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応援団の振り付けとは

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この記事で書かれていること
☑ 応援効果を高めるための振り付けの意味とは
☑ 応援団の振り付けの変遷について
☑ 振り付けの特徴と実践する際の注意点

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選手を応援するため、応援団は大きな声を張り上げる。

しかし、更に力強い効果を生む方法がある。
それは観客の声を一つにまとめることである。

特に、お互いが相手校を応援する「エール交換」は、敵である相手の健闘を讃え合うことで、お互いに正々堂々戦うという誓いの儀式のようなものだ。

それを成立させるためには、優れた応援技術が必要となる。
応援団ではこの指揮を執るための振り付けのことを「テク」または「リーダー(技術)」と呼ぶ。[1]

かつて早稲田大学応援部の礎を築いた野中虎之助監督は、

スタンドに立って学生を指揮することは、一見派手なように見えるかもしれないが、決して派手な仕事ではない。また、派手であってはいけない。スタンドに立った時は、応援学生の代表であるという信念を抱いてかからねばならぬ。応援の技術は観衆に見せるものではない。選手の士気を鼓舞する糧なるものであるから、浮ついた行動をとることはできないのだ。

「第60回早稲田大学稲穂祭」(平成25年10月30日)の「応援部プレイバック~応援テクニックの精神~」講演内容より。

という言葉を残している。
応援団の振り付けとは、人前でただ目立つために行うものではなく、観衆全員の声を合わせるために考案されたものである。しかし、


[1]学校によっては「型」などとも呼ぶ。たとえば、学習院大学応援団創立五十周年記念誌編集委員会編『応援団の五十年 学習院大学応援団創立五十周年記念誌』(学習院桜援会・平成14年)23頁によれば、〈当時、高等科は四百人くらい、それをまとめることを初めてやった……(中略)……この方の型がすごいカッコいいリズミカルな応援をする〉とあり、『第三十八回「日輪の下に」パンフレット』(不動岡高校応援部・平成25年)14頁によれば、〈曲やテクも現在の形に統合され、本校・応援部の伝統をさらに盛り上げている〉とある。また、「リーダー」とは中央に立って指揮を執る者(センターリーダー)そのものを指す場合が多く、それ以外を「ウケ」「サイド」「サブ」「サブリーダー」「バック」「屏風」「観音」「客前」「列員」「兵隊」などと呼ぶ。あるいはそれらを全てまとめて「リーダー」と呼称する場合もある。たとえば、『東海大学応援団 創団五十周年記念誌「栄光」』(東海大学応援団・2014年)7頁によれば、〈リーダー、バックと一体となり、勝利を勝ち取る〉とあり、前掲『六大学花の応援団 ガクランに敬礼』216頁によれば、〈【サブ】センターリーダーと幹部以外の下級生のリーダーのこと。明治と慶応での名称。客席の中に入り込むという意。東大では「サイド」と呼ぶ。単に「リーダー」と呼ぶ場合も多い〉とある。

この記事を書いた人
都内の某男子校で教壇に立つかたわら、中学生・高校生・大学生・社会人の応援団を指導しています。主なご依頼として、文化庁研修会「応援団の歴史と現在」講演、NHK「日本人のおなまえ」出演、映画「かぐや様は告らせたい」振付・演技指導など。

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