ヨーカドーのポッポを愛している
イトーヨーカドーのフードコート内にあるファーストフード店『ポッポ』をご存知の方はどれくらいいるのだろうか。
ポッポではラーメンやポテト、今川焼き、たこ焼きなどが売られている。どれもが安くて美味しい。
安くて美味しいのに、ポッポは年々数を減らし、今では希少種となっている。
地元のヨーカドーにあったポッポも10年以上前に撤退してしまった。中学生の我々にとって、ポッポのあるヨーカドーのフードコートは溜まり場だった。
「そんじゃポッポ集合で!」
放課後や休日に同級生と遊ぶ時、ヨーカドーのフードコートで待ち合わせることが多かった。食べ盛りの僕らはポッポで醤油ラーメンと山盛りポテトを注文して、それらを頬張りながらくだらないふざけ話に夢中になった。
ポッポは青春の味だった。
ポッポがなくなり、後継テナントによくわからないラーメン屋が出店してからは、自然とフードコートに足を向ける機会が減っていった。
ずっと、ポッポの面影を探していた。山崎まさよしの気分だった。降りたった駅の近くにヨーカドーがあれば中に入ってポッポがいるかを確認した。
社会人一年目の頃、多摩センターのヨーカドーにポッポを見つけた時は、興奮して醤油ラーメンとメガポテトとたこ焼きを一気に頬張って腹が苦しくなった。けれど、一年後に再び訪ねたらポッポは閉店していて、その時は胸が苦しかった。
いまだにポッポのことを頻繁に思い出す。僕が万が一にもアナザースカイに出演することになれば、確実にポッポを紹介する。今の僕の血肉を形成しているのは間違いなくポッポのラーメンとポテトである。
一昨日、いても立ってもいられず、東大和のヨーカドーまで足を運んだ。およそ2年ぶりであった。
醤油ラーメンとポテトLサイズを注文した。
醤油ラーメンのナルトを見て懐かしさが込み上げてきた。ポテトは揚げたてで、塩のかかり具合に偏りがあることが、また懐かしかった。笑いたくなるような美味しさだった。
世間一般的にポッポの美味しさが認められているのかは知らないけれど、僕にとっては唯一無二の、何物も超えることのない美味しさなのである。
どうかこの先も、たとえ数が減ったとしても、ポッポが絶滅してしまわないことを切に願うばかりである。
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