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拝啓4年前の私へ


拝啓 4年前の私へ

やっと暖かくなりかけた季節だけど
毎日死にたいって思ってるよね。

会社のどこにも居場所がなくて、
コロナで国境は閉まってて、
ストレスと過食のせいで20キロ太って、
今日も上司と先輩の無視とパワハラが辛すぎて

毎日毎日生きてるだけで疲れ果ててるよね。

それでも、地元に帰りたいって思いながらも、
これまで積み上げてきた人生とか、
何より描いた夢を諦められなくて、

死にたくても、辞めたくても、踏みとどまって出勤してくれてるよね。

あと君が頑張る理由は、香港に住んでる恋人と一緒に暮らす夢のためかな?

悪い知らせがあるんだ。

君が毎日会いたくて遭いたくてたまらない恋人は、君に嘘をついてるんだ。

大学教授を目指して努力してるんだよ、って君に話してるその恋人は本当は無職で論文一本も書けてない碌でもない男で。

君はいつか、その男が君のことを香港に連れ出してくれるって信じてるけど、2年後君はその男は君の人生から叩き出すことになる。

だから、君はその男と「2023年1月から香港で一緒に暮らす」って約束してその約束で心を支えてるけどその約束が守られることはない。

2024年の2月、君はまだ大阪にいるよ。

君はいろんな夢を描いて叶わなかった人生を送ってきたよね。

父親のような医者にも、
母親のような薬剤師にも君はなれなかった。

夢破れてそれでも自分を奮い立たせて文転して臨んだ大学入試も失敗してしまったよね。

それでもそこでも腐らずに頑張って、入り込んだ会社では華やかな部門に新卒から配属される同期や後輩を横目に関西の営業所に配属されて。

そこでも今現在、死にたくなるほどひどいパワハラを受けてる。


「涙の数が人を強くすることはない。

流した涙の分だけ自分が削り取られてもう何にも残ってない。」

君はそんなことを言ってたけど、
そんなことはなかったと君に言いたい。

君の涙が無駄じゃなかったことを、
2024年の私は君に伝えたい。

4年後の今日、君は君が所属してる大企業の国際部の中国部門に日本人として初めて配属される通知を受け取る。

同僚は全部中国人で、
名刺だって中国語で書いてある。

大都会の摩天楼の中でも一番高いビルで、
中国人と肩を並べて、
中国語を使って、
泣いたり笑ったりしながら大企業の肩書きを背負って日本と中国をどこまでも越境できるキャリアの切符を受け取るんだよ。

今日、この切符を受け取った時もちろんたくさんの励まして支えてくれた周りの人の顔が頭を駆け巡ったけど、それでも一番に頭に浮かんだのは四年前死にたい死にたいって言いながらも毎日8時17分の電車に駆け込んで泣きながら出勤してた君の顔だった。

君が君の人生を諦めずに、投げなかったから、
4年後の君は夢の切符を手に入れるんだ。


20歳で初めて北京の土を踏んでから、
8年かけてやっと夢を叶えたよね。

泥臭く頑張って、何回も不合格とノーを突きつけられてきた人生だったけど、
やっとのことでもぎ取った夢への片道切符。

これからは花道だけを歩いていこうね。

地獄だった営業所をやっと少しだけ好きになって、
大嫌いだった仕事が少しだけ面白くなってきたところで、ここをさるのは少し寂しい気がするけれど。

きっとこの先も順調じゃなくて茨の道で何回も打ちのめされるんだろうけど。

それでもきっと私は大丈夫。

私の人生は間違ってなくて、
私の人生は夢に溢れていて、
私の人生は素晴らしいものなのだと。

確信できたからきっとこれからも私は大丈夫。

ハッピーエンドのその先のストーリーを生きていこう。

やっと、私の選んだ道を歩き出す第一歩を今日歩き始められるのは間違えなく何回打ちのめされても粘り強く、みっともなくもしがみついてくれた四年前の君のおかげだ。


ありがとうね。


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