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食欲がどうしたどうした

最近食欲が伸び盛りだ。いつも夕食は1合炊いて食べるのだが、食べたあとに「まだいけるよ」と胃がささやいてくる。今まで買ってなかったお菓子もとうとう解禁した。


原因はたぶん、運動だ。来月ハーフマラソンの大会に出る。そのために走る量を増やした。とはいっても運動量は週一で17キロぐらいだが。

走ったあとの夜、重い身体が肉を食べたいと叫んでくる。鍋の鶏ももを噛みしめると、大事な何かが吸収されていく。胃が喜びをあげている。ああ、生きているってこういうことなんだなと。

ある日、20キロ走ってみた。その夜。食欲がとうとう暴動を起こした。負けじとご飯1.5合を炊いた。ぺろりと全部なくなった。それなのに、まだ胃に余裕がある。

マジか。でも、たくさん食べるということはそのぶん食事を楽しんでいるということ。いつもよりフライパンを持つ手に力が入るようになった。スーパーに行く足が軽くなった。


そんな生活をしていてある日の夜、異変が起きた。

あれ、1合ちょっと多いかも。

その日から、叱られた人のように胃がしゅんとおとなしくなった。なかなか腹が減らない。

なにがあったし。

もしかして体調が悪い? いや、毎日7時間は寝ているし、17キロ走っても余力は残るぐらいの体力はあるし、もちろん風邪は引いていない。割と健康だ。


ぐるぐる頭の中で犯人探しが始まった。が、誰も犯人候補がいない。事件に飛び込んだら誰も人がいなかった探偵状態だ。

そんなことを考えながら、スーパーで100円引きのイカ墨パスタを手に取る。家に帰ってパスタとイカリングを口に入れる。歯ごたえが良くてずっとぐむぐむと噛んでいられるおいしさだ。

頭の探偵に電撃が走った。犯人がわかったぞ。

犯人は、「歯」だ。


実はここ2年近くマウスピースの歯科矯正をしている。矯正をすると、奥歯が使いづらくなる。特に麺類や硬い肉は嚙み切れなくて、「いつもならもっとおいしいのに……」と思いながら前歯を頼りにしてすごすことになるのだ。

しかし、今日はイカが嚙み切りやすい。どうやら、なぜか奥歯の嚙み合わせが良くなってるみたいだ。


以前、ダイエットするために「よく噛む」ことが有効だとテレビでやっていた。噛むと消化が良くなって結果的に食べる量が減るという理屈だ。

理論は知っている。でも、ここまで効果があるとは。


理由がわかってすっきり。しかも、原因は健康的なやつだったと。

ただ、一つだけ悲しいことがあった。食べる量が減ると作る量も減る。食べる楽しみが減ると作る楽しみも減る。

自炊の楽しみが小さくなっている。まあ、元に戻っただけならいいか。

とりあえず、今日は野菜多めの担々鍋を作ってつつましくすごそう。

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