【社会人のための“教育ってそうなってるのか!”講座】 「子どもにはわからない」は伝える努力をしていないだけ
キャリア教育の授業の中でよくある「職業人講話」。
いろいろな職業の人から話を聞く授業なのですが、
キャリア教育コーディネーターがゲスト講師を選定する際、
おそらく無意識とも言えるバイアスがかかってしまうことがあります。
それは、
「この仕事は子どもにはイメージできない・わからない」
というやつ。
伝えるのがむずかしいから「やめよう」
っていう意見が出てくることも、しばしばあります。
(その授業のねらいによっても違いがありますが。)
ここ、
子どもの発達段階とか習熟度を考慮した結果の
落とし穴なんじゃないかと思っています。
でも、
子どもにわかる職業だけ登場させていたら、
いつまで経っても子どもの世界は広がらない。
知らない世界を見せること、
出会えるチャンスをつくることも、
大人の大事な役割なんじゃないでしょうか。
伝える努力をすれば、
子どもにもわかる授業として成立するのです。
子どもにはイメージできない・わからな仕事を
わかる授業にしていくところこそが、
キャリア教育コーディネーターの役割です。
今年も勤労感謝の日に開催した仕事体験でも、
子どもにはちょっとなじみのない仕事に
登場してもらいました。
「業界のイメージを覆したいよね」
という想いも込めて登場してもらったのは、
人材派遣会社の営業のお仕事でした。
仕事体験では、
働く人が「その仕事でいちばん大事にしていること」を
体験できるようにプログラムを設計しています。
人材派遣会社の営業のお仕事は、
働きたい人のいろいろな困りごとを抱えていても
働き続けてもらえるように、
企業にもいろいろな提案や交渉を行うところ。
(単なるマッチングじゃないんですね。
人材派遣会社が働き続けられる状況をつくることが、
その人にとって最後の砦になっているという現実も。)
仕事体験では、
この部分をそのまま体験してもらいました。
とある男性の履歴書や要望を元に、
複数の企業の求人内容を見て、
条件に合うところ・合わないところ分析し、
どの企業に紹介するのか、
そこではどんな交渉が必要になるのかを
考えてもらいます。
体験を通して伝えたい
「最も大事なポイント」がどこなのか、
ギリギリまで削ぎ落とすこととが、
とても大事なことです。
そして削ぎ落とすための視点は、
「へぇ!」だったりします。
その仕事の社会的意義や隠れた工夫を
発掘する作業です。
この部分は、職業人自身には
なかなか客観的にわからない部分ですから、
キャリア教育コーディネーターの視点、
「へぇ!」というココロの動きが必要になります。
その仕事について色々な角度から知ることと、
おもしろさ(へぇ!)を発見する視点。
そしてそれを「体験プログラム」として表現すること。
ここにしっかりパワーと時間をかければ、
どんな仕事も子どもに伝えられる授業になります。
この努力に、手を抜いてはいけないと思っています。