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絵に描いたようなおむすびころりんすっとんとんから見えた神

今日は会社の近くにある丸亀製麺でランチを取ることにする。
私はランチを尋常じゃないくらい食べる。
朝はほとんど食べないし、夜は飲んでしまうので食べない。
つまりちゃんと食べるのはランチのタイミングしかないのだ。

釜玉うどん(大)・かしわ天・高菜のおにぎりを購入し、意気揚々と席につく。
ああ、忘れてはならない。
揚げ玉とネギを湯飲みに入れて、かけうどんのダシを入れる。
これは丸亀製麺の社長も認めた、無料の極上スープだ。

釜玉うどんにダシ醤油をかける。
かしわ天に天ぷらソースをかける。
あとはおむすびのうっすいラップみたいなやつをはがせば完璧なのだ。
ラップをはがす前に、おにぎりの種類と製造時間を書いたシールをはがす必要があるのだが、そのシールを剥がした瞬間、高菜おむすびが床にころりんである。
ころりするのは虫ころりだけで十分であり、解決するのはゾロリだけで十分だ。

ころりんしたおむすびは完全なる形を残したまま
無残に床を1回転半ほどまわり、小さなゴミなどをまといながら横たわった。

予定していたカロリーを摂取できないことがショックではあった。
新しい高菜を買いに列を並ぼうとも思ったのだが、
うどんが冷めてしまうのは避けたい。
神は我慢せよと言っているのだ。

いつもより少ないカロリーのランチが終わったその時、
もう一つの悩みが浮かび上がった。
丸亀製麺は食べ終わったお盆を洗い場の方に下げて帰るのがルールだ。
この完全な形状をしたおにぎりがお盆に乗っている光景を店員さんが見たら、
「このおにぎりの品質に何か問題があったのかしら」となるのではないか。

そうだ、正直にお話ししよう。
私がおにぎりを落としたんです。何か問題があった訳ではないんです。
むしろ落としてしまってごめんなさい。

その刹那、洗い場にいたおばちゃんが一瞬気の毒そうな表情を見せた。
そしてすかさずおばちゃんがこう言い放った。
「申し訳ございませぇぇぇぇぇぇぇんんんんんんん!」
「もう一個高菜持っていって!高菜ぁぁぁぁぁぁぁ!」

結局食事も終わっているし、高菜ぁはいただかずに帰ったのだが、
勢いがありすぎて断るのが大変だったほどだ。

今回のランチでは神が2名ほど出てきた。
カロリーを摂取すべきでない神と、勢い強めの神対応である。

おむすびを落としたのは完全に私の責任であるのに、
新しいおむすびを無料で提供してくれようとする神おばちゃん。
ここは丸亀製麺であり、高級ミシュランレストランではない。
おもてなしはミシュランレベルだと思った。

おそらくおむすびの原価は数十円だろう。
落としたと言った時に「ざまぁ」ではなく、「高菜ぁ」の対応をし、
私が高菜を受け取ったら、数十円分原価がマイナスになるはずだ。

しかしその神対応により、私は今後もしばらく丸亀製麺に通い続ける。
そして現実、私はおにぎりを遠慮したので、製造原価もマイナスになっていない。

つまりこのおばちゃんは、1円もかけず顧客満足度を大幅に向上させたのだ。
全て計算した上での行動とは思えないし、マニュアルにもない対応だろう。

次にお会いした際は、神おもてなし対応神としておばちゃんを崇め、
おいしいうどんを啜りながらおばちゃんを称え祭り上げるのである。

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