個別最適な学びとキャリア教育の関係を考える【社会人のための“教育ってそうなってるのか!”講座】
先日、私立の小学校の研究授業に潜り込んでいました。
「個別最適な学び」について学びたくて。
「個別最適な学び」がキーワードとして強調され始めたのは、
令和3年1月の中央教育審議会答申
「「令和の日本型学校教育」の構築を目指して
~全ての子供たちの可能性を引き出す,
個別最適な学びと,協働的な学びの実現~」
あたりからではないかと思います。
この中で、背景にひとつとして、
2019年5月にOECD(経済協力開発機構)が発表した
“Learning Compass 2030”に触れられています。
「子どもたちがウェルビーイング(Well-being)を実現していくために
自ら主体的に目標を設定し、振り返りながら、
責任ある行動がとれる力を身に付けることが重要である」
と指摘されており、
令和5年6月に閣議決定された「教育振興基本計画」でも
「ウェルビーイング」という言葉が何度も出てきます。
※Learning Compass 2030についてはこちらをご参照ください。
そして、個別最適な学びとは、
「指導の個別化」と「学習の個性化」に整理されており、
それぞれ、次のような解説も書かれています。
いいことだよなー、と思う一方で、
教員不足や教員の多忙化が指摘される中で、
どうやったら実現できるんだろう?
というところが解けないままだったので、
もう少し詳しく勉強したかったのです。
(と、前段が長くなりました。)
研究授業では他校の先生方に混じって、
複数の学年の授業を見学させていただき、
表面的なところでは
5年生の外国語(英語)の授業なんかは
ICTの活用によって「聴く」「話す」スキルが
高まっていく様子が本当によくわかるなど、
発見がいろいろありました。
そして、それ以上に、
授業後のパネルディスカッションで、
授業の様子からだけでは見えない、
授業者の「頭の中」をお聞きすることができたのが
とても学びにつながりました。
印象に残っているのは、
「個別最適な学びに取り組もうとしたら
大切なのは
・ひとりひとりの子どもをしっかりみること
・教科の本質に迫ることの2点」
という話でした。
ひとつめに関してははそうだろうと思っていたのですが、
2つめの「教科の本質」は
ちょっと目からウロコでした。
教科の見方・考え方がここでつながるのか!と。
(これは私の勉強不足だったんですが。)
授業の見学では、
先生が机間巡視で何をしているのかが
なかなかわからなかったのですが、
「教科の本質」を軸としたモノサシが頭の中にあり、
それに照らし合わせてその子の状況を見取り、
声かけをしていたのだということがわかり、
あらためて、先生ってほんとにすごいなと。
「ひとりひとりの子どもをしっかりみること」
「教科の本質に迫ること」
どちらも先生にしかできない、
「教員の専門性」そのものだと思います。
そこであらためて思ったのは、この2つを、
社会・世界とつなげていくこと、
ひとりひとりの将来や人生とつなげていくことが
キャリア教育の役目なんだろうなということ。
職業講話や職場体験だけにとどまっていてはダメで、
先生とキャリア教育コーディネーター(または社会人)が、
お互いのあいだで、
たくさんの「意味あるバトンリレー」を
発生させられるようにしたいなぁと、
あたらめて思ったのでした。
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