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探究でいちばんむずかしいのは「課題設定」【社会人のための“教育ってそうなってるのか!”講座】

先日、桐蔭学園の公開研究会(オンライン)に参加してみました。
未来への扉という探究の授業に関する公開研究会で、
 (https://www.miratobi.jp/jitaku)
特に「課題設定」がテーマでした。

講演の中で福島大学の調査にも触れられていたのですが
https://region-data.net.fukushima-u.ac.jp/information/126/
回答した教員の55.6%が
「探究方法の指導(問いの立て方、仮説の設定、まとめ方等)」に
指導上の課題を感じている、とのこと。

私も数年前に通信制の大学に行ってみて感じたのですが、
たしかに、卒業制作のテーマ(課題)設定がいちばんむずかしい。
グラフィックデザインだったということもあって、
問われるのは「どのような課題の解決に貢献するのか」。
そこ加え、なぜ自分がそれに取り組もうとするのか、
自分自身の中にある動機と向き合うことになります。
そして、課題の「大きさ」も大事なポイント。
解決しきれない大きさの課題では、
授業として成立しないことになります。

公開研究会の実践発表の中でも
こうした「課題設定の壁」に触れられていました。
調べ学習や自己満足に終わってしまってはダメで、
でも、壮大すぎてもダメ。
大人は伴走者としてどう支援していくのかが
とてもむずかしいポイントになります。

だからこそ、探究の学びのサイクルが
ぐるぐると繰り返されている点が
ポイントになるということがよくわかりました。

事例として、高1の3学期から高2の2学期にかけて、
個人が設定した課題が、どう変化していったかの
事例も示されていたのですが、
情報収集・情報整理・・・と繰り返していくことで
課題が具体的かつ、
単なる調べ学習ではないレベルに
確実に変化(進化)していました。

ちなみに、上記の福島大学の調査では、
課題設定の次の指導上の課題として
「指導教員の専門性(教科・興味)」が
あげられていました。
(回答した教員の52.4%)
生徒の興味・関心はさまざまなので
すべてに教員自身が対応しようとするのは
むずかしいことは間違いありません。
こうした部分は、
教員以外の外部との連携も必要でしょうし、
実践発表の中でも触れられていましたが
「一緒に興味を持つ」「楽しむ」
みたいなことが大切になってくるでしょう。

そして話を聞きながら、
シンプルにすごいなぁと思ったのは、
学校教育目標に掲げている「学び続ける問い続ける」を
先生たちが率先して行なっているという点。
おそらく、これはどこの先生もそうなのだと思います。

まずは大人がその後ろ姿を見せること、
これは社会人にとっても同じことだなと思いました。

松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」「クリエイター」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factory(https://ax-factory.wixsite.com/corporate)を設立。2020年京都造形芸術大学通信教育部(グラフィックデザイン)を卒業。デザインで学びをおもしろくします。
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