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自然災害と付き合う

ハッロー!チューリッヒ(^^♪ でおなじみ

チューリッヒがイノベーションワールドチャンピオンシップというコンペを実施中。デジタルヘルスや人間の行動習慣、ドローン、水資源の効用など様々な分野のスタートアップが、「世のため人のため」しのぎを削っています。(参加:49カ国 450社以上)

現在、8社にまで絞られたのですが、個人的に注目しているのがトップ画像にある

zesty.ai


どんな内容かと言うと

zesty.aiは、山火事や洪水のリスクを含む不動産のリスクエクスポージャー(ざっくり言うと、山火事や洪水に晒される不動産の額)を評価および評価するための革新的なプラットフォームを発表しました。

また、コンピュータビジョン、ディープラーニング、デジタルイメージングの最新の技術を利用して、引受規則、損害率、および再保険分析を強化するために使用できる資産に関する何十億というデータポイントを取得します。


へぇー。で、何が凄いの? てか、何か良いことあるん?

現在、日本で販売している火災保険(ここでは住宅物件)はものすごく画一的にプライシングしています。例えば、東京都の木造(在来工法)であれば、昭和中期に建てた年期の入った物件も、昨日引き渡された新築ほやほやな物件でも保険料率に大きな差はありません。

都道府県、柱だけで保険料率が決まり、個々の物件の要素は全く関係ないのです。極端な話、「多摩川と目と鼻の先にある物件」と「武蔵野の高台にある物件」が両方とも東京都にある木造の物件なら、水災に掛る保険料率は同一なのです。

zesty.aiで取得できるデータがあれば、行政が仕切った面に対する人間の予測でなく、個々の物件に掛るリスクを正確に把握でき、適切な保険料を提示できるのでないかと思います。(一部報道では、近秋に火災保険料をあげると言われています。。)

また、このようなデータが提供できれば、落雷の多い夏~秋シーズンだけ落雷の補償をかける。さらに、○○万円以上の被害が出た場合に保険金支払を行うなどの条件を設ければ、顧客は保険料を削減できます。削減した保険料で免雷システムの導入等を行う。同時に保険会社はデータに基づく保険料を提示するから、収支は安定します。削減した保険料を基に、顧客に通年リスクのある地震対策を準備しませんか?等の提案もできます。

10数年、損保会社で働いていますが、火災保険の被害は、圧倒的に自然災害が多いです。(住宅・非住宅問わず)火災による全焼の被害は、私が担当した顧客で2件です。。

ちなみに、自然災害で被害額が大きくなりがちなものとして、台風でシャッターが捲りあげられた、老朽化していた屋根の一部が吹き飛んだ。落雷による過電流で、集中冷暖房システムが壊れた。洪水で、倉庫に保管していた商品が売り物にならなくなった。など。これらの被害をゼロにすることは難しいですが、リスクエクスポージャーを減らすことはハードの準備でできます。

スタートアップが掴むイノベーティブなデータと、保険会社が保有する経験値的なデータを組み合わせ、顧客にネガティブな経験を回避してもらいたいです。

昨年の一文字漢字は「災」でしたが、本年以降も地震、台風、落雷、豪雨には対策と準備を促していきたいです。

参考:https://blog.btrax.com/jp/8-startups-2019/

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