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急に飽きっぽいのね

女はそう言って俯いてしまった
さっきまではミスターセンクスの目を
真っ直ぐに見つめていたのに
その顔は少し赤くなっていた
怒りとも恥じらいとも言えない
そんな表情だった

女がそう言うのも無理はない
最近は会う機会も少なくなっていたし
会えば喧嘩ばかりしていた

そんなことを繰り返していたら
急に気持ちがふっと離れてしまったのだ
表に出そうとしてそうしたわけではないが
女の感というものは鋭い
全てお見通しというわけだ

もう長くは続かないのかもしれない
最近は2人の間に熱を感じないのだ
朝昼関係なく熱かった日々
なりふり構わずに汗と白濁を振りまいた

飽きてしまったという感情が
正しいのかどうかは今でもわからない
しかし女の目にはそう映ったのだろう

彼女の名前は夏美
7月頃に出会った太陽のような女だ
燃えるような時期は過ぎて
2人の距離はどんどん離れていく

そんな隙間に現れた女に
どんどん心が奪われている
夏美に比べれば落ち着いた女
自らが輝くではなく
世界をカラフルに染めるような女
彼女の名前は秋奈である

夜長には秋奈との蜜月を楽しむのであろう
中秋の名月を2人で眺める頃に
口を揃えて言うのである

急に秋っぽいね

なんてな!!!

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