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脳屁(NOUHI)

脳みそがパンパンな時ってないだろうか。
いつもであればゆっくり寝たり、ネトフリ見たり、麦酒を飲めば解消する。
パンパンな内容の脳みそに少しだけ空きができて、
フレッシュで刺激的な情報がその隙間に入り込んでくるような感じだ。

お腹いっぱい食べた時に、お腹が膨らんで苦しくなる。
初めのうちは苦しいなと思っているが、だんだんに張りが治ってきて、
数時間後にはお腹が空く。
これは臓器がしっかりと働き、
私の大好きなアノ穴から茶色の物体が排出されることで隙間が空くからだ。

脳のパンパンとお腹のパンパンは似ているような気がする。
しかし脳から出る排出物はない。

いや、知らないだけで寝ているうちに耳から出たりしているのかもしれない。
いやまてよ、放屁に似た脳屁という可能性もある。
脳の近くのお手軽な穴としては耳になると思うので、
個体にしても気体にしても、おそらく耳から出ていると思う。
毛穴は相当数あるが、如何せん小径なのだ。

耳の左右どちらから出るかという論点は非常に面白い。
お尻の穴はモノラルであるが、耳の穴はステレオである。
脳屁が存在するとしたら、もしかするとステレオサウンドかもしれない。
AMとFMくらいの差でクリアな音質を楽しめるに違いない。
右からはドラムのような音、左からはギターのような音が出ているかもしれない。
そうなれば脳屁は立派なミュージックである。
Youtubeにアップすればジャスティンビーバーがいいね!してくれるだろう。
軽快なそのサウンドに乗せて、彼が歌いながら踊るのだ。
脳から出たその音楽は世界中の人類の脳内でループし、
世界脳屁デーのお昼きっかりに、全人類が脳屁ミュージックを奏でる。
圧倒的な音圧は地球から広がり、火星の生命体に衝撃を与えるであろう。
火星から脳屁ミュージックを習いに使者が訪れたその際は、
アフリカはナンビアの脳屁レジェンド、ドゥグルド・プータンさんを紹介し、
典型的な昔からの弟子制度を採用し、火星の彼は6年間修行をすることになる。
プータンさんは無口である。代替性の低い磨かれた技術というものは、
なかなか言語化できるものではないのである。
これぞ弟子制度が採用された理由であり、
火星の彼はプータンさんをよく観察し、見よう見まねでやってみようとする。
しかし音さえ出ないのである。
夜も眠れないほど考え、悩む。
しまった!私には人間ほど発達し大きな脳を持ち合わせていないのだ!
事実、6年修行した火星の彼はしっかりと脳屁を放出することができていた。
しかし脳の大きさ、つまりふいごのような機能が小さすぎたために、
聞き取れないほど小さな音だったのだ!

つまり、今日、私は、脳がパンパンなのだ。
無意識に文章を書いたら、火星人が出てきてしまったのである。

人間は己の脳のごくわずかしか利用できないうちに死んでいくと言われる。
つまり空き容量はふんだんに用意されているということだ。
そうだとしたらこのパンパンな感覚とは何なのだろうか。
パンパン感覚の際は、新たなインプットを受け付けなくなる。
つまり、新たな発想を生産する機能も停止するのである。
発想が止まった時、私がアウトプットするのは屁と火星人のことだということが
今日分かった。

それだけで十分ではないか。
何も考えずに少し脳を休ませてあげたいと思うのである。

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