見出し画像

ショールーミングと情報弱者

ショールーミングとは、大量生産品などにおいて、
消費者が店頭で現物を確認した後にそこでは購入せず、
ネット通販でより安い価格で購入する行動のことを言う。

特に家電などのメーカーや型番が決まった大量生産品は、
どこで買おうが品質が変わるわけではない。
1円でも安く、早く手に入れたいという消費者心理は当然である。

家電量販店は、その文字通り展示だけのショールームと化してしまい。
その上で価格競争という熾烈な争いに対抗していく必要がある。

最近では家電量販店自身が自社のネットショップを設立し、
少しでも離反を防ごうと努力している。

生粋のショールーマーであるミスターセンクスは、
ある家電製品が欲しいと思い、高速ブラウジングしていた。
その中で見つけたある家電量販店のネットショップ。
調べる限り、そのネットショップが最も安い値段だったのである。

これはいいぞと思いポチろうと思ったその瞬間、
ミスターセンクスは閃いたのである。
「近くの実店舗に行って買えば、送料もかからないじゃん」と。

思い立ったら即行動派のセンクスは、実店舗に出向いて驚愕する。
実店舗で表示されている価格は、ネットショップの価格の1.5倍くらいであった。
なぜだ、なぜなのだ。
同じ会社であると言うのに、ネットと実店舗では価格が違う。
解せぬ、解せぬぞ!アウグストゥス!
と言いながら申し訳なさそうに店員さんに画面を見せる。
店員さんは「あ、いいですよ」と軽い感じでネット価格に値段をあわせてくれた。
そのあまりのあっさり具合に、センクスはびっくり昇天したのである。

消費者としては安く買えて良かったと思ったのだが、
つまりこれは「知っているか知らないか」問題であり、
「言ったか言わないか」問題なのである。

相変わらずラインの返信ができないSGMであれば、
確実に1.5倍の値段で購入していた事案である。
SGMとはスーパーガラパゴスマザーの略である。

知っていると得をするという感覚は昔から言われることである。
古典派経済学のように、市場は合理的ではないのだ。
しかしそれは、八百屋Aより八百屋Bの方が大根が安いということであり、
家電量販店Aの実店舗よりネットショップの方が安いということではない。

ここまで熾烈かと思えば、苦渋の決断のように聞こえてはくる。
しかし企業姿勢として明確に情弱さんを食い物にしている感も伺える。

店頭価格とネット価格が違うことが常識として知られた暁には、
情弱さんたちもその警戒心でショールーミングするようになるだろう。
ショールーミングを防ぎたい量販店が、ショールーミングを推進する形になる。

ミイラ取りがミイラになる日も近いのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?