Fitbitの新製品「Fitbit Senseは世界初のEDAセンサ搭載モデル」は誤報だった
フィットビットから複数の新製品を発表された。その中でも一番の話題は「Fitbit Sense」。
一番の特徴は皮膚を流れる微弱な電流を測定する「EDAセンサー」がついていること。これによりストレス測定の精度がより高くなるとのこと。さらに、上の記事には「EDAセンサーを搭載する世界初のスマートウォッチ」と書いてある。これはすごい。
世界初の違和感
でもよく考えるとおかしい。皮膚の微弱な電流は「ガルバニック皮膚反応」という名前で昔から知られている。かつてのうそ発見器でもこの技術が使われていた。つまり技術は決して新しいものではないのだ。そして新しくない技術はたいてい先駆者がいる。
実際に調べてみた
皮膚電流のセンサを使った製品はすでにあるんじゃないか。調べてみるとあっさりと見つかった。
2014年に発売された「Microsoft Band」。
同じく2014年に発売された「Jawbone UP3」。
そして2016年にクラウドファンディングが行われた「Sleepman」。
あっけなく見つかった。
Fitbit Senseよりも前にEDAセンサーを搭載するスマートウォッチは存在した。先ほどの記事は誤報であることがわかった。
では何が世界初なのか?
では「世界初」とはなぜ書かれたんだろう。こういうときはソースとたどろう。公式のプレスリリースを見てみる。
フィットビット(NYSE:FIT) は本日、Fitbit Senseの発売を発表しました。当社史上最も進化したヘルススマートウォッチである本製品は、ストレス管理に役立つ皮膚電気活動(EDA)センサーを搭載した世界初のスマートウォッチです。
なるほどわかってきたぞ。
「世界初」が正しいと仮定すると、この文章はこう言いたいのではないか。
「EDAセンサーを搭載したスマートウォッチは過去にもあったけど、ストレス管理に使う目的でEDAセンサーを搭載したのはこれが世界初だ」と。
そういう目で過去の製品を見直してみると、たしかにさっきの3製品はストレス計測に使われていなかった。「Microsoft Band」は装着しているかの判定。「Jawbone UP3」と「Sleepman」は睡眠トラッキングにそれぞれ利用しているらしい。
つまり、「世界初」の言葉は間違っていなかったということだ。
(これはプレスリリースの書きかたが悪い気もする……)
せっかくなので他サイトも調べてみよう
せっかくなので他サイトのファクトチェックをしてみよう。ニュースになっているガジェットサイトは合っているのだろうか。
・「EDAセンサー搭載が世界初」と書いてある(誤報)
Engadget, 家電Watch, SmartWatchLife
・世界初にふれていない(問題なし)
ITMedia, TechCrunch, 価格.com, iPhone Mania, GIGAZINE, CORRIENTE.TOP, ASCII
・「EDAセンサーをストレス管理目的に搭載するのは初」と書いてある(問題なし)
あれだけ紛らわしいプレスリリースだったのに、間違えているサイトは少なかった。メディアリテラシーがきちんとしているところが多いってことか。安心した。
まとめ
EDAセンサが搭載されたスマートウォッチは以前もあった。正しくは「Fitbit Sense」は「ストレス用途にEDAセンサーを使う世界初の製品」。そしてFitbitのプレスリリースの書きかたが紛らわしい。
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