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小4息子、担任の先生から電話。 「ダミーの連絡帳を用意しましょうか?」

息子が小学2年生の頃まで、午後4時をすぎた頃、担任の先生から頻繁に電話がかかってきていた。

----トゥルルル。。トゥルルル。。。

当時、その時間に 電話のベルが鳴ると、私は血の気が引いた。
平穏な今だって、学校の保留の音楽を聞いていると、目頭が熱くなり、胸の奥がキュッと締めつけられる。

---またか。。。
今日は、何をしたんだろう。。
息子のしてしまった所業を聞き、謝るの繰り返し。
家で話し合ってくださいと言われても、どうしよもない。
どうしたら正解なのか、わからない。

電話をかける先生は、子ども達からの目撃情報を集めた話をする。
息子は「先生に話したところで 解決なんてしないから時間の無駄だ」と言い、状況を説明しようともしない。

実際のところ、
息子が最後の一撃や 一言を言い放ち終わるので、親としては申し訳なさの方が ずっと大きい。少しの情報を繋ぎ合わせて疑問を呈するなんて、出来なかった。

でも、大抵 問題の始まりは、
息子にとって、先生や他の子達が認識するより、ずっと前から続いている事が多かった。

”当たり前” で、様々なことを強いられる

息子の場合、そのことに、震える程に、いつも怒っていた。


正直、
私自身も、道理は理解できるけど、それに伴う感情の強さは理解できなかった。
 「きっと、私が甘やかしすぎたのだろう」
 「きっと、私が何かを子どもに伝えきれなかったのだろう」

息子に、いつも「ごめんね」って思っていた


■連絡帳問題

息子の許せない 当たり前 の一つに、”連絡帳” の存在がある。

息子曰く、「連絡帳を書くことは、かける労力に対して 成果を回収できないリスクが高い」らしい。

 かける労力とは?
 ---連絡帳に文章を書き写すこと

 リスクとは?
 ---持って帰るのを忘れる
 ---持って帰っても 見忘れる
 ---見ても用意するかは別
    ---持ち帰った連絡帳を持って行き忘れる

息子の考えに寛容になってきた今の私でも、書いていて ため息が出る。
でも、本人は100% 本気で連絡帳の存在に 今も怒っているのだ。

▼息子の主張
ーー何で、大人はスマホとかパソコンにメモできるのに、子どもは携帯にしちゃいけないの?
ーー学校から一人一台ipadが配られているのに、何で写真を撮るんじゃダメなの?
ーーメモするのはいいんだよ。何で身体にメモするのじゃダメなの?
ーーランドセルなら忘れないから、ランドセルにメモする方がいいんじゃないの?

怒られても、怒られても、彼は連絡帳を書かない。
クラスのしっかりした女の子に、連絡帳を書くことを促されても、

ーー俺が連絡帳を書かないことで、誰にも迷惑なんかかけていない。自己責任なんだから、ほっとけよ。そうやって注意するお前の方が、俺をいじめている。

なんて、持論を展開して泣かせる。
声をかけてくれた子、本当にごめんね。
やっぱり、謝るしかない。

そんな息子の連絡帳は、
表紙の所々が どこかへ旅に出てしまった状態の、どのノートよりも長い付き合いになる代物だ。

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■担任の先生から「ダミーの連絡帳」の提案を受ける

先日、久しぶりに学校の電話番号から着信があった。

身構えて、深呼吸をして出る。担任の先生からだった。
---いつお世話になっております。
挨拶をしながら、気が遠くなる。
できる範囲で、色んな種類の悪さの予想をする。
少しでも、冷静に対応するために。

ーー先生からのお話ーー
今日は息子君の連絡帳についてご相談したくお電話しました。
今、みんなが連絡帳を忘れずに書けるように、5人程のグループを作り連絡帳回収係が集めて 先生の所まで持ってくる体制で取り組んでいます。
息子君は、連絡帳を全く書かないので、彼のグループだけいつも揃わないんです。

なので、もしよろしければ

私の方で ダミーの連絡帳 を用意しましょうか?
そして、
それを行き来させることで、
息子君が連絡帳を書いたことにしませんか?

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先生の提案では、連絡帳として機能していない白紙の連絡帳を『ダミーの連絡帳』と呼び、それを回収係の子に渡すことで、周りの子には内緒で連絡帳を書いた事にしてくれると言うのだ。

1度だって予想したこともない展開が起きた。説明を聞きながら、私は 先生の話を理解できていないのでは?と疑った。


どこの小学校でも、先生は平等である事 が大切にされていると思う。
息子の学校は、子どもの多様性と自由な発想を大切にした教育方針だけれど、『平等である事』の先生への呪縛は強いと感じる事が多い。
話し合いでは、みんな等しく発言することを目指そうとする。得意な事があれば、不得意なこともあるのに、授業の目標地点や評価方法が統一され、それぞれに求めている印象。
困った家庭が学校に相談しても「お子さんだけを特別扱いすることはできないんですよね。」と返されたという話は聞くし、以前に 我が家も実際に言われた事がある。

同時に、
そう 考えを巡らせると、先生が平等性を欠く対応が難しいことも容易に理解できる。先生だって、大変だ。これに尽きる。今以上を求めるのなら「望む家庭が所属する集団を変えなければいけないのだろう」、そう思って納得していた。


■息子はこっそり先生と秘密を持った

ダミーの連絡帳については、お心遣いに感謝を伝えて、息子と相談してから返事すると伝えた。

電話を切った後、
私の胸は ドキドキして、ユラユラ揺れていた。
以前のように 不安、悲しみ、後悔、の冷たさで満たされてはいなかった。
ーー嬉しい...興奮..感謝..温かさ...でいっぱいだった。


何も知らずに 学校から帰宅した息子に、先生からのダミーの連絡帳の提案について、伝えてみた。

息子は、困った様な、照れたような顔をした。
「どういうこと?」と繰り返し聞いてきた。
遠慮がちに「それ、いいの?先生、大丈夫なの?」と聞いた。

そして、
息子は 先生と秘密を持った。

息子のためだけに、できた秘密だ。


******

過去に、学校には嫌悪感しかなかった息子。
小4の今は、毎日楽しく学校に通っている。
息子自身が、成長した部分もあると思うし、
周囲のお友達が、息子という存在に慣れてくれた部分もあると思う。

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でも、
間違いなく、
1番頑張ってくれているのは、

担任の先生だ。


出会いって大切だなって思う。
感謝しかない。



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こんなにも息子に寄り添ってくれる先生に、
私でご恩返しできることはないかな?
そう考え、余計なお世話を承知で、私は こっそり先生のポジティブキャンペーンをしている。笑

保護者、他の先生方に、
少しでも先生の素敵さが伝わって欲しいと思う。
真実しか言ってないけど、言い過ぎると 逆効果になってしまうので、
そこには、細心の注意を払っている。笑

そして、
私の頭の中に、
もう少しスマートな恩返し法を 思い付く日を待っています🤔✨



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子どもに教えられたこと

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