んでしまう出来事にも、
必ず意味があります。
それを知った時、私は本当の自分を見つけられた気がしました。
そしてポルトガル語の先生の仕事が大好きで、楽しくて、誇りで、
永遠に勉強していたいと思えています。

今日は少し感情的な内容になりましたが、私の理論やメソッドも、
聴いてくれて納得してくださる皆さんがいないと何の役にも立ちません。
皆さんへの感謝の気持ちを述べることができる記事になったと思います。
皆さん、本当にどうもありがとうございます。
Deus te abençoe.
「神の祝福がありますように」

♡ ••┈いつもご覧くださりありがとうございます┈•• ♡
私のレッスンでは、
・発音矯正
・音声学に基づいた「日本語のクセ」と「ポル語の特徴」の解説
・「ポル語グルーヴ」のブラジル音楽への落とし込み方
などを教えています。
YouTubeでミニ講座を投稿している他、オンライン無料レッスンも行っています。
ご興味がある方は是非YouTubeチャンネルHPをご覧ください.*˚✩
♡ ••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈•• ♡

✼••┈ A sua professora ┈••✼
꧁愛マリアンジェラ꧂

著書
『日常ポルトガル語会話ネイティブ表現』(出版: 語研)
※共著

電子書籍 (すべてKindle Unlimited対応)
『ブラジルとブラジル音楽とポルトガル語の話』
『ブラジルとブラジル音楽とポルトガル語の話2』

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